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デムーリン・ブラザーズの面妖なスパンキングマシンの数々【イニシエーションとスパンキング#1】
みなさん、こんばんは。今回の連載特集は、インプリメント担当のわたくし七峰と、
海外担当、令和のスパンコロジスト吉川でお送りしましょう
あんた、ちゃんとサボらず説明しなさいよ。私はわかんないんだから
なんで2言目で逆切れ!?
全3回の特集企画で、一応内容が順番になっていますが、先に他のパートに興味があれば、こちらからどうぞ。
デムーリン・ブラザーズ関連の日本語書籍が出たので先にご紹介
さて、この特集にたどり着くまで、若干の経緯がございまして…… 今年に入ってから、「スパンキング白書エディトリアル」の方で「少女とお仕置きの相関係数」というネタを書いていました。
そして、そこでイニシエーションを入れようと思っていたちょうどその時、まさかのデムーリン・ブラザーズに関する日本語書籍が発売されたのです。ナイスタイミング。
デムーリン・ブラザーズの華麗なる秘密結社グッズカタログ
ジュリア・スーツ著 宇佐和通訳(ヒカルランド)
ヒカルランド(2022)
「デムーリン・ブラザーズ」は、20世紀の初めに、ヘンテコなからくり装置をカタログ通販していた会社で、本業は服飾屋さんです。現在でも服飾メーカーとして、会社は存続しています
デムーリン・ブラザーズの販売していたスパンキング・マシーンのイラストは、ここに来るような方なら、どこかで見たことあるかも。リアルスパンキングマシンメーカーとしては並ぶものがいないメジャーブランドです
こんなやつですね
というわけで、もともと考えてていたイニシエーションのネタを若干プラン変更して、デムーリン・ブラザーズの紹介から入っていこうかと思います。デムーリンは面白いので、その方がとっつきやすいはず。イニシエーションそのものに関しては、次回掘り下げます。
さて、この『デムーリン・ブラザーズの華麗なる秘密結社グッズカタログ』は、デムーリン・ブラザーズが通信販売していた謎グッズを色々と紹介している本です。その中にはいくつかのスパンキング・グッズを含みます。カタログの商品はいくつか後ほど紹介します。
あと、こんな記述が……
デムーリン・ブラザーズ・カンパニー社のカタログでは、お尻の叩く部分を「ママがスリッパの底を当てた場所」と形容されていた。「slippering=スリッパを使う」という表現もまた、お尻を叩くという意味だ。
『デムーリン・ブラザーズの華麗なる秘密結社グッズカタログ』p.161
スリッパリングが日本語で説明されている! 感動!
スリッパリングに関してはこちら。
しかしながら、
税込み 3,630円 …… なかなかの値段……
専門書(研究者が書いてて、専門分野の訳者さんが訳または監修付き)ではなく、ただのネタ・娯楽本なので…… ヒカルランドは、スピリチュアルな本とかをメインで出している出版社です。いずれにせよ、ちょっと高い……結局、Amazon で中古で買いました。
ちなみに、この本の原作者(in アメリカ)は、漫画家さんらしいです。書いている内容の粒度を見ても「我々の業界」とは関係ない人だと思うので、スパンキング資料ではなく、暇つぶしのノリで楽しむ、くらいがよいです。
とはいえ、やはり日本語書籍でデムーリンのカタログが楽しめるのは、唯一無二の楽しさがあります。ではデムーリン・ブラザーズがスパンキング・マシンを販売していた相手は誰か。それは……
秘密結社です。
なんか、実は……ババーン!みたいな書き方したけど、上の本の書名でネタバレしてるのでは
うっさい! スリッパを食らわすぞっ
というわけで、書籍紹介はここまで。そもそも元ネタのカタログが100年以上前のものなので、そちらを直接見たほうが大人の事情的に都合がよさそうですね。というわけで…… どうぞ。
秘密結社が切実な思いでおしりペンペンマシンを通販で買う、奇怪な20世紀初頭のアメリカという国
最初に、重要な単語を確認しましょう。
イニシエーション (initiation)
イニシエーションとは、主に、何らかの閉鎖的な団体やコミュニティに入る際の(特に、新規入会者が受ける)儀式のことを指します。日本語では、「通過儀礼」と訳されることが多いです。何らかの閉鎖的な団体、というのは、つまり秘密結社です。initial イニシャル(最初の、頭文字の)と同じ語源ですね。
ちょっと突っ込んだ話をします
今回お話しする団体というのは、いわゆる「フラタニティ(友愛団体)」などと呼ばれる組織です。これは中世のギルドが起源ともされるクラブであり、フリーメイソンなんかもこの「フラタニティ」の一つです。
あれ、秘密結社とは違うの?
フリーメイソンも、漠然と「秘密結社」と呼ばれることもありますが、広辞苑で引くと、ちゃんと「慈善・親睦団体」って書かれてますね。
まあ、秘密結社というと、存在が秘密であるレジスタンスや非合法活動組織とかの方がしっくりきますね
一方で、フラタニティは存在が秘密なわけではない。もちろん、外部には公開しない秘密の活動もあるわけですが……
結社の社外秘、ということですね。まあ、それはどこの団体や組織でもあるわね
ただ、言葉の通りの良さとノリを重視して、今回は一律「秘密結社」という言葉を使います
ただ、実際のところは、超大雑把に、なんらかの活動テーマを持った社会人サークルと捉えてもらえればよいかと思います
さて、アメリカでは19世紀から20世紀にかけて、多くの秘密結社が存在していました。テレビもない時代、他人との交流というものが人々の楽しみだったわけです。
しかし、社会が発展するにつれ、人々は忙しくなり、また様々な娯楽も増えていきます。古臭い秘密結社の加入者は減る一方。人が入らないと活動資金の会費が集まらず、結社が潰れてしまう。
まあ、本来は慈善団体だから、金は出ていくだけですよね
なんか、秘密結社も世知辛いわね……
各々の秘密結社は、入会候補者の選考、及び内定者の入会式で、一種の儀式、つまりイニシエーションを行っていました。
儀式と言っても、必ずしも地下礼拝堂で白装束を着て蝋燭を持ち、へんな呪文を唱えてヤギの血を飲み干すような儀式とは限りません。金が山ほどあるグローバルトップ秘密結社のフリーメイソン大先生ならまだしも、「なんとか秘密結社なんとか村支部」レベルじゃ、そんなことより酒飲んで騒ぎたいものです。
というわけで、盛り上がりを求めたアメリカの零細秘密結社たちは色々な娯楽要素を取り込み、活性化と人集めを図ります。とはいえ、いい年した紳士たちなので、年がら年中遊んでばっかりもいられない。そこで恰好のお楽しみイベントとなったのが、新歓コンパ、もといイニシエーションだったのです。
デムーリン・ブラザーズは、アメリカ全土の秘密結社に「儀式用パーティーグッズ」を満載したカタログを送付て、飛躍していくことになります。その中には特許を取得したものもあります
んじゃあ、さっそく製品を色々見ていきましょうか。当時のカタログの掲載イラストも一緒にご紹介します
【製品紹介①】スパンカー
単純明快なネーミングです。お尻叩き器です。安価でかつ分かりやすく、盛り上がるため、デムーリン・ブラザーズのベストセラーの一つとなりました。
仕組みは単純で、二枚のパドルが合わさったような形をしており、その間に空包、つまり火薬のクラッカーが仕込まれています。このスパンカーを新人のお尻に叩きつけた瞬間、派手な音を立てるわけです。空包は本体購入時に50発分が同梱。追加購入も可能です。叩き放題ですね。
バラエティ番組のギャグみたい、と思うかもしれませんが、インプリにおいて、「音」というのは一つの重要な要素です
例えば、スペンサーパドルの「穴」は、一説には必要以上に音を出すためにあるとも言われます。また、お仕置き前にクロップを空中で振ってひゅんっと音を出すのは、おきまりのモーションですね
これも全て、キーに対して恐怖の感情を引き起こす「演出」なわけです
まあ、この製品に関しては、バラエティ番組のギャグでしょう。地上波NGレベルの
スパンキングパドルの穴に関する説明はこちら。
【製品紹介②】ストライキング・モール
モールというのは木槌のことです。イラストがピコピコハンマーっぽいですが、大工さんが使っているような木製のやつです。木槌でお尻を叩くって危ないな、とは思いますが、実際は軽いので危なくないとのこと。……いえ、多分「当時の人々の基準で」危なくないだけです。これもスパンカー同様、中に空包が仕込まれていて、大きな音を立てます。
ちょっとおじさん、お股をちゃんと閉じて防御しないと、あんた死ぬわよ
ストライク、スパンキーアウト!
【製品紹介③】スパンキング・シャベル
カタログ番号も若く、デムーリンの販売したスパンカーのうち、かなり初期のモデルかと思われます。商品説明をみると
Our Spanking Shovel is preferred by many to the ordinary spanker, as it create a more startling effect upon the candidate.
Catalog for Modern Woodmen of America
(多くの方が、普通のスパンカーより弊社のスパンキングシャベルをお気に召されます。なぜなら、候補者をよりびっくりさせる効果があるからです。)
と、火薬の破裂を前面に押していることから、これが成功して、これをベースに上の(火薬を機構内部に入れることで安全性を増した)スパンカーやストライキング・モールを開発したのかな、と思います。
あと、競合品があるような書き方がされていますね。多分ですが、他社のスパンカーを指しているのではなく、デムーリン・ブラザーズの通常モデルを指しているような気がします。「サプライズが通常の1.5倍(当社比)」ってやつですね。
ちなみに、普通に金属製らしい
鉄シャベルでケツしばかれるとか、もはや音でびっくり!とかじゃなくない?
【製品紹介④】リフティング・アンド・スパンキングマシン・改
取っ手を上に引き上げると、後ろについているパドルが飛び上がり、お尻を叩かれます。もう、見たまんまじゃないですか。右上にアフターの図がありますが、お尻が爆発しているのに加え、両手の持ち手がビリビリしているのが分かります。髪の毛もギャグみたいに逆立っていますね。
デムーリンの製品は生易しいものじゃないと
カタログの製品紹介をどうぞ。面白いので、全部載っけます。
はいているズボンに自分自身で蹴りを入れることはできませんよね。しかしこのマシンを使えば、入会の候補者は腕力テストをするだけで、お母さんに昔スリッパの裏で叩かれた部分を、自ら叩くことが可能となるのです。
候補者はズボンのお尻の部分をぴんと張る体勢を取る必要があります。しかし腕力テストだと言えば、ハンドルを持ち上げようとする時に、たるみが引っ張られる体勢に自然になるので、拒否されたりはしないでしょう。
対象者がハンドルをぐっと引き始めるや否や、自動的にトリガーがかかり、スパンキングパドルが跳ね戻って、お尻を打ち据えます。それと同時に、32口径の空包が大きな破裂音を上げます。それだけではありません。さらにぜんまい仕掛けの電気モーターがマシンの土台内部に隠されており、パドルがズボンを打つと同時に、ハンドルに強い電流が出力されるようになっています。その感覚は、説明するまでもないでしょう。
このマシンの電装部分は更なる改良が行われました。今回は故障しやすいドライバッテリーの代わりに、ぜんまい式マグネト発電機を使用しています。各マシンは強力な電流が流れる保証付きで、故障することはありません。
(マシンの梱包時の重量は55ポンド)
マシンは少しのスペースしか使いません。ハンドルとパドルは簡単に取り外せるので、22 x 34 x 5.5 インチの箱にも収まります。
Catalog for Modern Woodmen of America原文
With this machine the candidate cannot kick his own pants while wearing them, but can have them spanked where his mother used to apply the sole of her slipper, by simply testing his strength. The position in which he places himself causes a little strain in the seat of his pants, which is not objectionable, as it pulls up all the slack, when he pulls up on the handles. Just about the time he gets well started lifting, a trigger is automatically released, which causes the spanking paddle to spring into place and strike him on the kazabo, at the same time, exploding a 32-calible blank cartridge with a loud report. That is not all; there is also an electric motor concealed under the platform of the machine, which is operated by clock work that turns on a good current of electricity at the same time the paddle hits his pants. The sensation can better be imagined than explained.
Great improvements have been made in the electrical part of this machine. We now use a magneto run by clock-work, instead of dry batteries, which were liable to get out of order. Each machine is guaranteed to give a good strong electric current, and will not get out of order. (Weight of machine, packed, 55 pounds.)
The machine takes up but little room. Handles and paddle can be easily removed, so that it will fit in a box 22x34x5¾ inches.
こ、こいつら…… バカだ ……!
使用時のシナリオや、長期間の愛顧、収納性まで考慮してスパンキングマシンの企画設計してやがる ……!
WorthPointというアンティーク品の実売価格をまとめるサイトに、実物の写真がいくつか載っていますが、アップの写真を見るとパドルの間に撃鉄のようなものがあるのがわかります。
Antique 1909 DeMoulin Lifting and Spanking Machine Shocking Fraternal Masonic | #409833461 (worthpoint.com)
出品者によるとぜんまいの巻き具合でビリビリレベルが変えられるらしい。しかし、この機能てんこ盛りのハイブリットおしりペンペンマシンにも欠点があります。
どっきりマシンのくせに、パドル丸見えじゃん!
入会のための筋力測定するので、ハンドルを引き上げてみてください、とか言われても、こんなのどう見てもお尻叩かれるじゃん!
だからカタログのイラストのキーさんは目隠しをされていますね。とはいえ、やはり目隠しされていると、何かドッキリの仕掛けがあることが予想されてしまうので、完全解決というわけではないですね。
改良型だと謳っているというのに……
だが、デムーリン・ブラザーズは諦めない!
社のスパンキングマシン企画開発スペシャリストたち(注:ブラザーズ)は、さらに機能を盛り込んだ、極悪非道の新型スパンキングマシンを開発します。それが……
【製品紹介⑤】インビジブル・パドルマシン
invisible は「目に見えない」という意味です
・この細菌は、小さすぎて肉眼では invisible
・この裏金は、帳簿に記載されないので invisible
上記のように「透明」とは違うのですが、例外として「invisible man」だけは慣例的に「透明人間」と訳されますね
カタログのイラストを見ると、ひとつ前の「リフティング・アンド・スパンキングマシン・改」と同じように、両手で引き上げるハンドルがありますね。そして、顔の部分に水がかかっています。また、お尻に向かって、板も跳ね上げられています。
顔とお尻の両責めですか
このマシンの本質は、そこにあります。
今回はパドルそのものは装置の天板として、巧妙に隠されています。カタログの紹介文もバレないと言い切っています。しかし、ハンドルを引き上げろと言われたら、何かが起こるだろうと構えられてしまいます。それじゃあ儀式が面白くない。
だから、明らかに何か吹き出しそうな怪しい穴を、顔のところに開けてあるのです。しかし、そっちは囮。
ターゲットが「おっ、穴が開いてある。顔に向けて水かなんか吹き出すかも」と注意して、ハンドルを引く。すると、後ろの板が跳ね上がって、油断しているお尻に叩きつけられるわけです。ひどっ!
なお、顔は顔で、ちゃんと水がぶっかけられるもよう
もちろん、いつもの空包の爆発演出機能もついてきますよ! デムーリン・スパンキングマシン・シリーズの標準搭載機能ですので!
例によって、本体ご購入の方に、空包50パック同梱サービスらしい
おしり爆発が標準搭載のスパンキングマシーンラインナップって何なのよ
カタログを見てみると、本製品は本体が $21(当時の物価はちょっと分からないです)ですが、$12.5 追加するとオプションで「リフティング・アンド・スパンキングマシン」のビリビリ機能が付けられると書いてあります。発電機と噴射用の水タンクをセットで箱内部に入れるということでしょうか? お尻ペンペンに命かけてますね。
実際、デムーリン・ブラザーズ製品での死傷、及びそれによる訴訟例は、かなりあります。
【製品紹介⑥】その他のお尻に電気ショックグッズたち
今ではおもちゃといえども電気で動くのは当たり前。しかし、当時は電気を使ったいたずらアイディアは、とても目新しい面白さがありました。なにせコンセントではなく、発電機を内部に入れる時代です。
最後にまとめて、電気でお尻を攻撃するグッズをいくつか紹介しましょう。
電気ベンチ
ビリビリ椅子ならぬ、ビリビリベンチです。カタログによると「寄付をしてくださる方はご起立下さい」と言った直後に電流を流すのが、おすすめの使い方のようです。
使い方までひどいっていうね
電気シーソー
シーソーに腰を固定するベルトに電気が走るようになっており、足が床に着くとつくとそのスイッチが入ります。お尻にビリっと電気が走ると、その人は慌てて飛び上がるので、もう片方の人が床に叩きつけられて、またビリっとします。そうやって、ぎったんばったんし続けるわけです。
すごい、2人への同時お仕置きのアイディアとして秀逸過ぎる!
左側の上がっている人の顔が面白い。この後尻が焦げるというのに
人間ムカデあるいは悪夢
もはやこのセンスに賞賛を送りたい!
この変な生き物は、先頭の一人がコントロール役です。いっちに、いっちに、とムカデ競争のように歩く…… わけではもちろんありません。
先頭の人がスイッチを入れると、他の3人のお尻に電気ショックがビリビリ流れます。ビリビリ面とお尻はショルダーバンドで密着させられており、もう6本の脚はバタバタするしかない。さあ、頑張って歩いてもらわないと、目的の方向へ行けません。お尻がびりびり、足がバタバタ、でも頑張って進みましょう。
今回のアフタートーク
いやあ、色々見てみましたが、やっぱり面白いですね
よし、折角なんで、このインビジブル・パドルマシンを、かえでに試すドッキリ企画だ!
……
~準備中~
……
……えっと、こんな感じで、箱にまたがればいいですか?
そうそう。じゃあ、筋力測定をするので、両手でその2つの取っ手を引っ張ってください
あ~ 顔の近くの穴は、絶対、絶対気にしないでね~
……多分私この後、お尻を叩かれますよね
なんでバレた!
貴様エスパーか!
あんたらが、またがる前に、スカートとパンツ脱がしやがったんでしょうが!
デムーリン・ミュージアムの公式サイト(英語)
スパンキング・マシンの写真や動画が見られます。流石に火薬は使っていませんが。
次回、アメリカの映画でもおなじみ。大学での新入生でのパドリング・イニシエーションについてです。