【BDSMの本場直送!】ニューヨークのセックス博物館に行ってきました【展示紹介】
本記事は内容の都合、他記事よりもセクシャルな要素が強いです。ご注意ください。
先日ちょっとだけ仕事でニューヨークに行く機会がありました。
こんなインフレ&円安という、どう考えてもアメリカに行くべきタイミングじゃないのに、折角ニューヨークにいるということで、ちょっと時間を作ってマンハッタンの「セックス博物館」に足を運んできました。セックスに関する歴史的物品や、アートなどが展示されています。基本セックス全般の博物館なので、あまりスパ的撮れ高はないのですが、BDSMの本場の国の雰囲気を少しでも紹介できたら、なんて思います。
スーパー円安です
これを書いている2023/10/3現在、ドル/円は149.8円です
海外のドル建てエロ動画サイトが高くなりすぎて、なんも買えないのです
どうでもいいわ!
NYセックス博物館の概要
以前、初めてニューヨークという街を訪れた時、驚いたことのひとつ。地下鉄のホームに「セックス博物館」の広告があったこと。もちろん公共の場なのでエロいデザインではないですが(無地にロゴだけ)、それにしたって18禁施設の広告を駅に貼るのはびっくりです。まあ、ちょっと前の話なので今はどうかはわかりませんが。
「スタチュー・オブ・リバティ」こと「自由の女神」を抱く都市ニューヨーク。州ごとに政治思想がころころ変わるアメリカという国のなかでも、リベラル色のとても強い州のひとつです。様々な人種や文化が入り乱れて、サラダボウルと称されるその街は、世界でも類をみないユニークな世界と文化を構築しています。
はい、セックス博物館です。
マンハッタンを縦断する高級店で有名な5番街に、かのブロードウェイが斜めに突っ込むマディソンスクエアにそれはあります。以前は施設全体が博物館だったのですが、いつの間にか半分くらいがエロを全面に押し出したアミューズメント施設みたいになってしまっていました。ターゲットをパーリーピーポーに変えたのでしょうか。
でも「SUPER FUN LAND」っていう名前は安直すぎる
一応18禁の博物館で、入り口のドアを入ると、「サイバーパンク2077」に出てきそうな恰好をしたお兄さん(多分お兄さんだと思う……)に身分証提示を求められます。
で、受付でチケットを買います。3種類からか選べてグッズ付きのとかがあったのですが、とりあえず入場券だけのベーシックチケット(36ドル)を購入。
スタンダードチケットが、ストレス解消ボール付き。(いらない……)
プレミアムチケットが、ストレスボールともう一個おまけつき。チケット売り場では写真見て、コンドームかなんかだと思ったんですが、今よく見たら「ラブ ハイ セックス グミ(THC)」って書いてます。お菓子だったのか。
THCってなんでしょう。THCとだけしか書かれていないので、アメリカ人なら分かる物なのでしょう。
って大麻かよ!
草だけに、草ww!
時間差でカルチャーショックを受けました。大麻が合法なのもリベラル系の州の傾向です。
展示のBDSMグッズ紹介
では、仕切り直して、博物館展示をいくつか紹介しましょう。BDSM関連の物が色々ありました。
キャットスーツ
これぞまさにBDSMな感じのラテックス(ゴム)の衣装です。ラテックスフェチの紳士淑女方の正装です。
もちろん、ラテックスフェチ=BDSMer ではないのですが、とても関連の深いものであることは、下記ページでも書いた通りです。
日本語では「ラバースーツ」と言った方が通りがいいかもしれませんが、この手の服は英語で「キャットスーツ」と呼ばれます。
別にネコの格好をしているわけではないですが、慣例的にそう呼ばれるのです。なぜかは知らんです
勘違いしやすいところなどで、念のためもう一度言いますが「ネコの格好のスーツ」を指しているわけじゃないですね
この不二子ちゃんが着てそうな服そのものが「キャットスーツ」です
個人的に面白いと思っている点は、このキャットスーツ、ドム/サブ、両用というところ。キャットスーツを着て鞭を持ったらドムになって、キャットスーツを着て目隠しをしたらサブになる。こんな特殊なビジュアルしているくせに、どちらのポジでもしっくりくるのは、なんだか不思議ですね。
キャットスーツが性感に触れてくる要因として挙げられるのが
- ボディラインに張り付くビジュアル
- 体を引き締める拘束感
- ラテックスの匂い
なんていうものがあります。が、やはり一番ユニークなのが匂い、つまり嗅覚的な刺激でしょうか。
個人的には、ゴムの匂いはちょっと苦手ですが……
解説では、ラテックスコミュニティーは、1800年代にスコットランドで始まったのが最初であり、60~70年代に大きく拡大していったと書かれていました。特に、ニューヨークや、サンフランシスコ、モントリオールやベルリンでコミュニティーの活動が盛んとのこと。ふーん。
ホーステール・アナルプラグ
なんか手ブれてますね、すみません……
アナルプレイとホースプレイを掛け合わせた一石二鳥アイテムです。振り回してぶん殴れそうな重厚感があるプラグですが……
組み合わせるアイテムとして書かれていたのが、
- ギャグ
- サドル
- ハーネス
- カラー(首輪)
- フーフブーツ(蹄がついている靴)
- ブライドル(手綱)
- キャットスーツ
- ライディングクロップ
- ブラインダー(目隠し)
フル装備過ぎる
シリーズコンプリートボーナススキルがもらえそうです
スパ的にはやはりクロップは外せませんが、こんだけ揃えたら、流石にガチ勢な感じはします……
いや、そもそもアナルプラグだけでも、一般から見たらガチ
こういうアニマルプレイをするのが好きな嗜好を
autozoophilia
オートズーフィリア(自己動物性愛)
なんて言ったりします。
あくまで自分を動物に重ねるのが好きという意味です
似た言葉で zoophilia(ズーフィリア)というのもありますが、これは動物を性的対象と捉える一線を越えた人々で、たった4文字の違いで話のヤバさが違ってくるので、間違えないよう注意なのです
ベネレーションキット
あれを模したハンドル部分が対のデザインになっていますね。
Veneration Kit っていう言葉はよくわからないのですが、なんていう日本語にすればいいんでしょう。崇拝キット?
見た目通りパドル(解説ではチェリー製スパンカーと書かれている)と孔雀のフェザーティックラーのセットで、見た目からして豪華です。
フェザーティックラーは、プレイ中にくすぐったりして身体の感覚を刺激するための羽箒ですね
ちょっとこのティックラーはごつすぎる気がしますが…… チクチクしそうです
「崇拝」の文字がある通り、多分こいつらの本体は、パドルや羽ではなく、銀の持ち手の方です。この持ち手に「持ち手として以外の使い道」があるのかはよくわかりませんが、持ち手にくっついているパドルとフェザーティッカーについては、以下のように説明されています。
これらの贅沢な道具は、持ち手単体では与えることができない、ラグジュアリーなフルボディーセンセーション を提供することができるように作られている
ただの前戯グッズじゃんか!
まあ、見たまんまですが…… ここでは、このパドルたちはセックスの補完メソッドとして位置づけられています。よってあんまり、このサイトで深堀りするところではないのですが……
「崇拝」という言葉が出てきたので、一点だけ。
BDSMの考え方のひとつに Body Worship ボディ・ワーシップ(身体崇拝) という概念があります。これは、別に「男根崇拝」みたいな原始宗教的なやつではなく、広い意味で、体の部位フェチみたいなものです。
「貴女のおみ足を舐めさせてください」プレイみたいなやつです
(性的/非性的を含め)身体のあらゆる部位の様々な感覚を引き起こすためには、無数の手段があります。くすぐりしかり、アイシング(氷責め)しかり。スパンキングもその中に組み込まれるアイディアの一つです。
BDSM民の身体感覚開発の旅は、果てしなく続いていくのです。
F/Mのおしりペンは女性進出の象徴という変な話
あ、スパだ。スパがあるぞ。と砂漠でオアシスを見つけたが如く走り寄る。
香水の広告ですね。
ちょっと展示の解説文が小難しいことを言っているので、一旦全文をあげます。
1980年代の Revlon Charlie の香水の広告ほど、女性の自己決定と性的な充足へのシフトの典型例となったものはないだろう。この1987年からの広告では、一人の女性が男性の尻をいたずらで叩いており、物議を醸した。ニューヨークタイムズは、これは「セクシスト(性差別)であり悪趣味である」として、この広告の掲載を拒否さえした。
原文
Nothing epitomized the shift towards female autonomy and sexual sufficiency more than the Revlon Charlie perfume advertisements of the 1980s. One such ad campaign from 1987 featuring a woman playfully patting a man on the backside caused an uproar. The NewYork Times even refused to run the ads, saying they were “sexist and in poor taste”
あー、なんじゃこりゃ。ちょっと待って。
どうせ、セクハラ広告が問題になった的な話だろうと空目したけど、よくよく読んだら冒頭、全然違う事言ってないか?
「女性の自己決定と性的な充足へのシフト」って、女性が男性の尻をぺん!することが、女性が社会において力を持ってきていることを示している、と言っている? ホント?
ネタ博物館だからって、適当に解説つけてない? 40年前の広告とはいえ、そんな話がある?
マーケティング関連の財団であるANA Educational Foundation によると……
「フォーブス」のライターであるジョシュア・レヴァインは1990年に「今日の広告では女性は性の対象ではなく、性の攻撃者、少なくとも対等な相手」としてよく描いている」とコメントしている。
また、
レブロンのチャーリーは女性と男性は性的に対等であることをテーマとした広告を出した。それは、性別がひっくり返っているおしりペン(gender-bending pat on the backside)だった。
女性が男性の同僚のお尻を叩くのをジェンダーベンドと……
ジェンダーベンドってのは「女装おじさん」みたいに、性を曲げていることですね
他の例はないのかよおい
つまり、
- これまで……
-
おしりペンといったら、男性が女性にするものだよね!
- 新しい香水のCMでは……
-
今や女性だって自立しているし、平等だ!
だから女性からも男性の同僚にペンするんだ!
んなっ……
なんじゃい
スパ広告に喜び勇んで、調子に乗って深堀りしてしまったのですが、なんかネタが想定外の方向に行き始めました……。とはいえ、少なくとも、わざわざセックス博物館に展示するくらいなのだから、やっぱりこのおしりペンは、なにかしらセンセーショナルな要素があったのだったのでしょう。
上記のページでは、セックス博物館の説明にあったニューヨークタイムズの話も載っていました。
この広告の作者であるMal MacDougall は、この尻叩きはアメフトのチームメイトがするようなもので、性的な意図はないと言っている。しかしニューヨークタイムズはそれを鵜呑みにせず、セクハラだとして広告掲載を拒否した。
まあ、ですよね。「いやーこのお尻叩きは、ただのスキンシップですよー」なんて、おっしゃられても。
ニューヨークタイムズ誌とスパンキング
ニューヨークタイムズが出てきたので、ほんのちょっとだけ脱線……
通称「タイムズ」と呼ばれるアメリカの名門新聞「The New York Times」。世界一の繁華街タイムズスクエアのタイムズはこの新聞から来ています。米国リベラルメディアの筆頭であり、保守代表選手のトランプ大統領に「フェイクニュース」と名指しされ、拳で殴りあう乱闘を繰り広げました。
自らをニューヨークシティのメディアと自負するニューヨークタイムズは、性的マイノリティなどへの強力な支持もさることながら、その柔軟な土壌はわずかながらもスパンキングにも及びます。
SMに傾倒することへのコラムや、スパンキングノベル出版社の話など。そして何より、YouTuberとしても活動されているアメリカの著名なスパンコ、Jillian Keenan 女史の寄稿なんかも掲載されたことがあり、これには本当に衝撃を受けました。だって、日本の大手新聞社が「お尻ペンペンフェチの葛藤」なんてコラム載せないでしょう。
ニューヨークタイムズという名門メディアに「スパンコ」という言葉が載った瞬間です。2012年なので、BDSMを一般大衆に広く認知させた『フィフティシェイズ』よりも何年も前のコラムです。
すごっ。感動。
からの『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』
『フィフティ・シェイズ』三部作は、特集がありますので、こちらもどうぞ
その……まあ、
このような映画に反感を持つ人が一定数いるのは、むしろ普通でしょう。この映画がヒットして、SMプレイの知名度が上がり、危険なプレイや望まないプレイの強要などが色々と問題になったわけですが、とはいえそれはもう、個々人の問題なので……
少なくともこんなアングラなテーマを、ガチのメインストリームにぶち込んだ『フィフティシェイズ』は、それがどういう方向であるにせよ、とても意味のある作品だとは思っています。
本博物館には、もっとエロに関するものが色々あるのですが、ひとまずはこんな感じですね
すみません、ちょっとアダルトすぎるものが多くて当サイトでは出しにくいのです……
さあ、ミュージアムショップ探索だ!
というわけで、あとは気軽な感じでショップを見てみましょう。
なんか面白いのないですかね
Bondage Bearz。いくつか種類がありました。でも、あんまり縛られている感がしないのは自分だけでしょうか。
だあああ! 赤いすごい長い鞭がある! すごい! すごいわぁ! 使ってみたい!!
うっせえ! 急に出てくんな!
道具系は、パドルなんかも含めて、全体的にピンク系が多いですね。
うーん、ピンクだと、どうしてもエログッズ臭がしてしまいますね
いや、エログッズだから
SLUTの反転文字。
インプレッションパドル!
インプレッションという単語は「印象」っていう意味で普通使われますけど、「刻印」という意味もあるんです
でもこの手のパドルは、なんかよくある単語ばっかりでちょっと面白味に欠けるかも
LOVE とか XOXO とか…… Amazonにもありそうなやつ
むしろ 「I♥NY」パドルとか作ってくれた方がお土産としていいんですが、どうでしょう
すごいガーリーな部屋! ティーンの心をくすぐる!
渋谷のLOFTとかに設置されてそうです!
LOFTでこんなにモザイクかかるかよ!
すみません、なんか棒や穴が、当然のようにあちこちに転がってるんですよ…… さすがにそのまま載せられない……
なにこれ、ミニチュアお道具?
かわいい~ かわいすぎる~
私これ買う!
え、ちかさん、金あるの?
……
ルージュの「Mini Impact」シリーズから、ぺしぺしフロッガー&ぺしぺしクロップをご購入。どちらも13ドルでした。
どっちも長さは25センチくらい
実用性は全然ないけど、かわいいからよいのだ
そんな感じで、今回は細かいことは気にせず、とりとめもなく、セックス博物館のレポを書いていきました。エロ系博物館は、海外にもまれにあったりするのですが、日本語のガイドブックなどにも載っていなかったりすると、なかなかハードルが高いですね。
一方で、日本にも一昔前は風俗系の博物館がよく温泉街にあったとWikipediaに書いてありました。でも、それはどちらかというと見世物小屋に近いものかなあとは思います。そして、規制されて無くなったというよりは、バブル崩壊以降、そのような下手物施設は金銭的に維持が厳しくなって淘汰されただけな気もしますが。
SM関連の資料とかであれば、神保町の古書店とかの方が膨大な量があるので面白いですが、本を買ってもかさばるのでなかなか……
90年代、アメリカのBDSMコミュニティが自分たちのシンボルを作るために奮闘した話も、よろしければどうぞ。