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『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』のスパンキングを一画素残らず満喫するガイド【FIFTHY SHADES その1】
BDSMドラマの金字塔「フィフティ・シェイズ」シリーズ3作を、スパンキングに注目して解説していくシリーズの1回目です。まだ見たことない方はもちろん、何度も見た方も新しい発見を得られるよう、色々と視点を変えてご紹介していきます。
はいはい! 今回のシリーズ企画は海外担当の私、吉川とっ、
BDSM担当の源のコンビで進めていきます! よろしくです
「フィフティ・シェイズ」シリーズへのイントロダクション
フィフティシェイズ、知ってるよって方は飛ばしてくださいませませ
映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』は同名小説を原作とし、BDSMという分野の世間認知拡大と普及に一役買った作品です。作品公式のオリジナルグッズまで出したりしていました。
今までSMに興味がなかった人が、SMに興味を持った一方、中途半端な知識で危険なプレイを広めてしまったと、意見が分かれる作品です。
が、アメリカの映画界が金をかけてBDSMをテーマとした一般大衆向け作品(まあR18ですが、そういう意味ではなく)を作った意味は少なくないのではないかと思っています。
この作品は、続編を含めて三部作形式となっています。
- 『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』
- 『フィフティ・シェイズ・ダーカー』
- 『フィフティ・シェイズ・フリード』
もともと有名ファンタジー小説の二次創作として作られたものがベースという成り立ち。原作者は女性で、ストーリーも、冴えない女子大生がセレブイケメンに見初められて関係を築いていくという、少女漫画ばりのシンデレラストーリー。監督も女性。そう、ファンも女性が多いんです。
平凡で冴えないヒロインという設定だが、かわいい、しかも処女
なお、見るなら初回はやはり吹き替え版推奨です。
洋画は字幕派だ、という方もいるかと思いますが、アナの声もかわいいし、彼女の口から出る「おしおき」や「おしりをたたく」とかいった言葉は、まずは日本語で聞くべき。
素敵なスパンキング英語台詞が初っ端から日本語版で台無しにされる事案
日本語で聞くべきと言いつつも、初っ端から英語台詞の話です、すみません。
冒頭のストーリーを三行でまとめると、
- 文学部の女子大生アナスタシア(アナ)がひょんなことから大企業の若きCEOクリスチャン(サディストであることを世間に隠している)といい感じになる
- 泥酔してアナがクリスチャンにイタ電をして、駆け付けた彼により介抱されて自宅に連れていかれる
- 結果として、朝目を覚ますとアナは知らない高級ベッドの中
自分のゲロまみれで人事不省に陥っていたアナに、朝食を与えながらお説教するクリスチャン。そこで彼が言い放ったのは、
字幕版も吹き替え版も同様で
クリスチャン「君が僕のものなら尻を叩いていた」
アナ「はぁ?」
「はぁ?(なにこいつ、お尻を叩くって何言ってんの??)」
そういう感じのはぁ? ですね。いや、まあストレートでいいのですが、英語のセリフ自体は全然違うんです。丁度いい感じに、Movieclips先生がシーンを提供しているので、こちらをご覧ください。タイミングは合わせてあります。
ちょいムズカシイ表現ですが、こんなです。
“If you were mine, you wouldn’t be able to sit down for a week.”
もし君が僕のものだったら、一週間は座れなくなってたろうね。
“What?”
なんてかっこいいいスパ台詞!!
アナも「はぁ?」というより「???? すみません聞き取れなかったのもう一度言ってくれます?」という感じの発音です。
この段階ではアナはクリスチャンがサディストであることを知らないので、完全にこの台詞はクリスチャンの心の声のお漏らしです。
突っ込んだ説明をします。興味なかったら飛ばしてね。
このセリフは、全国の高校生の宿敵である「仮定法過去」という英文法が使われています。これは単純な「if ~ (もし~なら)」という仮定ではなく、「if + 過去形 (もし~だったら)」で、現実と完全に相反することを述べる方法です
日本語でも現実と反する願望を言うときは、「ああ、女湯覗きたいなあ。時を止められたらよかったのに」って過去じゃないのに過去形になるよね
覗くなよ!
ここでのクリスチャンも同じ。酔いつぶれたアナを連れ帰り、服を脱がして着替えさせ、一緒のベッドで寝た上で、「この娘が欲しいけど(そして尻を叩きたいけど)でも自分のものではない」という思いが透けて見えます
そして、もちろんそれは「やっべ、かわいい、付き合いたいわ。でも自分には無理かなぁ」なんていう意味じゃない。なにせ、スーパーセレブだもん。そんな悩みはない
「自分のものにしたいけど、痛みを与えることでしか性的興奮を得られないサディストの自分。この一般人の女の子を、そんな自分の性癖に巻き込むわけにはいかないから、付き合うのは非現実的だ」
ということ。この葛藤に、クリスチャンはシリーズを通して悩まされることになるのであります
そんなクリスチャンの思いもつゆ知らず、トーストを可愛く、はむはむ頬張りながら、助けてもらったくせに若干上から目線のアナ
ああ、お尻叩いてやりたい
スパンキングシーン 01: 前戯
アナの初スパンクは2度目のセックスの前戯中。
前戯としてのスパンキングではなく、前戯のアイスプレイ後、ちょっと一発お尻を叩くだけ。あっれ、1回目のセックスは叩かなかったから、まだかまだかと期待していたのに、2回目もASS SLAP一発のみですか……
『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の総スパ回数は14発。
これは多いのか少ないのか。セックスシーンが8つ、計20分程あることを考えると、そんなに多くないんじゃない…? というのが正直な感想です。
ちなみに、映画『Secretary』の尻叩き回数は計22発です
とはいえ、回数が少ないのは連続打がないからというのも大きな理由です。軽く1、2発叩のペンペンを全編にばらしていろんなシチュエーションでやってくれる、クリスチャンの悪ガキのような腕にはちょっと嫉妬。
この最初のスパンキングも、美しい演出です。仰向けのアナをくるっと回転させてうつ伏せにしてお尻をひっぱたき、そのままバックに持っていく一連の流れは芸術的ですが、言葉ではなかなか伝えにくいですよね。見てない人は見ましょう。
次のシーンが大物なので、このシーンはこれくらいで。
スパンキングシーン 02: OTK
次のスパシーンは——
え? なにこれ、全部のスパシーンにコメントしていくの? バカじゃないの?
ごめんなさい、もしお付き合いいただけるのであれば……
スパシーン No.2 は、ついにディシィプリナリー・スパンキングになります。
半分はジョークですが。このシーンだけでも見たことある人もいるんじゃないかと思います。
良シーンだもの。
このシーンには布石があります。
アナの大学の卒業式。既にお付き合い中のクリスチャンに対して「目玉を回す」という失礼なことをしたアナ。次にやったらお尻叩きだといわれます。(この時点でBDSMマニアであることは既に教えてある)この「目玉を回したらお仕置き」は二人の間のルールとなっていきますが、詳しくは第4回目で。
というわけで、次に目玉を回したらお尻ペンペンの刑を宣告されたアナ。
そして、わりとすぐ目玉をまわすアナ。ありがとうアナ。
腕を掴まれて、口元をニヤニヤさせながら部屋の中へ連行されるアナ。これからクリスチャンにお仕置きをされるってるのに、なにわらってるんだよああかわいいなあ。お尻を丸出しされ、計3発の平手を受けます。
注目するべきは最後にちらっと遠目で映るアナのお尻。
手形がついてる!
ちゃんと叩いてくれてるのか!。いや、もしこれがメイクの手形だったとしても、ちゃんとこういう細かいところまで気を使ってくれるのは本当に嬉しいですよ!
それでは、次にこのシーンのカメラの遷移を見てみてください!
①あおり
②アップ
③あおり
④引き
⑤あおり
⑥アップ
⑦引き
美しい流れです。なぜこのカメラワークをここに載せたのかといいますと、やはりこういうちゃんとした映画作品の演出技術はしっかりと吸収しておいて損はないかと思いまして。
ユニバーサル・スタジオの一流の人たちが描くOTK、参考にさせていただきます
最後にクリスチャンは「Welcome to my world」という超ムカつく台詞でお仕置きを締めます。
うぜえ
(残念ながら、このあとアナはこのworldに馴染めず辛い思いをしていきますが)
しかしこのシーンの布石である、「次やったらお尻叩きだ」という台詞、字幕版はいいのですが、吹き替え版ではいまいち繋がりだとわかりにくい翻訳になっています。(すみませんね、吹き替えにしろとか、原文を見ろとか、字幕版じゃないとわからないとか……)
アナが言われている台詞は
- 吹き替え版「また目玉を回したな、尻を叩かれたいのか?」
- 字幕版「また目玉を回したら、尻を叩くぞ」
- 英語原文「また目玉を回したら、膝の上にのせるぞ」
津田さんボイスでの「尻を叩かれたいのか?」はかっこいいのですが、やはり吹き替え版だと、スパシーンで膝の上に載せられた状態で交わされる
「なんでお仕置きされるのか分かるか?」
「目玉を回したからw」
というやりとりがちょっと生きてこない。
一方で原文もなかなかいいのですが、まあ一般の日本人は「尻を叩く」に変更しないとわからないですよね……
あ、なんかこのシリーズ、全然終わりそうにないです……