5th Anniversary !!

『“Frank” and I 』3部第16章: 互いの往く道【英国スパンキング小説】

― 更に時は過ぎゆき。
― 大きな変化。
― 打ち明け。
― フランジスと結婚。
― 口での戯れ。
― 最初で最後の。
― 別れの悦楽。
― 互いの往く道。
― 独り。

 これから僕は、三年間の月日を飛ばして語ることにする。フランシスは24歳になり、僕はもうすぐ40になろうとしていた。

 この期間、僕たちはとても良い関係を保っていたし、彼女のふるまいについて咎めるようなことは一度もなかった。僕たちがどこへ行っても彼女はひときわ注目を集めていて、旅行中に泊まったヨーロッパ各地のホテルでは、いつも男たちが彼女にまとわりついていた。それでも、フランシスは決して彼らに馴れ馴れしくさせることがなかったので、ちょっとした火遊びくらいは気にしないことにしていた。ブルックのことは、それ以来一度も見かけなかった。

 フランシスは僕に対して一度も不実なことをしたことはなかったが、正直に言えば、僕の方は何度か彼女を裏切ったことがある。単に、ちょっとした変化が欲しくなったというだけの理由で。でも、彼女よりもスタイルのいい女にも、彼女ほど抱いて快感を覚える相手にも、結局のところ一度も出会わなかった。

 僕はいつも彼女と一緒に暮らしていたわけではなく、時折はオークハーストで過ごし、年に一度はスコットランドにも行っていた。それでも毎年夏には、必ずフランシスを海辺の保養地に1ヶ月ほど連れて行き、冬には毎年のように海外にも連れて行った。スペインやアルジェを訪れたこともあるし、ある年には地中海を六週間かけて巡る蒸気ヨットのクルーズにも一緒に出かけた。

 彼女を再びバーチで打つことはなかったが、時々はお尻ペンペンのお仕置きをくれてやった。彼女はいつも、痛みによる小さな悲鳴と涙以外には、とくに文句を言うこともなく素直に受けていた。僕たちは今や、どこか落ち着いた老夫婦のようにお互いに情を持っていたし、一緒に過ごす夜には、それなりに楽しんでいた。

 とはいえ、最近ではふと、「この関係は一体どんなふうに終わるのだろう」と考えてしまうことがよくあった。
いずれ、僕がこの関係を重荷に感じて、終わらせたくなるのではないか、そんな予感がどこかにあった。

 だから、万が一に備えて、フランシスの名義で、堅実かつ高利回りの株や債券に資金をいくらか投資しておいた。
そうしておけば、もし別れることになっても、彼女には十分な収入が残る。結局のところ、僕が誘惑して関係を持ち、そしてずっと誠実でいてくれた女性に対して、せめてもの誠意を示すには、それが最低限の礼儀だと思ったからだ。

 僕は、フランシスのために用意しておいたお金のことを、彼女には一言も話していなかった。だが、彼女は僕が一緒にいるときには、小さな家でとても幸せそうに見えたし、僕がいないときも、いつも元気な調子の手紙を送ってくれていた。


 さて、話を本筋に戻そう。

 そのときは11月の終わりで、僕はキングズクロス駅に到着したばかりだった。2か月ぶりの帰りで、その間は地方のいくつかの邸宅を転々としていた。その間、フランシスとは一度も会っていなかったし、女を抱くことももなかった。だからこそ、可愛い恋人を腕に抱く瞬間が待ち遠しくてたまらなかった。

 別邸に着いたのは、ちょうど午後5時頃だった。

 迎えてくれたフランシスは、とても愛情深い様子で、柔らかな濃い色の布地で仕立てた素敵なワンピースを身にまとい、四角く開いた襟元からは、白い胸元の上部がのぞいていた。明るく照らされた、かわいらしく整えられた小さな居間で、僕たちは暖炉のそばに並んで座った。

 フランシスが紅茶の用意をしているあいだ、僕は滞在先で出会ったいろいろな人たちの話を聞かせた。彼女はカップに紅茶を注いで持ってきてくれ、僕の椅子の後ろに立ちながら、僕がその爽やかな飲み物を口にするのを見守っていた。そして時折、身をかがめて僕にキスをしてくれた。

 やがてフランシスは、僕の膝の上にちょこんと腰を下ろした。すると当然のように、僕の手は彼女の服の中へと滑り込み、下着をつけていなかった彼女の陰部の柔らかな産毛を指先でそっとなぞり始めた。同時に、フランシスの手は僕のズボンのボタンを外し、2か月ぶりの休養で力を蓄えていた僕のものを外に出した。彼女は親指と人差し指で、赤くなった先端を何度か包んでは露わにし、くすくす笑いながらこう言った。

「ご無沙汰だったけど、いい子にしてたのかな、坊や?」

「もちろん、してたさ。こんなに硬くなってるのも、我慢してたからだよ」と僕は笑顔で答えた。

「うーん、それじゃ証拠にはならないな。君は簡単に硬くなるんだもの。でもまあ、今から私が解き放ってあげる」

 そう言って彼女は僕の膝の上から降り、背中をこちらに向けた。それから、ゆっくりと慎重に、可愛らしいスカートをすべて腰の上までまくり上げ、一瞬そのままの姿勢で立っていた。僕に、彼女の白く美しいお尻とふっくらとした太ももを、じっくり見て味わわせるためだった。

 それから彼女は僕にぴったりと背を寄せ、両脚のあいだから手を伸ばすと、僕のペニスをそっと握り、的確な位置へと導いた。ゆっくりと腰を沈めながら、彼女は僕を少しずつ体の奥へと迎え入れていき、やがてその柔らかな尻が僕の下腹に触れるまで深く座り込んだ。彼女の背中は僕の胸にもたれ、僕の膝の上にすっぽりと収まっていた。

 僕は彼女のペチコートの下に腕をまわし、腰に手を回すと、ひんやりとした柔らかな下腹に手を重ねた。そして腰を上下に動かしながら、勢いよく彼女を突き始めた。僕の動きにフランシスも見事に応え、官能的な仕草で腰を上下に揺らした。そのため、ほんの数秒もしないうちに、僕は快感に全身を震わせながら果て、多量の精液を「愛の洞穴」へと注ぎ込んだ。

 すべてが終わったあと、僕たちは寝室に引き上げて服を着替えた。

 それから階下に降りて、フランシスが用意してくれていた美味しい夕食をとった。

 まずは澄んだスープ、続いてロブスターソースのかかったターボット。それからローストしたライチョウが2羽、仕上げにスフレ。シェリー酒とシャンパンを飲みながら味わった。食後にはデザートと、コーヒー、それにリキュールも堪能した。

 それから、僕が葉巻を1本吸ったあとで、ふたりで居間へ移った。

 ただ、夕食のあいだずっと気になっていたことがある。フランシスは元気そうで機嫌も良さそうだったけれど、いつもほどおしゃべりではなかった、ということだった。

 僕は安楽椅子に腰を落ち着けて夕刊を読み始め、フランシスは本を手に取った。でも、彼女があまりその本に集中していないのはすぐにわかった。そして時折、どこか不安げな表情で僕の方をちらちらと見てくるのだった。何か悩みごとがあるのは明らかだった。

 いったい何だろう、と僕は思った。

 数分ほどたった頃、彼女は本を閉じて、昔からの癖のように僕の足元にあるスツールに腰を下ろした。膝に腕をのせ、僕の顔を見上げながら、こう言った。

「チャーリー、」

 真剣な口調で、彼女はそう切り出した。

「どうしても話したいことがあるの」

 彼女がそんなに真剣な様子を見せるのは珍しかったので、僕は少し驚いた。

「何だい?」と僕は軽い調子で尋ねた。

 てっきり、仕立屋に借金でもしてしまったとか、そんな話だろうと思った。だが、彼女が切り出したのは、それどころではない、もっとずっと重要なことだった。

 彼女は話し始めた。

「ねえ、チャーリー。あなたが私を家に引き取ってくれたあの日から、ずっと親切にしてくれたこと、本当に感謝してる。それに、私たちはとても相性がよかった。今でもあなたのことを愛してるし、あなたも少しは、まだ私を想ってくれてると思ってるの。でもね、ずっと考えてたの。いつかあなたが結婚してしまうんじゃないかって。……もちろん、私ほどあなたを愛する女なんて、もう出てこないと思うけど。それか、何か理由ができて、あなたが私のもとを離れることになるかもしれない……そうなったら、私はどうすればいいの?」

「おいおい、フランシス」と、僕は身をかがめてキスをしながら言った。「もし君の言うどちらかのことが起こったとしても、君の将来は大丈夫だよ。君が困らないように、ちゃんと手は打ってある。でも、どうしてそんな話をするんだ? 僕は結婚なんてする気はないし、君のそばを離れたいとも思っていないよ」

 彼女は感謝のキスをくれて、こう言った。

「今はまだ、私のことを離したくないって思ってくれてるかもしれない。でも、きっとそのうち、あなたは私に飽きてしまうんじゃないかって心配なの。私は今は若いし、あなたはかわいいって言ってくれるけど……でも、いつまでもそうでいられるわけじゃないから」

 彼女の言葉には、たしかに一理あると思った。だから、僕は何も言わなかった。

 すると彼女は、どこか焦るように言葉を続けた。

「これから話すことは、あなたを驚かせるし、もしかしたら怒らせてしまうかもしれない。でも、あなたが留守のあいだに起きたある出来事について、もう隠しておくのはよくないと思って……」

 そこで彼女は一度言葉を止めた。僕は何が来るのかと身構えた。彼女は話を続けた。

「今から六週間ほど前のことなんだけど、公園のとてもきれいな一角で、本を読んでいたの。そしたら、身なりの悪い浮浪者みたいな男が近づいてきて、『腹が減って死にそうだから、パンを買うお金をくれ』って言うの。私は財布から6ペンスあげたの。たまたま、その財布には銀貨がたくさん入っていて……それに気づいた男が、私が財布をポケットに戻したとたん、いきなり私に掴みかかって、強引に奪おうとしたの」

「私は抵抗して、大声で叫んだの。その声を聞いた紳士の方が助けに走ってきてくれて、その男を追い払ってくれたの。腕にはアザができるし、すごく怖くて、体中が震えてた。それでその方が、私の腕を取ってくれて、公園の外まで一緒に歩いてくれたの。それから辻馬車に乗せて、家まで送ってくれたの」

 僕は怒りにかられて、思わず「なんだって……!」と声を荒げた。

 フランシスは僕の手にそっと手を重ねて、なだめるように言った。

「ねえ、チャーリー。怒らないで。私は悪いことは何もしてないのよ。話の続きを聞いてから判断してほしいの」

「……続けてくれ」と、僕は苛立ちを抑えきれずに答えた。

「翌日、その方が私の家を訪ねてきたの。それで紅茶をお出しして、いろいろとお話したの。その後も何度か家に来てくれて、私も時々、公園でお会いしたわ。とても紳士的な方で、私のことをいつも丁寧に扱ってくれた。それに、その方……私のことを愛してるって言ってくれたの。そして今日……私に結婚してほしいって、プロポーズしてくれたの。」

 僕は完全に虚を突かれて、激しい怒りが込み上げてきた。

「ふ、ふざけるな!」と、僕は声を荒げた。「そいつは誰なんだ? どんな男なんだ。まさか……お前、そいつのことを好きになったのか? そもそも、そいつはお前を騙そうとしてるだけじゃないのか?」

「そんな人じゃないと思う」と、彼女は言った。

「名前はマーカムさん。年は45歳くらい。未亡人で、子どもが2人いるの。6歳の男の子と、9歳の女の子。
ケープの植民地で商売をしていて、かなり裕福な方よ。私は彼のことを好ましく思ってる。でも、愛してるわけじゃないの」

 僕はその思いがけない話を反芻しながら、しばらく沈黙していた。それから口を開いた。

「君は……その男と結婚するために、僕のもとを離れたいと思っているのか?」

「このことに関しては、あなたの意見と望みにすべて従う。もし、あなたが私にそばにいてほしいと思ってくれるなら、私はここに残る。でも、あなたがマーカムさんを受け入れるべきだと思うなら、私は彼と結婚する。さっき言ったこと、ちゃんと考えてみて。それで、あなたがどうしてほしいか、教えて」

 僕は、彼女が語ったことを深く考えた。そして最終的に、こう結論づけた。

 今この瞬間にフランシスと別れたいとは思っていない。けれど、彼女の行く手を遮って、結婚を妨げるのは間違いだ。そんな申し出は、もう二度と来ないかもしれないし、もしその男が裕福で、きちんとした紳士なら、その結婚は彼女にとっても――そして僕にとっても――悪い話ではない。なぜなら、彼女の将来についての責任から、僕は解放されるのだから。

 そこで僕は、彼女にキスをして言った。

「……そうだね、フランシス。君と別れるのは本当に残念だけど……でも、こういう状況なら、マーカム氏の申し出を受けた方がいいと思う。彼が言っていることが本当かどうか、僕の方でも調べてみるよ。でも、君自身の気持ちをきちんと確かめてから、正式に答えるようにしてほしい」

 フランシスは椅子に腰を下ろし、顎に手をあてて深い思索に沈んだ。だが、僕には彼女がどうするか、なんとなく想像がついていた。きっと彼女は、あの男の申し出を受け入れるだろう。女性というのは皆、結婚して自分の家を持ちたいものだ。夫がそのうち飽きたとしても、自分に非がない限り追い出されることのない、安定した居場所を、誰だって欲しがる。

 しばらくして、彼女が言った。

「まだ心は決まってないけど……今夜じっくり考えてみる。明日、彼と会って、返事をすることになってるの」

 その話題については、それ以上言うことはなかった。僕たちはそろって黙り込み、それぞれ物思いに沈んだ。動揺していて、ゆったり落ち着いて座っていられる気分でもなかった。だから早めに寝室へと向かった。

 でも、ベッドに入って、肌と肌を重ね、脚を絡め合ったそのときには、ふたりの思考はたちまち淫らな方向へと傾いていった。そして眠りにつく前に、ふたりで2度、甘い交わりを重ねた。

翌朝、朝食のあとで、僕は彼女に訊ねた。
「気持ちは、もうはっきり決まったのかい?」

「ええ……」と、かすれた声で彼女は答えた。
「マーカムさんと結婚することにしたわ。」

そう言って彼女は僕に歩み寄り、僕の体に腕を回して、胸元に強く抱きしめた。
その頬には、涙がつたっていた。

「チャーリー……!」

彼女はしゃくり上げながら言った。

「あなたと別れるのは、ものすごくつらい……本当に、つらいの……!」

それから、無理に笑みを浮かべながら、こう付け加えた。

「でも、私が年をとって醜くなる前に、あなたに飽きられる前に離れた方が、かえっていいのかもしれないわね」

 彼女があの男と結婚する決心を固めるだろうということは、最初からわかっていた。それでも、長い年月を共に過ごし、たくさんの幸せな思い出をくれた可愛い恋人を、もうすぐ失うと思うと、胸は重く沈んだ。

 けれど僕は、自分にこう言い聞かせて慰めた。

 彼女は自分の意志で僕のもとを離れるのだから、僕が追い出したわけではない。だから、あとで後悔することも、自分を責めることもない。……いずれにせよ、いつかはそうなる運命だったかもしれないのだから。

 午前11時、彼女はマーカムに会うために外出した。僕は家に残って、手紙を書いて過ごした。

 彼女はいつも通りの時間に昼食のために戻ってきて、すべてが決まったこと、そして結婚の日取りも定まったことを僕に告げた。それから、婚約者から贈られた指輪を見せてくれた。

 けれど、自分が間もなく「世間体のいい既婚女性」になるという事実に、彼女はまったく浮かれている様子を見せなかった。それどころか、昼食のあいだも何度も、どこか寂しげな目で僕を見つめていた。

 僕は午後をロンドン金融街で過ごし、マーカムについて調べまわった。すると、彼が評判の良い人物であることがわかった。ケープのダイヤモンド商で、かなりの資産家だといわれていた。彼について良い評判を聞けたのは、正直なところほっとした。というのも、僕は最初、フランシスを手に入れるためだけに近づいたペテン師ではないかと疑っていたのだ。

 夕食の席で顔を合わせたとき、フランシスは少し気分が明るくなっているように見えた。僕はマーカムについて聞きこんできた話を伝え、彼女は結婚式が1か月後に決まったことを話してくれた。それからふたりで、今回の一件について長く語り合い、僕は彼女に「父親のような忠告」をいくつかしてやった。

 日々は過ぎていった。

 フランシスは毎日どこかで恋人と会い、やがて持参品の準備に熱を入れ始めた。すでに大きな衣装持ちだったにもかかわらず、次々と荷造り用のトランクや帽子箱、ありとあらゆる女物の衣装が邸宅中にあふれかえった。相手が裕福な男なのだから、僕が今さら何か持参金のような形で支援する必要はないだろう、そう思っていた。けれど、持参品の費用だけは僕が負担すると言い張った。彼女は「マーカムさんがそのための資金をたっぷり渡してくれたの」と遠慮してはいたが。

 この時期、彼女はこれまで以上に僕に優しく、愛情深かった。目に涙を浮かべていることも多く、何も言わずに、ただ僕の手を両手で握ってじっとしていることもあった。一方で、昼間、僕の隣に座っているときなどに、突然ズボンのボタンを外し、僕のものを取り出して戯れはじめ、そのまま僕が彼女を抱く流れになることもあった。

 実際、昼でも夜でも、彼女は僕にできるだけたくさん抱いてほしいと望んでいるように見えた。まるで、別れる前に少しでも多く僕を自分の中に感じていたい、そんなふうに。

 やがて持参品の準備はすべて整い、トランクもきちんと詰め終わり、結婚式まであと1週間というところまで来ていた。式はごくこじんまりとしたものになる予定で、前日にホテルへ入り、そこから当日式を挙げる流れだった。

 1週間はあっという間に過ぎた。

 そして彼女が出発するその朝、彼女は早く目を覚まし、すぐに僕のことも起こした。

「これが、ふたりで同じベッドで迎える最後の朝なんだ」

 そう思った僕は、そのひとときをできる限り長く引き延ばし、ゆっくりと味わおうと心に決めた。

 僕は、彼女のまぶたに、桃のような頬に、そしてバラ色に香る唇にキスをした。それから、掛け布団をすっかり払いのけ、自分の寝間着を脱ぎ、フランシスにも同じように脱がせた。

 部屋には暖炉の火が、心地よく燃えていた。

 そして僕は、裸のままのフランシスを愛おしむように、思いつくかぎりのやり方で彼女と交わった。彼女の体を何度も転がし、さまざまな体勢にさせ、全身の隅々に手を這わせ、柔らかな肉にあちこち軽く噛みついた。彼女の白くて豊かなお尻を、ほのかな紅がさすまでペンペンした。僕は、艶やかな背中や肩、丸みを帯びた太もも、ふくらはぎにかけて、軽くビンタを続けた。そして、なめらかで柔らかな腹部にも、そっと数回、優しく手のひらを当てた。

 彼女の全身が火照り、頭の先からつま先までぴりぴりと震えて、ふたりとも興奮の極みに達したそのとき、僕は彼女の金色の髪に縁どられた甘美な小さな唇に口づけを落とした。そしてそのあたたかい奥に舌を深く差し入れ、しばらくのあいだ、そこにある小さな敏感な突起をやさしくくすぐった。

 フランシスは全身を震わせ、身をよじらせ、もだえながら、うっとりとした快楽の極みに目を見開いていた。

 僕は素早く舌を引くと、彼女は上体を起こして僕を見つめた。頬は赤く染まり、瞳はきらきらと輝き、その胸は大きく上下していた。

「あああっ……!」

 彼女は大きく息を吐きながら叫んだ。

「なんて気持ちよかったの……! あなたの舌、あったかいビロードみたいだった。チャーリー……どうして今まで、こんなこと一度もしてくれなかったの?」

 僕は笑ったが、何も答えなかった。すると彼女は言った。

「じゃあ、今度は私がしてあげる」

 やがて彼女は僕の脚のあいだに身を横たえ、そして生まれて初めて、僕のものを口に含んだ。柔らかな舌で先端をくすぐるように愛撫し、唇で包みこむように動かしながら、時折そっと歯を当てては、僕を焦らすように刺激を与えた。

 その刺激は次第に激しくなり、僕は理性を失いそうなほどの欲望に突き動かされ、もうほとんど果てる寸前だった。

 彼女の口から僕のペニスを引き抜くと、僕はそのまま彼女の上に覆いかぶさった。そして僕たちは互いをしっかりと抱きしめ、身体がひとつになったように感じられた。僕の裸の胸は、彼女の鼓動する素肌の胸と触れ合う。腹と腹が擦れ合い、唇と唇が深く重なる。舌は彼女の口内を探り、そして、僕は彼女の中に深く入り込んでいた。

 彼女の尻の両ほっぺをしっかりと握りしめ、腰に彼女の脚が絡みつく中で、僕は激情に突き動かされるまま、深く彼女の中へと繰り返し求めた。抜くことなく2度果てるあいだ、彼女はあえぎ、声を漏らし、そのたびに腰を激しく震わせた。

 すべてが終わったあと、彼女は僕の腕の中に身を預け、快楽のあまりほとんど気を失いかけていた。全身、頭の先からつま先まで、小さく震えていた。それはまさに極上のひとときで、僕たちは心の底からその時間を味わい尽くしたのだった。

 僕たちはベッドから起き上がって、風呂に入り、服を着替えてから朝食に降りた。けれど、どちらもほとんど食欲はなかった。気分は沈みがちで、全体としてその食事はどこか感傷的なものになった。それでも、お互いに明るくふるまおうとはしているのは分かった。

 朝食が終わるとすぐに、フランシスは身支度のために部屋を出ていった。そして30分ほどして戻ってくると、帽子まできちんとかぶり、完全に旅支度を整えていた。いつものように、彼女の服装は洗練されていて、そして驚くほど魅力的だった。やがて、四輪の馬車が邸宅の門に到着し、トランクや帽子箱が運び出されて馬車車の屋根に積まれた。

 ついに、別れのときが来たのだ。

 フランシスは僕にしがみついて激しく泣きながら、何度も何度も情熱的にキスをしてきた。

 僕は喉の奥に塊がつかえたような気持ちで、フランシスの腕をそっと首からほどいた。そして、長く名残惜しいキスを交わしたあと、彼女を家の外へと導き、馬車に乗せた。

 彼女は車内の隅にもたれかかりながら、ハンカチで目を押さえてすすり泣いていた。そして次の瞬間、馬車は静かに走り出し、僕はひとり、その場に取り残されたような気持ちで、しばらく立ち尽くしていた。

 その日はクラブで過ごし、夕食もそこでとった。それから早めに別邸へ戻ったのだが、居間に入ると、そこにあるすべてのものが、失った恋人の面影を強く思い出させ、どうしようもなく気分が沈んでしまった。

 いてもたってもいられず、家を出てミュージックホールへ向かった。ただ、夜遅くに眠れる時間になるまで、時間を潰すためだけに。

 翌朝、目を覚ますと、いつものように股間は反応していた。ちょうど24時間前の、あの素晴らしいひとときを思い出し、その瞬間、もう一度フランシスを腕に抱けるなら、何だって差し出す気持ちだった。

 彼女は、その日の午後2時に他人の妻となった。

 けれど僕は、彼女が「嫁いでいく」場面を見に行くことはしなかった。

 新婚のふたりはパリでひと月を過ごし、その後、ケープへ向けて出航した。

 フランシスは、出港の日にサウサンプトンから手紙をくれた。長い手紙の中で、彼女はこう綴っていた。夫は優しくて親切な人だけれど、彼女にとって本当に特別だったのは、最初で唯一の恋人チャーリーであり、あなたのことは、きっと一生忘れないだろう、と。

 その数日後、僕はあのヴィラを競売会社に任せ、家具もすべて売るように頼んだ。
それからオークハーストの自宅へ戻った。

 最初のうちは少し落ち着かなかったが、やがて以前の暮らしに自然と戻っていった。

 フランシスが結婚して最初の一年のあいだは、彼女から時おり手紙が届いた。だが、そのうちぱったりと音沙汰がなくなり、僕はもう二度と彼女の消息を聞くことも、姿を見ることもないのだろうと思った。

 彼女は僕の人生から、完全に消えてしまったのだ。そんなふうに感じていた。

こちらもどうぞ

目次