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『“Frank” and I 』3部第17章: フランシスとの再会【英国スパンキング小説】

本章は本文中に、現在の倫理基準では流石に当サイトでも不適切と判断されるシーンがあるため、当該部分を削除してあります。

― 世界一周旅行。
― 各国の女たち。
― 日本人娘とお仕置き。
― 中国で鞭打ちを見る。
― メイドのメアリーと彼女の体験談。
― 慈善施設でのお仕置き。
― 未亡人となったフランシス。
― 再び結ばれ。
― 彼女の結婚生活の話。
― そこそこインポな夫。

 さらに2年ほどの月日が流れた。

 そのあいだ、僕なりにいろいろと気を紛らわせてはいたが、セント・ジョンズ・ウッドでも、ほかのどこでも、新たに誰かと暮らし始めるようなことは一度もなかった。イギリスにいるときは、主にオークハーストで暮らしていたが、
しばしば大陸を旅していた。それに加えて、一度世界一周の旅にも出かけた。急ぐ理由もなかったので、その旅には8か月かけてゆっくりと回った。

 これといって目を見張るような冒険に出会ったわけではなかったが、人生の奇妙な一面をいくつも垣間見ることができたし、さまざまな国の女性たちと抱き合うこともあった。

 旅は西回りで始めたのだが、アメリカを横断するあいだには、ニューヨークからサンフランシスコまで、各地の大都市でアメリカ娘たちと情を交わした。

 ハワイ諸島では、褐色の肌のほとんど裸の乙女たちがフラダンスを踊るのを見た。淫らなパフォーマンスが終わると、先住民の小屋のマットの上でダンサーのひとりと交わった。

 僕はしばらくのあいだ日本に滞在した。そして、エドにいるあいだに「ヨシワラ」にも2度ほど足を運び、そのたびに、化粧の濃い見事な装いの遊女と一夜を過ごした。けれども、僕がより好んだのは、地方の茶屋に行って、芸者や可愛らしい日焼けした小柄な娘たちと過ごすことだった。彼女たちはみな陽気で、あらゆる遊びや戯れに長けていた。

 あるとき、僕は一人の娘に驚かされた。彼女は小柄でふくよかな体型だったが、ほぼ素っ裸で遊んでいた。いつものようにいちゃついたあと、私は突然彼女を膝の上にうつ伏せにさせ、ぷっくりと丸い小さなお尻をピシャリと叩いた。彼女はすっかり驚いて、笑っていいのか泣いていいのか分からない様子だった。戯れでお尻を叩かれたことは初めてだったようで、男が女と楽しむあらゆる方法には馴染みがあった彼女でさえも、まったくの未経験だった。

 彼女を立たせると、黒い瞳に涙を浮かべながらじっと私を見つめ、同時に両手でお尻をさすっていた。それから、ヒリヒリとした痛みが徐々に和らいでくると、彼女は微笑みはじめ、ついには声を上げて笑い出した。そして私は彼女と交わった。

 中国に滞在していたとき、僕は広東の街に数日間滞在し、川に浮かぶ「花船」を二、三艘訪れた。しかし、そこの女の子たちに魅力を感じなかったので、関係を持ったのは一人だけだった。しかし少なくとも「中国女を一度は抱いた」と言えるようになった。その後のインドでは、現地の娘たちの魅力を試し、セイロンではシンハラ人の娘たちを味わった。

 私が広東に滞在していた間、罪人に竹の鞭が使われる場面を見ることができた。案内役として雇っていた中国人のボーイは、アー・ワンという名の頭の良い男だった。彼はピジン英語(中国語がまざった英語)を話すことができた。

 ある日、外国人に見せる定番の名所を一通り巡った後、そのボーイが私にこう尋ねた。「あなた、処刑見たい? 2人の悪いパイレーツ、首チョッパする、見に行くカ?」

 彼が言おうとしていたのは「2人のpirate」だったのだが、中国人は「R」の音を発音できず、いつもそれを「L」の音にしてしまうのだ。

僕は、それは見たくないと答えた。でも、竹の使用法にはとても興味があると伝えた。そしてできれば、女性の罪人が罰を受けるところを見てみたいとも付け加えた。それから、そんな当てがあるかどうか彼に尋ねた。

 すると、僕の言ったことを聞いても、アー・ワンの無表情な顔には驚きのそぶりひとつ見えなかった。彼はうなずいてこう言った。

「大丈夫。そいつはマンダリンの裁判所で、すごく簡単にできるヨ。そのうち連れてってあげるネ」と言った。

 マンダリン(訳注:清の官僚)の裁判所は、英国の警察裁判所にやや似ているが、マンダリンの権限は、こちらの国の警察判事よりもはるかに絶対的である。僕がアー・ワンとその話をしてから2日ほどたったある日、彼が輿と担ぎ手を連れて僕の宿に現れた。

 「ついて来テ」と彼は簡潔に言った。

 僕は輿に乗り込んだ。彼は担ぎ手たちに何やら指示を出し、僕たちは出発した。アー・ワンは輿の横を歩いてついてきた。およそ30分ほどで裁判所に到着した。それは大きな木造の建物で、一般の人々が自由に出入りできるようだった。マンダリンは高い机のような場所に座っており、そのまわりを兵士や他の役人たちが囲んでいた。そして法廷内には、あらゆる階層や身分の人々が大勢いた。

 アー・ワンはできる限りの英語で、すべての進行を僕に通訳してくれた。僕は、何人もの被告人がマンダリンによってさまざまな刑を言い渡されるのを見ていた。しかし、ひとりとして竹の鞭を受ける者はいなかった。

 僕はそろそろ引き上げようかと考え始めていたそのとき、ひとりの女が判決を受けるために連れてこられた。アー・ワンの話によると、彼女は船に放火したところを見つかった船住まいの女だった。広東では何千もの家族が川の上の船で暮らしているため、これは非常に重大な犯罪とされているようだ。

 その女は労働階級の女だったので、「小さな足」(訳注:纏足のこと)はしておらず、力強そうな見た目の25歳くらいの女で、下級階層の女としては見た目も悪くなかった。彼女はきちんとした身なりをしており、腰まで垂れるいつものゆったりとした青い綿の上着を着ていた。ズボンも同じ色と素材で、幅の広いものだった。長くて粗い黒髪は複雑な巻き方でねじられ、両側にそれぞれ約5センチほど突き出した、幅広で長い真鍮のかんざし4本で留められていた。

 マンダリンは犯人の女に対して厳しい口調で話しかけたが、彼女は無表情のままじっと彼を見つめて立っていた。しかしマンダリンがしばらく話し続けるうちに、女の顔には強い恐怖の色が浮かび、彼女は突然泣き出し、両手を差し伸べて、哀れみを乞うような訴えをした。アー・ワンが僕にささやいた。

「あの女、たくさんバンブーもらうね」

 マンダリンが合図をすると、3人の兵士が泣き叫ぶその女を押さえつけ、うつ伏せの姿勢で床に寝かせた。両腕は体に対して直角に伸ばされた。2人の男がしゃがみ込み、それぞれ女の片腕を押さえつけ、3人目の男もしゃがんで、彼女の足首をしっかりと揃えて押さえ込んだ。

 4人目の男が、彼女のゆったりとした上着を肩までまくり上げた。それから彼は彼女の腹の下に手を差し入れ、ズボンのひもをほどいて、それを踵までずり下ろした。こうして、法廷にいる人々の前に、女の下半身がむき出しにされた。辮髪(べんぱつ)の見物人たちは無表情でそれを見つめていた。彼らにとってそれは珍しい光景ではなかった。広東では、女が公衆の面前で鞭打たれることはよくあるのだった。

 その女の尻は幅広くをしており、肉付きのよい尻たぶを持っていた。肌はなめらかで、太ももはとても太く、脚もたくましかった。いずれにせよ、それはまさにこれから鞭打たれる女性の尻であり、それだけで僕には十分だった。そして、露出したふくよかな臀部を見つめているうちに、僕はある種の興奮を覚えた。

 2人の男が、竹の鞭を手にして犯人の左右にひざまずいた。その体罰用の道具は、長さ約60センチ、幅およそ8センチの割り竹で、打たれる際は、丸くカーブしている側が肌に当たるように用いられた。

 マンダリンの合図で、刑が始まった。一人の男は女の尻の上部から下へ向かって打ち下ろし、もう一人は太ももの中ほどから上へ向かって打ち上げていった。その打撃はかなりの力で加えられた。一打ごとに、女のふくよかな肉体に平手のような音が響き、肌には幅広い赤い帯状の痕が残っていった。彼女は泣き叫び、激しくもがいたが、押さえつけている男たちはその体勢を崩さなかった。鞭を打つ2人の男は、次々と素早く打ち続けた。やがて2本の竹は彼女の尻の中央で交差し、その頃には肌全体が深紅に染まっていた。

 それから彼らは、先ほどと同じように、女のよじれる尻に再び鞭を加え始めた。一人は上から下へ、もう一人は下から上へと打っていった。竹の鞭が犠牲者の震える尻にピストルのような音を立てて打ちつけられた。激痛の中で筋肉を収縮させたり緩めたりするたびに、大きな尻が開いたり閉じたりした。そして罰が続くにつれ、彼女の叫び声はますます大きく、鋭くなっていった。

 再び竹が中央で交差したとき、マンダリンが合図を出した。すると、2人の男は鞭打ちをやめ、他の男たちも女の手足を押さえるのをやめた。しかし彼女は床に倒れたまま、激しい苦痛に身をよじらせながら、甲高い声で泣き叫び続けていた。

 数えていたが、彼女は合計で50回の激しい打擲を受けた。そして彼女の尻は、まるで巨大なレバーの塊のように見えた。しかし、血は一滴も流れていなかった。誰も彼女に注意を払おうとはせず、やがて彼女の泣き声は、身体全体を震わせるしゃくり上げるようなすすり泣きに変わり、それに合わせて、彼女の大きな尻はゼリーのように震えていた。

 彼女は苦労しながら立ち上がり、ズボンを引き上げた。そして、全身を震わせながら、なんとか腰の紐を結んだ。
その後、2人の兵士が彼女の腕を取り、彼女を法廷の外へと連れ出した。彼女はすすり泣き、うめき声を上げ、足を一歩前に出すのもやっとの状態だった。

 彼女は刑務所へ連れて行かれた。というのも、鞭打ちに加えて、1年間の懲役刑も言い渡されていたからだ。僕は法廷を後にし、輿に乗ってホテルへと運ばれて帰った。それからアー・ワンにカムシャウ(訳注:広東語での “感謝” かと思われる。おそらくチップを指している)をたっぷり渡すと、彼はいつも通り無表情な顔で立ち去った。

 その2日後、僕は広東を離れて香港へ向かい、郵便船に乗り込み、やがて無事ロンドンへと到着した。


 僕がイギリスに戻ってから、すでに3か月が経っていた。

 僕はオークハーストで静かに暮らしていたが、気が向けばいつでも「やる相手」を得られるようになった。というのも、僕には自由にできるパーラーメイド、メアリーがいたからだ。

 この娘は、僕が世界旅行に出かけたときにはまだ屋敷にいなかったが、僕の不在中に家政婦によって雇われていた。

 メアリーは23歳くらいで、背が高く、見栄えのする、体つきの整った娘だった。濃い茶色の髪を持ち、足元や足首もきれいに整っていた。僕は帰宅して数日後に彼女に惹かれるようになり、まったく苦労することなく親しい関係を築くことができた。というのも、彼女は僕の家に仕える前から、その手の経験が少なからずあったのだった。

 しかし、彼女は結構いい体つきで、白い滑らかな肌、引き締まった胸、そして大きなふっくらとしたお尻を持っていた。僕は、下着が汚れているような娘には触れる気になれないのだが、メアリーは、服装も身だしなみもとても清潔だった。だから僕は、いつどんなときでも彼女のペチコートをまくり上げるのにためらいを感じることはなかった。

 メアリーはまた、「恋の技」にもよく通じていて、ひとつの点を除いて、僕が望むことはほとんど何でも受け入れてくれた。彼女はどんな形であれ、鞭で打たれることだけは決して許そうとしなかった。

 ある日、僕が彼女をたっぷり抱いたあとで、どうしてそんなにちょっとした鞭打ちを怖がるのか尋ねてみた。すると彼女はその理由を話してくれた。そして、自分のこれまでの人生についても簡単に語ってくれた。


 彼女は孤児であり、その後、慈善施設で育てられたが、そこではどんな種類の過ちを犯しても、少女たちに対して容赦なく体罰が加えられていた。幼い子たちはお尻を叩かれ、年長の子たちはバーチで打たれた。

 彼女自身も、小さな頃には何度もきつくお尻を叩かれ、大きくなってからは何度も厳しくバーチで打たれた経験があり、今では「鞭」という言葉を聞いただけで、肌がぞわっとするのだという。

 彼女がその施設にいた頃、そこには50人以上の少女たちがいて、彼女たちは16歳になるまでその場に留め置かれていた。そして16歳になると、奉公に出されることになっていた。なお、どの少女も、施設を出るその日まで、いつでも枝鞭で打たれる可能性があった。

 毎朝9時になると、学習室で決まった「懲罰パレード」が行われた。そこでは、過去24時間における違反者たちが、年少の者から年長の者へと順に、他の全ての女生徒たちの面前で鞭打たれた。すべては秩序立てて執行されたが、処罰の準備に時間はかからなかった。というのも、その施設では女生徒たちはドロワーズ(下穿き)を身に着けていなかったからである。

 年下の違反者たちは、次々にベンチの上に体をまっすぐに伸ばして寝かされ、補助の女教師のひとりによってしっかりとお尻を叩かれた。それから、年上の違反者たちは、それぞれ順番に、補助教員2人によって背の高い机の上に押さえつけられた。

 鞭の使用を許されていたのは、監督の女性だけだった。彼女が鞭をふるう際は、決して6発未満で済ませることはなく、盗みや風紀を乱すような重大な違反には、18発に及ぶこともあった。監督の鞭はいつも容赦がなく、時には血がにじむほどであった。ほとんど毎朝、処罰を受ける者がいて、時には2人以上のこともあった。彼女は、一日に8人もの年長の少女が次々に鞭打たれるのを見たこともあったという。

 こんな人道主義の時代に、慈善施設で少女たちがそこまで厳しく扱われているとは、僕にはにわかには信じがたかった。だがメアリーは、それは事実だと断言した。そして、自分がその施設を出てからもう7年が経っているが、あの頃と同じ厳しい規律が今なお保たれていることを知っている、と付け加えた。

 それから彼女は、施設を出てから自分の身にどんなことが起こったのかを語り始めた。

 彼女が16歳になったとき、ある大きな田舎の屋敷に下働きの女中として奉公に出された。その屋敷には、主人の息子である3人の若い男性がいた。その3人の若い男たちは、すぐさま彼女に熱心に言い寄るようになり、彼女がその屋敷に来てから2か月ほど経った頃、家の長男に誘惑されて関係を持ってしまった。

 その後、彼女は残りの2人の兄弟にも抱かれることを許し、その屋敷で過ごした2年間、彼らとの間でなかなかににぎやかな日々を送ったという。若い男たちのうち誰かしらから、彼女はほとんど毎日のように関係を求められ、ときには3人全員が一晩のうちに彼女のもとを訪れ、それぞれ2時間ずつ彼女と同じ寝床を共にしたこともあった。

 彼女はオークハーストに来る前に、パーラーメイドとして2つの屋敷で勤めていたことがあり、最後に彼女は笑いながら、「そのどちらの屋敷でも主人に抱かれていたのよ」と付け加えた。

 僕は笑いながら彼女にキスをして、それから彼女を下がらせた。


 数日後のことだった。

 朝食のあとに『タイムズ』紙を読んでいて、出生・死亡・結婚の欄に目を通していたとき、ふと「マーカム」という名前が死亡欄にあるのが目に留まった。慌ててその数行の告知を読んでみると、ロバート・マーカムが4月10日、ケープ植民地のウィンバーグで死去したとあった。享年50歳。

 その日は5月26日だった。つまり、フランシスはすでに6週間以上も未亡人ということになる。僕は新聞を置き、心の中で今も「昔の恋人」と呼んでいる彼女のことを、さまざまな感情を交えて思い返した。そして、夫を亡くしたことを知らせる手紙を彼女が送ってこなかったことに、少し驚いた。

 彼女はこれからどうするのだろうか。ケープに残るのか、それともイングランドに戻ってくるのか? もし彼女が帰国し、僕がまた彼女と出会ったら……そのとき何が起こるのだろうか?

 彼女が結婚してからも、僕はたびたび彼女のことを思い出していた。そして今、彼女が自由の身だと知ったことで、僕の中にあったかつての想いが再びよみがえり、いつかまた、彼女を腕の中に抱ける日が来ることを願わずにはいられなかった。

 その後数日間、僕は彼女からの便りを待ち続けた。だが手紙は一通も来なかった。そして日が経ち、ついには数週間が過ぎても何の音沙汰もなかったので、僕は彼女がケープにとどまったのだと結論づけた。

 時は流れた。6月の終わり頃、僕は海辺へ出かけようかと考えていた。そんなある朝、一通の手紙が届いた。ロンドンの消印が押されていたが、封筒の筆跡を見て、すぐにフランシスからのものだとわかった。僕は夢中で封を切り、ページの冒頭に目を走らせると、ケンジントンという住所が記されていた。それから、手紙を読んだ。

 それは長文で、愛情のこもった調子で書かれており、最近の出来事を詳しく知らせてくれていた。そして、僕の都合のよい日にぜひ会いに来てほしいと書かれていた。僕はその手紙に心から喜んだ。というのも、その文面から、彼女がまだ僕に好意を抱いているのだと感じられたからだ。

 とはいえ、実際に会ったときに、彼女が僕に「体を許してくれる」かどうかまでは確信が持てなかった。

 もっとも、それはすぐにわかることだ。

 僕はそのまま腰を下ろして彼女への恋文を書き、最後に「明日の午後3時に伺う」と記して手紙を締めくくった。すぐに投函させ、フランシスが夜の最後の配達で受け取れるようにした。

 それから使用人を呼び、しばらくロンドンに行くつもりだと告げた。ついでにその日の午後、町に先に出向いて、僕の部屋を準備しておくようにと命じた。彼は無言で一礼し、そのまま出ていった。だが、僕が翌日に部屋へ着いたときには、すべてが完璧に整っているだろうとわかっていた。

 僕は葉巻に火をつけ、くつろいで煙をくゆらせながら、再びフランシスに会えること、そしてもしかしたら関係を持てるかもしれないという期待に、大きな喜びを感じていた。

 翌朝、早めに朝食をすませた僕はロンドンへ向けて出発した。到着してまず自分の部屋へ行き、着替えを済ませた。
そのあとクラブへ昼食をとりに行き、食事を終えると馬車に乗って、フランシスが教えてくれた住所へ向かった。

 そこはケンジントンでも屈指の良い通りにある、こぢんまりとして愛らしい家だった。僕がドアをノックすると、きちんとした身なりのメイドが出てきて、僕の名刺を受け取り、応接間へと案内してくれた。

 その部屋は豪華な調度で整えられ、非常に芸術的な趣味で装飾されていた。部屋には2つの出窓があり、そのくぼみには大型のジャルディニエール(訳注:飾りの鉢)が置かれ、色とりどりの花が満開に咲いていた。また、何個もの磁器のボウルに、切りたてのバラが山のように盛られていた。部屋の一角には、重厚な東洋風のカーテンで仕切られた奥まったスペースもあった。

 フランシスはもともと優れたセンスの持ち主だったが、今回も見事に自分だけの「美しい巣」を作り上げていた。

 やがて、廊下に軽やかな足音が響くのが聞こえ、ドアが開き、彼女が駆け込むように部屋へ入ってきた。その瞬間、彼女が僕をどう迎えるのかという不安はすべて消え去った。その顔に浮かんだ表情を見て、彼女が今も僕のことを愛してくれているのだとはっきりわかった。

 彼女は僕の首に腕をまわし、長く情熱的なキスを僕の唇に与えた。そして僕をその胸にぎゅっと抱きしめ、小さな歓喜の声を漏らしながら、さまざまな愛称で僕を呼んだ。僕も彼女を力強く抱き返し、熱いキスを返した。
そしてしばしのあいだ、僕たちは喜びに満ちた恍惚のうちに、互いをしっかりと抱きしめ合っていた。

 それから僕たちは並んでソファに腰を下ろし、僕は彼女の姿をじっくりと見つめた。当時のフランシスは、27歳から28歳のあいだ、つまり、成熟した女性としての魅力が最も花開く年ごろだった。以前より少しだけ貫禄が出て、落ち着いた雰囲気をまとうようになっていたが、僕にはかつてよりもいっそう美しく見えた。

 彼女の大きく澄んだ青い瞳は喜びに輝き、桃のような頬にはほんのりと上気した淡いピンクの色が差していた。
唇は以前にも増して赤く、熟した果実のように見えた。
胸元はふくよかさを増し、全体の曲線もいっそう官能的になっていた。

 彼女は、いわゆる未亡人の喪服を身にまとっているわけではなかった。黒いサテンのティーガウンを着ており、襟元から前立てにかけては上質なレースがあしらわれていた。美しい髪は、後ろでゆるやかに結い上げられ、そして彼女はコルセットをつけていなかった。そのことは、僕が腕を彼女の腰に回したときに気づいたのだった。

 彼女は僕の手を握ったまま、ケープでの暮らしについてすべてを語ってくれた。

 夫は常に優しく接してくれたが、ふたりのあいだに共通の考えや趣味はあまりなかったという。彼はいつも仕事に没頭していて、毎朝ケープタウンの事務所へ出かけ、夕方まで帰ってこなかった。彼女はほどなくして男女を問わず多くの友人を作り、自由に使える十分なお金もあり、環境面ではとくに不満もなかった。全体的には、まずまず幸せな結婚生活だったといえる。

 夫は裕福なまま亡くなり、財産の大部分は子どもたちが成人したときに相続されることになっていたが、彼女には年600ポンドの終身年金が遺されていた。さらに彼女は、ふたりの子どもの後見人にも指名されていた。

 つまり、十分成功といえる結婚だった。

 僕は、どうしてもっと早く手紙をくれなかったのかと彼女に尋ねた。すると彼女は、「あなたを呼ぶ前に、まずはこの家で落ち着いた生活を整えたかったの」と答えた。

 それから今度は彼女が、過去3年間、僕がどんなふうに過ごしていたのかを聞いてきた。僕はその間の出来事をかいつまんで話して聞かせた。彼女は、僕が世界一周の旅で見聞きしたことや体験した出来事の話に、とても興味深そうに耳を傾けていた。

 すると彼女はにっこり笑いながら、ティーガウンの裾を少し持ち上げ、エナメルの靴に包まれた小さな足をちらりと見せてこう言った。

「ご覧のとおり、正統な喪服なんて着てないのよ。あんなの大嫌い。外出するときは仕方なく着るけどね」

 僕は笑いながら、柔らかいガウン越しに彼女の腰をそっと抱きしめてこう言った。

「喪服なんか着ていなくて本当によかったよ。見た目もひどいけど、手ざわりも最悪だからね」

 彼女はどこか誘うような微笑みを浮かべた。その瞬間、僕は彼女をひざの上に抱き上げ、彼女は僕の胸にもたれかかるようにして、顔を見上げてきた。その美しい瞳には、かつて何度も見た、あの欲望のきらめきが宿っていた。僕は彼女のふくよかで赤い唇に口づけし、長く深いキスを交わした。そのときに覚えた陶酔感は、これまでどんな女性とキスしたときにも感じたことのないほどだった。

 そして、彼女のドレスの裾を膝まで持ち上げ、形のよい脚を眺めながら手で撫でた。それらは確かに、以前よりもふっくらとしていた。黒の薄手のシルクストッキングの下で、ふくよかなふくらはぎがはちきれそうに張っていた。

 彼女はふくれっ面をつくって、さくらんぼのような唇をとがらせ、怒ったふりをして叫んだ。

「まあ、あなたってば失礼な方ね! 未亡人にそんな勝手なことをするなんて、よくもまあ」

 だが次の瞬間、彼女は笑いだし、僕の唇に自分の唇をぴったり重ねて、あたたかく、ビロードのようになめらかな舌を僕の口の中に差し入れてきた。けれども彼女はすぐに舌を引き、そして真剣な口調でこう言った。

「チャーリー……またあなたの腕に抱かれるこの感じ、なんて幸せなんでしょう」

「そして僕も、またこうして君を腕に抱けて本当にうれしいよ」そう言って、僕は彼女にキスをして、自分の舌を彼女の口の中にそっと差し入れた。そして気分を変えて、同時に彼女の服の中に手を滑り込ませ、「快感スポット」に触れた。彼女はドレスの下に、ペチコートとシュミーズしか身につけていなかった。その官能的な身体は、どうやら最初から僕を迎える準備ができていたようだった。

 僕の手が彼女の腹部と太ももを這い回っている間、彼女は僕のズボンをボタンを外し、数分間私たちは互いを弄び合った。彼女は柔らかい手で私のペニスを擦り、私は人差し指で彼女の性器をくすぐり、彼女をくねらせ、狂ったように笑わせた。

 次に僕は、彼女のドレスの前を解き、シャツを下げ、雪のように白い乳房の半球を完全に露わにした。彼女の胸は以前より大きくなっていたが、相変わらず丸く張りのあるままだった。少しのあいだ胸を愛撫したあと、バラの蕾のような乳首のひとつを口に含み、軽く吸うと、それは唇の中で少し硬くなった。彼女はまるで撫でられている猫のように、うっとりとした様子で喉を鳴らした。

 それから彼女をソファにうつ伏せに寝かせ、わずかな衣服をめくり上げると、その見事なお尻があらわになった。以前にも増して幅広く、丸く、ふっくらとしていて、まさに官能的だった。

 私はそのお尻をうっとりと見つめ、何度もキスをして、しばらくのあいだビロードのように滑らかでひんやりとした肌を撫でた。すると彼女は微笑みながら顔をこちらに向けて言った。

「ねえ、軽いお尻ペンペンちょうだい。強くしすぎないでね」

 僕はもちろん喜んで彼女の望みに応えて、彼女の引き締まった柔らかなお尻を、やさしくペンペンと叩いた。すると、ふっくらとした白い尻たぶには、ほんのりと紅潮が浮かんできた。

 そこで僕は手を止めた。

「ああ……」と彼女はかすかに声を漏らした。「なんだかいいわね。あのかすかなヒリヒリ、とても心地いい。あなたにお尻ペンペンされると、なんだかオークハーストにいた頃の女の子に戻ったような気持ちになる」

 僕は彼女を仰向けに寝かせ、両脚を伸ばしたそのあいだに顔をうずめた。そして、彼女の陰部にくちづけを落としながら、彼女の下着に香りづけされたスミレのほのかな香りを吸い込んだ。その香りは、清潔で健やかな彼女自身の肌からもほのかに漂っていた。その女性特有の香りは実に甘美で、すでに高ぶっていた僕の情熱をさらにかき立てた。目は熱を帯び、血が全身を駆け巡り、ペニスが激しく脈打った。

 時が来たのだ。

 彼女の小さな密閉された入口を指で広げ、ペニスを挿入し、優しく深く押し込んだ。ペニスよりも大きなものを入れたことのないそこは、以前と変わらずきつく締まっていた。僕は彼女の赤い唇に自分の唇を押し当て、両手で彼女の大きな引き締まった両方の尻を掴み、長い力強いストロークで彼女を突き始めた。

 彼女はもともと情熱的で豊満な女性だったけれど、今はまるで欲望に狂ったようだった。僕の突きに合わせて腰を打ちつけてくるその勢いには、思わず驚かされた。フランシスは腕と脚を僕に絡めて、胸元に僕をぎゅっと抱きしめながら、小さな歓声をもらし、跳ねるように体を揺らしながら、息も絶え絶えにこう叫んだ。

「んっ、チャーリー! あっ、もうチャーリーったらっ! んんっ、ゆっくりしてぇ! はぁっ、だいすき……だいすきぃっ!! んんん〜〜っ!!」

 フランシスはもう、それ以上言葉を発することができなかった。快感の波が全身を襲い、彼女は荒々しくうめきながら、僕の上で身体をよじり、お尻をくねらせた。太ももで僕の脇をぎゅっと締めつけ、昂ぶりのままに僕の肩に噛みついてきた。その間も、彼女のそこは僕のペニスを強く吸いつけて離さなかったが、やがて力を失い、彼女のあたたかな巣から、ぽろりと抜け落ちた。

 それから僕たちは、しばらくのあいだ腕の中で互いの鼓動を感じながら横たわっていた。ほんとうに最高のひとときだった。あんなに心の底から楽しめたのは、3年以上も前に彼女が僕のもとを去って以来のことだった。

 フランシスも、しっかりと満足してくれたようだった。受け取ったものがよっぽど良かったらしい。少し休んだあと、フランシスは満ち足りたように深いため息をつきながら起き上がった。頬は赤く染まり、大きな青い瞳にはとろけるような色気が宿っていた。下着は胸元までずり落ちていて、豊かで美しい乳房があらわになり、早い呼吸に合わせて上下しているのが見えた。長い髪はほどけて、腰のあたりまで金色のカールが垂れ下がっていた。

 彼女はシュミーズを引き上げ、ドレスの胸元を留めると、髪を器用にまとめ直した。そして再びソファに腰を下ろし、僕がズボンのボタンを留め、乱れたネクタイを整えているのを見ながら、いたずらっぽく微笑みかけてきた。こんな状況にしてはちゃんと身なりを整えた僕は、彼女の隣に腰を下ろし、そっと腕を彼女の腰にまわした。すると彼女は、うれしそうに僕の脇へぴったりと寄り添ってきた。

「ねぇ、チャーリー」と、フランシスは熱っぽく声を上げた。「あなたのおかげで、ほんとうに気持ちよかったわ! 私、あなたと別れてから、ちゃんとしてもらったことなんて一度もなかったの」

 少しだけ恥ずかしそうに僕を見つめながら、彼女は言葉を一度切った。それから、意を決したように言った。

「ねぇ、全部話すわ。」

「続けて。僕のことは気にしなくていいよ、ちょっとやそっとじゃ驚かないから」

 僕が微笑みながらそう言うと、彼女は話し始めた。

「亡くなった夫は、私のことをとても大切にしてくれてた。それに、私のことをすごく綺麗だって言ってくれて、いつもちゃんとした格好をしててほしいって思ってくれていたの。特に、ディナーパーティーがある日なんてね。毎週の恒例行事だったのよ。それで……これ、自分でいうのもなんだけども、大抵いつもテーブルの中でいちばんおしゃれだったの、私。

 でもね、彼と結婚したときには、もう彼、体調があまりよくなかったの。それで……その、夜のほうは全然ダメだったのよ。それに元々、とても控えめな性格の人でね。情熱をかき立てるような、ああいうちょっとした工夫とか……そういうの、まったく知らない人だったの。私の身体で遊んでくれたこともなかったし、裸を見たいってそぶりすら見せたことがなかったの。正直に言うと……脚も、おっぱいも、お尻も、ちゃんと見られたことなんて一度もなかったと思う。

 昼間に触れてくることなんて、一度もなかったのよ。夜は毎晩一緒に寝てたけど、それでも1週間とか、10日とか、セックスしないこともざらだったわ。それに……たまに抱いてくれる時もね、ただ “するだけ”。ほんとにそれだけなの。終わったら、さっさと背中を向けて寝ちゃうのよ。

 それにね、彼とのことって、正直ちっとも気持ちよくなかったの。というのも、うまく勃起できなかったから、いつもすごく時間がかかって……しかもその間ずっと、私の上に自分の体を全部乗せてくるのよ。お腹は押しつぶされるし、胸だって痛くてたまらなかったわ。

 しかもね、彼が必死に動いて息を切らすまで続けたあげく、私の体じゅうが痛くなっても、肝心の“それ”がふにゃふにゃになっちゃって、結局途中でやめることになることもよくあったの。そんな時は決まって気分が悪くなって、ふらっとして、もう本当にイヤな気持ちになるの。彼は出してないのに、私はたいてい、多少なりともいっちゃってるのよ、しかもまったく気持ちよくもなく。だからね……彼に抱かれるのって、正直まったく嬉しくなかったの。だって、得るものが何もなかったんだもの」

「それは間違いないね」と僕は言った。「そりゃあ、気分が悪くなってイヤになるのも無理ないよ」

 彼女は話を続けた。

「私って、ほらすごく情熱的な性格でだから、」

「もちろん、そうだったな」僕はすかさず同意した。

「ちょっと私が話してるんですけど、チャーリーさん」

 そう言って、フランシスはいたずらっぽく僕の腕をつねってきた。

「それでね、想像してみてよ。毎晩毎晩、一緒に寝てる相手が、火をつけることはできても、そのあとまったく満足させてくれないって、どれだけ辛いか。よくて中途半端に終わるだけなんだもの。私はずっと思ってたのよ。ちゃんと抱きしめてくれて、でも押しつぶしたりしないで、そしてセックスを素敵にこなしてくれる……そんな元気な男の人が現れてくれないかなって」

「言い寄ってくる人はたくさんいたのよ。だから、誰かひとりくらいに身をまかせちゃおうかな、って思ったことは何度もあったわ。別に、その誰かを好きだったわけじゃないの。ただ、自分の欲求をどうにかしたくて……もう抑えきれないくらいになることもあったのよ。

 特にひどかったのは、夫がいつも以上にしつこくて、それでいてまったくうまくいかなかった夜のあと。そういうときは本当に限界だった。

 でも、私は何とか気持ちを抑えてきたの。夫を裏切ったことは一度もなかったし、南アフリカにいる間、誰にもキスもされてないし、体に触れられたことだってなかったわ。

 ―― これで全部話したわ」

「かわいそうなフランシス……」

 僕はそう言って、そっと彼女にキスをした。

「どれだけ辛かったか、想像がつくよ。でも、もうそんなことで悩む必要はないよ。しばらくロンドンにいるつもりだし、君が望むだけ、何度でも会いにくるから。僕だって、まだまだ元気だと思うしね」

「ほんとに、まだまだ元気ね」

 フランシスは力強くそう言ってから、くすっと笑って僕をぎゅっと抱きしめた。

「いっぱい会いましょう、楽しみにしてるわ」

 少し話をしたあとで、僕は彼女の継子たちは今どうしているのかを尋ねた。彼女は、子どもたちは今も一緒に暮らしていて、現在は家庭教師に教わっているけれど、男の子のほうは一年後に学校へ行く予定だと教えてくれた。

 そしてこう言った。

「子どもたちにも会ってほしいの。ここのところ3年間、ずっと私が家庭教師代わりで、ほとんどのことを私が教えたのよ。それでね、自分で言うのもなんだけど……ちゃんと私のしつけの成果が出てると思うの」

それから彼女は部屋を出ていき、数分後、子どもたちを連れて戻ってきた。にこにこと笑いながら僕に紹介してくれた。

「こちらがロバート・マーカム君、9歳。そしてこっちがドーラ・マーカム嬢、12歳と半年です」

 ロバートは丸顔で愛らしい子どもで、黒いビロードのニッカボッカーのスーツに身を包んでいた。ドーラはそれはもう可愛らしい女の子で、大きな灰色の瞳に、赤みがかった長い髪が肩を超えて腰のあたりまでふわりと垂れていた。喪服ながらもとても上品でセンスよく着こなしており、その佇まいはまさに小さなレディだった。

 子どもたちはまったく物おじせず、かといって無作法なところもなかった。礼儀正しく僕に挨拶をすると、そのまま席に座り、しばらくのあいだ軽くおしゃべりを楽しんだ。それから、ふと気づいたのだけれど、彼らがフランシスに話しかけるときは、いつも「ママ」と呼んでいた。

 子どもたちは、部屋にはほんの少しのあいだしかいなかった。そして彼らが出ていったあと、僕はフランシスに言った。

「いい子たちだね。見た目も可愛いし、どこから見ても君の育て方の賜物だよ。とても行儀がいいし、感心したよ」

「ええ、今ではだいぶ行儀よくなったわ」フランシスはそう答えた。「私がどうにかして、ここまで叩き込んだのよ。でもね、私が2人のお父さんと結婚したときには、それはもう、どうしようもない子たちだったの。見るからに手に負えないって感じで。

 実の母親は、あの子たちがまだ赤ちゃんの頃に亡くなっていて、それからというもの、ずっと使用人、ほとんどが現地の人たちだったんだけど、彼等に任せきりだったのよ。私がウィンバーグに来るまではね

 すぐに、私がしっかり手をつけたわ。でも最初は本当に大変だったの。まるで言うことを聞くって感覚がなかったんだから。それでも根気よく向き合って、悪いことをしたときにはお尻ペンペンして躾けたの」

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 話しているうちに、彼女の巧みな手つきで僕のモノが再び元気を取り戻すと、僕は彼女をソファに横たえ、もう一度激しく愛し合った。彼女も僕も、存分に満足したひとときだった。

 気がつくと、もう6時を過ぎていた。そろそろ帰る支度をしようとすると、フランシスがそれを許してくれなかった。

「ダメよ、帰っちゃ」

 彼女はそう言って、僕の腕を引き止めた。

「ちゃんと美味しいディナーを用意してあるの。あなたが泊まってくれるって、最初から思ってたんだから」

 昔の恋人ともう少し一緒にいられることが、僕はとても嬉しかった。そして、その気持ちを素直に彼女に伝えた。するとフランシスはこう言った。

「ディナーは7時に用意できるから、それまでに着替えてこなくちゃ。あなたにはメイドを呼ぶから、手を洗えるお部屋へご案内させるわね」

 彼女は軽やかにその場をあとにし、それから数分して、ひとりのメイドがやって来た。彼女に案内されて階上へと上がると、そこにはとても素敵に整えられた寝室が待っていた。部屋には、湯気の立つお湯の入った水差しや、櫛とブラシ、タオルに洗面用のいろいろな小物が、あらかじめ用意されていた。

 僕は気持ちよく顔を洗い、髪を整えてから、再び階下の応接間へと向かった。そこでは、すでにフランシスが席についていた。黒のシルクのディナーガウンに身を包み、髪も最新のスタイルで丁寧に結い上げられていて、さっぱりとした美しさに満ちていた。

 まもなく家庭教師の女性も現れ、フランシスが彼女に僕を紹介してくれた。

「このチャールズさんは、昔、私の後見人だったのよ」

 まあ……間違ってはいない。

 7時になると、ディナーの用意ができたと告げられた。フランシスが目で合図を送ってきたので、僕はミス・マーティンに腕を差し出し、彼女をエスコートして食堂へと向かった。

 円卓には花や果物が美しく飾られており、落ち着いた雰囲気の中で僕たちは席に着いた。料理は美味しく、火の通りも申し分なく、ワインもなかなか上等だった。給仕にはきびきびとしたパーラーメイドが2人ついてくれて、とても行き届いたもてなしを受けた。

 小規模ながら、とても楽しいディナーだった。フランシスはもともと博識で、話し上手な女性だったけれど、その夜の彼女の会話は、昔一緒にいた頃よりもずっと冴えていて、機知に富んでいた。ミス・マーティンもまた、なかなか話の引き出しが多くて、それにどこか茶目っ気のある人だな、という印象を受けた。もっとも、会話そのものはきわめて品のある内容で、誰もが気持ちよく会話に加わることができた。

 デザートの時間になると、子どもたちが部屋にやって来た。かわいらしい服に身を包み、まるで絵のように愛らしかった。2人にはそれぞれ果物の盛られた皿が手渡され、しばらくのあいだ部屋にいて、遠慮なくおしゃべりを楽しんでいたけれど、振る舞いは終始きちんとしていた。

 夕食のあと、フランシスは「葉巻でもどうぞ」とすすめてくれた。僕が一本吸い終えると、ふたりで応接間へ移った。すると彼女は、目をきらりとさせて僕を見ながら、数時間前には「愛の祭壇」であったソファに、優雅な仕草で腰を下ろした。僕はその横に椅子を引き寄せ、彼女と長く、打ち解けた会話を楽しんだ。ミス・マーティンは、ピアノを静かに奏でていた。

 11時になり、僕は2人の淑女におやすみの挨拶をして、馬車で自室へと戻った。そしてベッドに入りながら、昔の恋人が、これからも僕にいつでも体を許してくれる存在であるという満足感に、深く心を満たされたのだった。

 時が過ぎるのは早く、そして実に心地よいものだった。僕はほとんど毎日のようにフランシスのもとを訪ねた。彼女はいつも僕に会えるのを心から喜んでくれて、僕もまた、その家をあとにする時には、たいていの場合、少なくとも一度は、甘いひとときを過ごしていた。

 僕が彼女の家で食事をごちそうになることも時折あったが、彼女が僕と一緒に外で食事をすることは決してなかったし、人前で僕と出歩くこともほとんどなかった。

「だって今の私は “裕福な未亡人” よ? 世間に変な噂を立てられたくないの」

 フランシスは冗談めかして笑いながら言った。僕は、その考えはもっともだと思った。

 僕としては、彼女がセックスに反対しない限り、それで十分満足だったし、彼女が嫌がるそぶりを見せたことは一度もなかった。むしろ、いつだって嬉しそうに、そして進んで “愛の鞭” を受け入れてくれた。

 僕たちは、互いの抱擁に酔いしれた。特に僕にとっては、あの魅力的で艶やかな女性を、美しい衣装をまとったまま、さまざまな趣向のもとで交わることに、いつもひときわぞくぞくとした興奮を覚えた。ソファの上で。椅子に座ったまま。そして時には、床の上に四つん這いになった姿でさえ、その全てが、彼女の魅力を際立たせる、忘れがたいひとときだった。愛の快感に身を震わせながらお尻をくねらせる……そんな情熱的な女性は、フランシスをおいて他にいないだろう。

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 その後も三週間ほどロンドンに滞在し、フランシスのもとを頻繁に訪ねた。ロンドンを離れた僕は、そのままスコットランドへ向かい、友人たちと一緒にライチョウ猟を楽しみながら、ひと月以上を過ごした。そしてイングランドに戻ると、オークハーストへ赴き、冬のあいだそこに腰を落ち着けることにした。

 日々の楽しみはいつも通り狩りに出たり、射撃に興じたり、食事会に招かれたり、こちらからも晩餐会を催したりと、変わらぬ暮らしぶりだった。

 そして、午後にふと「その気」になったときは、あの可愛らしいパーラーメイドのメアリーが、いつでも相手になってくれた。僕が彼女に目くばせをひとつ送るだけで、彼女はすっと静かに僕の寝室へ上がり、僕が来るのを待っていてくれた。

 また2日ほどロンドンへ足を伸ばし、フランシスに会いに行くことも日課になっていった。

 そうして、時は過ぎていった。

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