江戸の年の瀬スパ情景、落語『尻餅』の元ネタは?【多分WEB公開は世界初】

落語尻もち

欧米に比べ、日本には歴史的な文化としてのスパが乏しい。(罰以外の面の話です。まあ罰も歴史的には乏しいですが……)

事実、西欧人の臀部と比較すると「ここは叩く場所です」感が少ないので…… そもそも、江戸時代は女性の平均身長が145cmとか。日本人よ、そこに尻はあったのか。

いえいえ、江戸時代の女性のお尻も、張りのある、軽快な音を響かせていましたよ。だって、落語の『尻餅』があるじゃない!

和泉

平和を享受していた庶民は近世文化を独自に発展させます。当時の娯楽を知れば、当時の価値観もわかるかもしれません

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『尻餅』とは

れっきとした古典落語です。落語は出版物ではないので、誰がいつ作って演じたという記録がないものは、いつ頃誕生したかがなかなかわからないです。江戸時代にすでにあったかもしれませんし、明治時代かもしれません。『尻餅』自体は、明治初期には演目の記録に残っていそうです。

噺自体をご存じない方はまずは実際の落語を聞いてもらった方がよいかもしれません。

簡単にあらすじをお話しします。

あらすじ

長屋の貧乏な夫婦。大晦日だというのに正月用の餅をつく金もない。長屋で一人だけ餅つきの音が聞こえないというのは体裁が悪いので、亭主は一計を講じる。

まるで餅屋が来たかのように、周囲の住人に聞こえるように演技をした後、女房に対して尻を出すように言う。女房は嫌がるが、結局尻を出し、亭主はその尻を、まるで餅つきをしているかのような音を立てて叩く

耐えられなくなった女房は、「残りは(つかずに)おこわにしてくれ」というオチ。

餅つき
和泉

江戸では、年末になると餅屋が臼や杵などを持って町内を回ったわけです。年末の風物詩ですね

落語では亭主が初めて明るいところで妻の尻を見て驚くというカットが入ります。

江戸時代の夜はガチ暗で、夜の行為中もあまり見えないというのと、バックのポジションは嫌忌されていたという背景があります。動物と同じだからですね。春画でも基本バックはないかと思います。

とはいえ、「初めて」はちょと極端なので、そこはある程度フィクションかなと、私は思いますが

和泉

まあ、分かりやすい落とし噺で、表立ったエロ要素というよりギャグに近いものだと思いますが、それでも意図的な色要素を含んだ噺ですね

この『尻餅』がオリジナリティがあふれている、というわけではないです。「尻餅を搗く」という慣用表現が明に示しているように、お尻と餅は、一種のミーム(文化遺伝子)の如く、ちぎってもちぎれない深い連想があります。

しかしながら、実はこの『尻餅』には特定の原作があります。

それが、滑稽本作家・十返舎一九の『もちつき』です。十返舎一九といえば、やじさんきたさんでお馴染み『東海道中膝栗毛』が代表作の、江戸の大人気作家。

それではちょっと、原作を見てみましょうか。

十返舎 一九の『もちつき』

掌編レベルの短さです。すぐ読めます。

読みやすいように一部、漢字表記、句読点や括弧を変更しています。この江戸時代のスパノベル、頑張って読んでみましょう。

人間、読めると思い込めば読める
餅つき原作
『臍くり金』(1802) 十返舎一九

……

……

まてまてまてまて

三すけ?

それ男じゃね?

和泉

三助というのは、下男のことを指しますね。お医者様なら下男がいてもおかしくないですね

ちょっと待て一九、叩くのは人妻の尻じゃないんかい。まさかの展開だ。

三すけ
「そうでぇ旦那様、餅つきの音の代わりに、あっしの尻をぺしぺし叩いて、その音を隣近所の奴らに聞かせてやりましょうぜ」

和泉

地獄絵図じゃないすか

とりあえず、文章を読み解いてみよう

まあ、200年前の出版物に対して、「こうがよかった」とか言っても仕方がないので、得られるものを見つけてみましょう。

なにせ、こちとら、わざわざ図書館で十返舎一九全集を全巻閉架請求して、この作品を探したんですから、手ブラじゃ帰れない。

じゃあスパシーンを見ていきましょう。もうちょい文章を読みやすく直しますね。

明くる朝、暗い内から、三すけが尻をぴっしゃりぴっしゃりと叩く。三すけ、始めの内は堪え居たりしが、尻がだんだん、紫色になって、その痛さ堪えきれず

「三すけが尻を」というのは「三すけ 尻」をという意味ですね。セルフスパじゃなくてカーは旦那です。

和泉

まさか、このサイトでM/Mを取り上げる日が来るとは……

しかも、紫色になるんかい。

せめて赤くなるで止めてくれよ。下男の尻を叩いて内出血させるお医者さん。絶対手のひらもろくなことになっていないでしょう。

しかもまだ太陽が出ていない早朝から、ぺんぺんと周囲にあえて聞こえるようにスパンキングプレイです。


はい、ストップ!

七峰

ちょ、ちょっといいかな和泉さん。このページ、何なの。明らかに冒頭と最後のテンションというか、見える風景が違うんだけど

吉川

かえで、ちょっと私もフォローできない。だって、企画段階では「江戸時代の尻を叩く行為の文章表現を研究するんですよ!」みたいなことを熱弁してなかったっけ?

和泉

わ、私だってこんなつもりじゃ

神山

なんか私、体調悪くなってきたから、今日は帰るね

うわああん、こんなの私たちに対する嫌がらせです

和泉

へいへい、わかりましたよ、わかりました。責任を取るんで、どーぞ私のお尻で、ぺったんぺったん餅つきしてください

けっ

えへへ。みたらし、かけまくりましょう

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