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『“Frank” and I 』2部第12章: タブロー・ヴィヴァン【英国スパンキング小説】

― 友人フォードとの再会 ― ケンジントンの「華やかな」館への訪問 ― 8人の若き天使たち ― 生きた絵画 ― ニヒリスト女への鞭打ち ― 海から現れたヴィーナス ― 三美神 ― 自慰にふける女学生たち ― 真のレズビアン ― 自制 ― レズリー夫人の物語 ― やっぱり家がいちばん ― 夢叶う ― セント・ジョージ
タブロー・ヴィヴァン

― 友人フォードとの再会
― ケンジントンの「華やかな」館への訪問
― 8人の若き天使たち
― 生きた絵画
― ニヒリスト女への鞭打ち
― 海から現れたヴィーナス
― 三美神
― 自慰にふける女学生たち
― 真のレズビアン
― 自制
― レズリー夫人の物語
― やっぱり家がいちばん
― 夢叶う
― セント・ジョージ

 数日後、僕たちが馬車で出かけていたとき、不意にフランシスに訊いてみたくなった。

「そういえばレズリー夫人の家がケンジントンのどこだったか、覚えてる?」

 すると彼女はすぐに、「覚えているに決まってるじゃない」と言って、御者に進む道を的確に指示した。しばらくして、フランシスが「ここよ」と言う通りの通りに入り、少し進んだところで、彼女が建物を指さしてこう叫んだ。

「ここ! あの意地悪女、まだ住んでるのかな? ああもう、彼女のこと、3日くらい連続で、分厚いスリッパでお尻叩きしてやりたいくらい。私がそうされたみたいに!」

 そう言ってから、彼女はふっと微笑み、僕の手を取ってやさしく握りながら言った。

「でもね……あの人に追い出されなかったら、私、チャーリーに会えてなかったのよね」

「会いに行ってみたい? まだあの家に住んでるかもしれないよ」

 僕が笑いながら言うと、彼女は声を立てて笑いながら答えた。

「顔はもう見たくないけど……私のペンペンで赤く染まっているお尻なら、ちょっと見てみたいかもね!」

 そのまま僕たちは家へ戻り、夕食をとっているあいだ、ふと僕はこう思った。レズリー夫人を訪ねてみるのも、ちょっと面白いかもしれない。どんなことをやってるのか、見てみたいものだ。レズリー夫人が、まだあの商売を続けている可能性もある。

 だから夕食後に葉巻を一本吸い終えると、僕はフランシスに「クラブに行ってくる」と伝えた。そして、「帰りは遅くなるから、待たずに休んでいてくれ」とも。彼女は「わかった」と言って、僕にキスをくれた。どこへ行くのか、何をするのか、そんなことで僕を煩わせるような女では、もうなかった。

 僕は別邸を出て、通りかかった馬車を拾い、御者に「クラブまで」と告げた。目的は、夕食後によく喫煙室にいる僕の旧友、フォードと話をすることだった。案の定、彼はそこにいて、葉巻をくゆらせながら、そばの小さなテーブルにはブラックコーヒーのカップが置かれていた。

 フォードと僕は古くからの友人だった。年も近く、同じく独身で、これまでに奇妙な冒険をいくつも一緒に経験してきた仲だった。

「今夜、ちょっと行ってみたいところがあるんだ、一緒に来ないかい?」と僕は言った。
「いいよ。今夜はちょっと遊びたい気分なんだ。行こうぜ」

 クラブを出た僕たちは馬車を拾い、御者にケンジントンのブランク通りまで行くように告げた。通りの角に差しかかったところで僕が馬車を止め、そこで降りて料金を払い、そのあとは家まで歩いて向かった。

 僕が電気ベルに触れると、ほどなくして、身なりのきちんとしたメイドが門を開けてくれた。僕はそのメイドに、「レズリー夫人にお目にかかれますか」と声をかけた。

 その女性は、わざわざ訊くまでもないというふうに微笑み、「こちらへどうぞ、お客様」と言うと、僕たちの前に立って館の中へ案内してくれた。そして僕たちを、明るく華やかな大広間へ通すと、「レズリー様はすぐに参ります」と言い残して部屋を出て行った。

「ずいぶん洒落た店構えだな」

 フォードは笑いながら言い、豪華な安楽椅子にどっかりと腰を下ろした。

 僕は部屋の中を見て回った。調度品は見事に整えられ、上品な趣味がうかがえた。唯一、ほんのりと意味深に感じられるのは、壁際や部屋の中央に置かれた、幅広で背の低い、やわらかいクッションのついたカウチやオットマンの数の多さだった。部屋の一方の端には、奥行きのある広いくぼみがあり、どうやらその奥は別の部屋につながっているようだった。ただ、そこは濃い深紅のビロードの重たいカーテンで覆われていて、中の様子はっきりとは分からなかった。

 僕はこれまでに、ロンドンはもちろん、パリやウィーン、その他のヨーロッパ各地の同種の館を何度も訪れたことがある。けれど、今僕がいるこの客間ほど見事に整えられた部屋には、これまで一度も出会ったことがなかった。

 それからおよそ5分ほどして、レズリー夫人が部屋に入ってきた。

 まるで旧友にでも会ったかのように僕たちを迎え、にこやかに「どうぞ楽になさって」と言って席を勧めた。そして彼女自身も、カウチにゆっくりと腰を下ろした。黒いシルクのストッキングに包まれた、整った足元と足首が自然と目を引いた。

 僕は、かつて愛しいフランシスにひどい仕打ちをしたこの女を、しっかりと見つめた。彼女は決して見た目の悪い女性ではなかった。背が高く、黒髪で、40歳前後にしてはよく年を重ねた印象があり、ふくよかではあるが、しっかりと整った体つきをしていた。服装も上品で、話し方や立ち居振る舞いにも、しっかりとしたレディらしさが感じられた。

 ひとしきり世間話を交わしたあと、レズリー夫人は微笑んでこう言った。

「さて、お二人は、ただ私とおしゃべりをしに来たわけではないでしょう? うちの娘たちをご覧になります? 今は誰も接客中じゃないので、全員ご紹介できますわよ」

 僕たちはそろって、「ぜひお嬢さん方にお目にかかれるのを楽しみにしています」と答えた。

 レズリー夫人は席を立ち、部屋の奥へと歩いて行くと、電気ベルのボタンを三度押した。するとおよそ5分後、なんと8人もの若い女性や少女たちが、カーテンの奥からぞろぞろと部屋に入ってきた。

 彼女たちは全員、僕たちに紹介された。名前はアリス、ケイト、イーディス、ファニー、ローズ、ヘレン、エセル、そしてクララだった。皆、それぞれ美しく着飾っており、年齢もさまざまだった。その中でもクララとエセルの2人は、短めのペチコートを着ていて、髪を肩にふわりと垂らしており、年の頃は■■か■■といったところだった。けれど後になってわかったことだが、この2人については、寝室での相手はしてもらえないようであった。

 ほかの若い女性たちは、年齢が18歳から25歳くらいまでだった。ほっそりした子もいれば、ふっくらした子もいた。色白の子もいれば、色黒の子もいた。背の高い子もいれば、低い子もいた。それぞれに違いはあったけれど、皆ある程度は愛らしく、その中の一人か二人は、なかなかの美人だった。

 僕たちはたっぷりとシャンパンを注文し、心地よいカウチに腰を下ろした。まわりには、これからひとしきり楽しもうという可愛らしい女の子たちが取り囲んでいた。もっとも、僕自身はその中の誰かと関係を持つつもりはなかったけれど。

 彼女たちはとても陽気で、まったく物怖じしないタイプだったから、僕たちはすぐに打ち解けて、場はすっかりにぎやかになった。笑い声が絶えず、冗談も飛び交い、時には少しきわどいこともあったけれど、そのときは誰も下品なことを口にしたり、行動に出たりはしなかった。僕はというと、こういう遊び方をするのは本当に久しぶりだったので、心から楽しみはじめていた。フォードも上機嫌のようだった。

 しばらくすると、レズリー夫人が僕たちに目配せし、部屋の隅、女の子たちの耳に届かないところへと連れて行って、こう言った。

「さて、ご主人様方。どうなさいます? なにか特別なお好みはありますか? この館では、様々なご要望にお応えできますのよ。ご希望であれば、ひとりでも複数でも、お気に召す子とご一緒にお休みいただけますわ」

「もしお二人のどちらかが鞭がお好きでしたら、そのために準備した専用のお部屋がございますの。気に入った子を縛って服を脱がせ、軽く鞭をくれてやることもできますし、もしお好みであれば、女の子同士のお仕置きの様子をご覧になることも可能です。それとも、タブロー・ヴィヴァン(活人画)のほうをご覧になります? うちの名物ですの。背景つきで女の子たちが衣装を着た役になりきって演じるんですわ。それから、裸体の女の子の彫刻展なんていうのもございますし……ちょっといけない内容のきわどいシーンも、お望みであればお見せできますわ」

 フォードと僕はしばらく顔を見合わせて相談し、それから僕が言った。

「いろんな種類の作品を少しずつ見せてもらえると嬉しいですね」

「ええ、承知しましたわ。ちなみに、お二人のどちらか、鞭をご覧になるのはお好きですか?」

 僕たちはふたりとも、そういう光景は嫌いではないと素直に認めた。

「では……」とレズリー夫人は言った。「まずは鞭打ちの“絵画”を2つ、それから神話を題材にしたものを2つ、最後にちょっといけない“絵画”を2つ、お見せいたしますわ」

 僕たち2人は、彼女が提案したプログラムに大いに満足し、その旨を伝えた。

 それからレズリー夫人は、カーテンから数フィート離れたところに置かれた2脚の安楽椅子に腰かけるよう僕たちに言った。

「最初の2つの“絵画”のために背景の準備と衣装の着替えが必要ですので、少しお待ち下さいませ」

 そのあと、レズリー夫人が女の子たちに合図をすると、彼女はカーテンの奥へと姿を消し、笑いさざめく娘たちの一団もあとに続いていった。

 僕たちが出し物の始まりを待ちながら椅子に座っていると、カーテンの向こうから、着替えをしながらそわそわと動き回る気配や、ひそひそと話す声、そして時折くすくすと笑う声が聞こえてきた。

 およそ10分ほど経ったころ、レズリー夫人が澄んだ声ではっきりと言った。

「第一の“絵画”は『ロシアの監獄における、ニヒリストへの鞭打ち』でございます」

 すぐにカーテンが中央から音もなく引かれ、目には見えない何者かの手によって左右に開かれた。舞台は上からまばゆい光に照らされ、細かなところまでくっきりと見えるようになっていた。

 舞台には、白く塗られた壁と石の床、そして鉄格子の窓がある、大きくて殺風景な牢獄の独房が描かれていた。その中には6人の人物がいて、皆それぞれ衣装を身につけ、役柄を演じていた。5人は男性役、そして1人は女性で、それぞれが刑務所の所長、軍医、看守、2人の兵士、そしてニヒリストの女性を表していた。

 独房の中央には、長くて湾曲した木製の台が置かれており、その上には「ニヒリストの女性」がうつ伏せの姿勢で縛りつけられていた。足は床についた状態だった。彼女の腕は左右に大きく伸ばされ、「馬」と呼ばれるその台の両側にある金具に手首がしっかりと固定されていた。足首は縛られ、構造物の下部に取りつけられた横棒にしっかりと結びつけられていた。

 彼女は、囚人用のゆったりとした青いサージの服を着せられていた。スカートはもちろん、ペチコートやシュミーズまでも背中の真ん中あたりまで巻き上げられており、コルセットとドロワーズはすでに脱がされていた。

 その「ニヒリスト女性」役は、よく見るとイーディスだった。彼女はふくよかで均整のとれた娘で、立派なお尻としっかりした太もも、それに形のいい脚をしており、黒いストッキングに包まれたその脚は、白い肌との対比がとても映えていた。

 「受刑者」の左側には、執行役の「看守」が立っていた。その人物はひげを生やした「男」で、制服として濃緑色のチュニックに同色のズボンをはき、それを膝まで届く長靴にたくし込んでいた。そして、つば付きの丸い平らな帽子をかぶっていた。「彼」は太くてバサバサのバーチロッドを高く振り上げており、まさに「受刑者」のあらわになった尻に打ち下ろされようとしているところだった。反対側には、「軍医」が立っていた。頬ひげと口ひげをたくわえた「男」で、飾り気のない濃紺の制服を着ていた。その隣には、「所長」がいて、鋭い口ひげを生やし、胸に勲章をつけた威厳ある制服姿だった。 「馬」の少し後方には、「兵士」役の二人が立っており、胸にクロスベルトをかけ、脇には装飾用の剣を帯びていた。

 犠牲者のお尻は見事にメイクアップされていた。腰から太ももの上部にかけて肌全体が真っ赤に染まり、長く紫色に腫れた痕が無数に走り、小さな血のしみが点々と見えた。さらに、白い太ももを伝って、血がしたたり落ちているかのようであった。

 彼女は顔を横に向け、振り上げられた鞭を、恐怖に満ちた目でじっと見つめていた。その顔は真っ赤に染まり、苦痛にゆがみ、口は大きく開かれ、唇は歯から後ろへ引かれ、今にも叫び声をあげているかのようだった。そして、頬には涙が流れているようにも見えた。

 あまりにも場面が真に迫っていたので、僕は思わず、鞭が血のにじんだお尻に振り下ろされる瞬間と、「受刑者」が悲鳴をあげるのを、息を呑んで待ち構えてしまった。

 あれ以降も、僕は数多くの活人画を見てきたが、あれほど見事なものには、未だに出会ったことがない。

 次の瞬間、カーテンが閉じられ、場面は見えなくなった。

「ブラヴォ! ブラヴォ! 素晴らしい! 本当に見事だ!」

 フォードと僕は盛んに拍手を送りながら歓声をあげた。そしてフォードは僕のほうに顔を寄せて、そっとささやいた。

「なかなかじゃないか。まるで本物みたいだった。パリでもウィーンでも、あれほどのものは見たことがないよ」

 少し長めの間をおいてから、レズリー夫人が発表した。

「次の“絵画”は、女子寄宿学校で行われるお仕置きの再現でございます」

 カーテンが開くと、奥の舞台が今度は教室にしつらえられており、机やベンチ、黒板のほか、地球儀や地図が壁に掛けられていた。この“絵画”には10人の登場人物がいた。そのうち7人は、短いワンピースを着て、長い髪を肩に垂らした「女学生」の装いで、高めの長椅子に腰かけていた。そのため、色とりどりのシルクのストッキングに包まれた、愛らしい脚がよく見えた。中にはペチコートがとても短い子もいて、レース飾りのついたドロワーズの一部がちらりと見えることもあった。

 教室の中央には、がっしりとした体格の若い女性が立っていた。 彼女はこの娼館の使用人であることは明らかで、黒いワンピースに白いエプロン、キャップ、襟、カフスという、ごく普通の制服姿だった。彼女は前かがみになり、エセルという名の少女を伝統的な体勢で「馬」に乗せていた。その子は、どう見ても■■歳には満たないように見えた。彼女の短いワンピースのスカートと、可愛らしい白いペチコートは肩のあたりまで留め上げられており、レース飾りのついた愛らしいドロワーズは膝のあたりまでずり下がっていた。

 彼女のお尻は本当に愛らしく、小ぶりで丸みがあり、しっかりと張った肉付きだった。その繊細な肌は、鞭の痕を模して手描きのピンク色の筋や、小さな赤い点がいくつか散っている部分を除いては、雪のように白った。

 彼女の太ももはほどよく発達しており、小ぶりながら形の整った脚には、茶色の長いシルクのストッキングが履かれていた。ストッキングは黒のサテンのリボンで留められ、足元には、きちんとボタンで留めるタイプの小さなブーツを履いていた。

「女教師」役はレズリー夫人が演じており、灰色のかつらをかぶり、眼鏡をかけていた。

 「女教師」は、少女の魅力的なお尻の上に、青いリボンで可愛らしく飾られた、細くて長いバーチロッドをかざしていた。エセルは自分の役を見事に演じ切っていた。肩越しに後ろを振り返り、顔を赤らめて、大きな声で痛みに泣き叫んでいるように見えた。その目は、厳格な「女教師」役に向けて、助けを求めるような視線をまっすぐに向けていた。

 他の「女学生」たちは、それぞれ異なる表情でお仕置きの様子を見守っていた。中には、どこか面白がっているように見える子もいれば、まったく無関心に見える子もいたし、明らかにおびえた顔をしている子もいた。どの子も、それぞれの役どころをしっかりと仕込まれていたのがわかった。

 この“絵画”も、先ほどのものと同じように見事なリアリティがあり、しかもフォードと僕にとってはとても魅力的な内容だった。それはもちろん、僕たちはどちらも「鞭の愛好家」だったからだ。だから、場面がカーテンの向こうに隠されるときには、惜しみない拍手を送った。

「なんてきれいで、白くて、ふっくらしたお尻なんだろうな、あの子。あんなにあどけない子が、あんなふうに晒されてるのを見るのは初めてだよ。ああ、現実世界で彼女が鞭打たれているのを見たいものだな」

「僕もそう思うよ。でももし選べるとしたら、彼女を膝の上に乗せて、しっかり叩くほうを選ぶね。女の子をそうやってお仕置きするのが、男にとってはいちばん満足感があるんじゃないかな」と僕は言った。

「さあ、次はいよいよ裸体彫刻だぞ」と、僕の脇腹を軽く肘でつつきながら、フォードは手をこすり合わせて言った。しばらくすると、レズリー夫人が声を上げた。

「次の“絵画”は『海から現れるヴィーナス』でございます」

 そして再び、カーテンが左右に引かれて開いた。

 今回は背景の装飾はなく、奥の壁には淡い水色のガーゼが垂らされていた。中央には円形の台座があり、海のような緑色のビロードが敷かれていた。その上には、5人の女性が完全に裸の姿で立っていた。

 ヴィーナス役を務めていたのはローズだった。彼女は22歳くらいで、女の子たちの中でも最も背が高く、見映えのする美人だった。彼女は左足に体重をかけて立ち、その足を少し前に出していた。右脚は膝を軽く曲げ、つま先だけが床に触れている。丸みを帯びた愛らしい腕は頭の上で持ち上げられ、なめらかな弧を描いて優雅に組まれ、手のひらは内側に向き、指先同士が触れ合いそうなほど近づいていた。彼女の長い金髪は、計算された乱れ方で肩と胸元にかかり、ふくらみかけた乳房をやや覆っていた。大きく潤んだ灰色の瞳、きめ細かく白い肌、なめらかで幅のある腹部、しっかりとした形のよい太ももと美しい脚を備え、足首はすらりとしていて、可愛らしい足には欠点というものがなかった。その秘部は、非常に淡い茶色の縮れ毛にふんわりと覆われていた。

 4人の海のニンフたちは、それぞれ色白のヘレンとファニー、そしてケイトと色の濃いイーディスによって演じられていた。彼女たちは髪を下ろし、中央のヴィーナス役を囲むように、優雅な姿勢で横たわっていた。

 やがて台座がゆっくりと回転し始め、5人の裸の身体があらゆる角度から見えるようになった。ふくらみのある胸には、それぞれ淡い桃色の小さな先端があり、秘部は全員が異なる色の毛でやわらかく覆われていた。丸みを帯びたお尻も印象的でとりわけ「ヴィーナス」はかなり豊かだった。太ももや脚の形、大きさもそれぞれ異なり、それぞれに独自の美しさがあった。

 それはまさに、裸の女性美が織りなす優美な光景だった。だが、その“絵画”にはいやらしさはまったくなく、僕はちょうど、大理石の彫像群を眺めているような気持ちで、欲望のかけらも感じなかった。

 だが、フォードは僕とはまったく違う印象を受けたようだった。カーテンが閉じて裸の少女たちの姿が見えなくなると、彼は僕に顔を寄せ、唇を鳴らしながら小声でささやいた。

「いやはや、あのヴィーナス……たまらなく美味しそうな生き物だったな。白い肌! あのおっぱいの見事さに加えて、あのケツの迫力! それに、あの下の毛。まるで絹のようだった。思わず壇上に飛び上がって、彼女をそのまま抱いちまうところだった。今夜は絶対に彼女と寝ることにするぜ」

 次の“絵画”は「三美神」だった。

 今回は台座に黒いビロードが敷かれており、「三美神」を演じていたのは、ケイト、ヘレン、そしてファニーの3人だった。3人は互いに腕を絡め合い、相手の腰や胸にそっと回して、ぴたりと寄り添うように立っていた。3人とも均整のとれた体つきをしており、張りのある乳房と、ふっくらとしたお尻を備えていた。

 その中でもケイトはオリーブ色の肌をした娘で、下腹部には黒く豊かな体毛が生えていた。ヘレンの性器は、縮れた茶色の体毛に覆われており、ファニーのあそこは、赤みがかった髪でふんわりと陰影をなしていた。台座がゆっくりと回転するあいだ、僕たちは彼女たちの裸体の魅力を前からも後ろからも存分に眺めることができた。

 やがて、カーテンが閉じられた。

 いよいよ「いけない絵画」の回となり、レズリー夫人が発表した。

「一つ目の演目は『2人のいたずら女学生』でございます」

 この“絵画”に登場したのは、■■歳ほどのクララと、18歳くらいで、小柄でほっそりとしていて童顔のアリスだった。

 舞台上では、彼女たちは寄宿舎の寝室にいるという設定になっており、2人はベッドの上に並んで腰かけていた。身につけているのは、白く長いナイトガウンだけだった。それらは腰のあたりまできつくたくし上げられ、彼女たちの可愛らしい小さな姿の下半身はすべて裸のままだった。少女たちは、それぞれの大事なところを手でいじっていた。

 クララの小さな秘部には、淡い色のうぶ毛がうっすらと生えはじめていたが、アリスのそれは栗色の毛でしっかりと覆われていた。頬には紅がさされ、まるで火照っているかのように見え、赤い唇はわずかに開かれ、ふたりはとろけるような視線で互いの顔を見つめ合っていた。

 ふたりはなかなかの演技を見せ、僕たちは思わず拍手を送った。しばらくすると、レズリー夫人の声が聞こえてきた。

「最後のタブローの題名は『レズビアンの接吻』でございます」

 すると再びカーテンが引かれ、黒いビロードで覆われた舞台の上に、ファニーとケイトの裸の姿が現れた。ファニーは、赤茶の髪を太い編み込みにして背中にまとめ、脚を伸ばして仰向けに寝そべっていた。彼女の上には黒髪のケイトが、体を反対向きにして長く伸ばすように重なっており、ファニーの腕がしっかりとその体を抱えていた。

 こうして、ふたりの顔は互いに相手の腿のあいだにぴったりと収まる形になっていた。ケイトの口はファニーの秘所に触れ、ファニーの口もまたケイトの秘所に押し当てられていた。ふたりはそれぞれの舌を使って、相手の「感じやすい部分」を優しくくすぐっていた。

 彼女たちが横たわっている黒いビロードの布は、ふたりの白くなめらかな肌、裸の身体や太もも、脚の美しさをいっそう際立たせていた。そしてふたりは、互いの「レズビアンの接吻」を心から楽しんでいるように見えた。ふたりの頬は本当に赤らんでおり、瞳は情欲に濡れて輝いていた。体は小刻みに震え、胸は波打つように上下し、どちらの顔にも、官能的な快楽に浸る表情が浮かんでいた。

 やがて、あの官能的な光景の上にカーテンがすっと閉じられた。その場面は、僕を大いに興奮させたし、一緒に見ていた相手にも同じだった。そして二人とも「レズビアンの接吻」のタブローが演技ではなかったのだということを確信していた。

 まもなくレズリー夫人が姿を現し、ソファに身を投げるようにくつろぎながら、にっこり笑って僕たちに尋ねた。

「さて、私どものショーは気に入っていただけましたでしょうか?」

 僕たちはそろって、今回の催しがあらゆる点で素晴らしかったと伝え、レズリー夫人の舞台演出の手腕を心から称賛した。僕たちの率直な称賛に、レズリー夫人はとても満足そうな様子を見せた。

 そして彼女は、「またぜひいらしてね。今度は別のタブローをお見せするわ」と微笑んで言った。

 まもなく、あの若いふたりを除いた全員の女性たちがカーテンの奥から現れた。彼女たちはシュミーズの上にゆったりとしたローブを羽織り、素足にベルベットのスリッパを履いていた。僕たちはさらにシャンパンを注文し、場の雰囲気はいっそう熱を帯びて賑やかになっていった。女の子たちは僕たちのまわりに集まり、ズボンのボタンを外して、きわめて官能的な仕草で戯れてきた。

 やがて僕とフォードは、それぞれソファに腰を下ろし、膝の上にほとんど服を着ていない娘たちを2人ずつ抱える形になっていた。

 薄布の下に手を滑り込ませ、ふくよかで温かい体を隅々まで撫でまわし、胸を揉んだり、お尻をつねったり、敏感なところをくすぐったりと、思いつくままに戯れていると、彼女たちは体をくねらせながら、笑い声を上げ、ついには息もつけないほどの興奮と歓声に包まれていった。

 フォードはほどなくして、ローズを連れて寝室へと姿を消した。

 けれど僕は、どの娘にも手を出すまいと心に決めていた。彼女たちはそれなりに可愛らしく、体つきも悪くなかった。だが、誰ひとりとしてフランシスほど美しく、整った体をしている子はいなかった。あんなに白く透き通った肌も、しっかりとした乳房も、丸く張りのあるお尻も。彼女以上のものを持つ娘など、そこにはいなかった。それに加えて、あの娘たちはきっと、毎日のように違う男たちに抱かれているのだろう。

 その点、フランシスは僕以外には誰にも触れられたことのない、純粋な存在だ。だから僕は、どうしようもないほどの欲情にかられながらも、彼女たちの甘い誘惑をすべて振り切った。そして心の中でこう思っていた。家に帰ったら、フランシスにお尻をたっぷり振らせなくては、と。

 僕は、まだ膝の上に座っていたふたりの娘たちの絡みつく腕をそっとほどき、みんなに「おやすみ」と挨拶をしてその場を後にした。それからレズリー夫人とともに隣の部屋へと移動し、そこで今回の催しに対する自分の分の支払いを済ませた。

 それから僕は、ただ彼女がどう答えるのか興味があって、フランシスについて尋ねてみたくなった。そこで、何気ないふうを装ってこう言った。

「数年前、フランシス・ハワードという名前の女の子が、あなたの家にいたと聞いたことがあるんですが」

 彼女は唇をきゅっと引き結び、わずかに眉をひそめて、鋭い視線を僕に向けると、ぶっきらぼうに尋ねた。

「どこでお聞きになったのです?」
「遠回しに耳に入っただけです」

 僕は平然と答えた。そして何気ない様子でこう付け加えた。

「彼女が今どうしているか、ご存じですか?」
「いいえ、存じません」と、彼女は短く言い放った。

「彼女について知っていることを、全部話してもらえませんか? あなたが話してくれたことは、絶対に外には漏らさないと約束します」

「……ええ、その子のことなら話してもかまいませんよ」と彼女は言った。

「その子は、私の知り合いの女性が経営する学校に通っていました。その女性から、もう学費を払えないし、頼れる人もまったくいないから、その子を退学にするしかないと打ち明けられたのです。それで私は、その子を家で預かって養うと申し出ました。正直に言うと、その子は見た目がよかったのです。そして、どうせなら利用しようと思ったんですわ。もし私が引き取らなければ、あの子は救貧院に送られるしかなかったでしょうしね」

 そこでレズリー夫人は一拍置いてから、にやりと笑みを浮かべてこう続けた。

「もちろん、その先生は、あの子がどんな“家”に引き取られたかまでは、知らなかったと思いますわ。私はあの子を半年ほど家に置いていたのだけれど、その後、他の娘たちと同じことをするように頼んだんです。でも、彼女はきっぱりと拒絶しました。私はひどく腹を立てて、3日続けて彼女のお尻をしっかり叩いたんです。でも、あの子は意志の強い子で、最後まで折れなかった。それで私は、24時間以内に家を出ていきなさいって言ったのですわ。ただ脅かすつもりで。本気で追い出すつもりなんてなかったの。ところが、あの子ったらそれを真に受けて、翌朝には逃げ出してしまったのです。うちの息子の服を一式持っていったけど、わざわざ代金として4ポンド置いていって。髪も切っていったようで、多分その服を着て男の子になりすましたんでしょうね。その後、彼女のことはまったく聞かないまま。いったいどうなったのかしらって、今でもときどき思いますわね」

 僕は驚いたふりをして言った。

「女の子が男の子の服を着て家出するなんて、ずいぶん変わってますな」
「ええ、本当に不思議だったわ。でもフランシスは、いろんな意味でちょっと変わった子だったの。頭も良かったし、芯の強い子でもあったわ」
「そうだったんでしょうね」

 僕は無邪気なふりをしながら微笑んで答えた。レズリー夫人は、なぜ僕がフランシスのことを尋ねたのかを問いただすことはなかったし、僕のほうも、理由を説明するつもりはなかった。

 けれど、彼女が「あの子を本気で追い出すつもりはなかった」と言ったのは、本当のことなんじゃないかとも思った。レズリー夫人から聞きたかったことはすべて聞けたので、僕は彼女に「おやすみ」と言ってその館を後にした。

 既に深夜だったが、運よく時間の流しの馬車をつかまえられた。家に着いたのは午前2時だった。

 僕は自分の鍵でそっと家に入り、静かに寝室へ上がった。そこには、ぐっすり眠っているフランシスの姿があった。あまりにも愛らしくて、体に力がみなぎっている自分を嬉しく感じた。絹のような金色の髪が、レースの縁取りのある枕にふわりと広がっていて、片腕は頭の上に投げ出され、頬にはかすかな桃色の紅が差していた。薔薇色の唇にはうっすらと微笑みが浮かび、まるで心地よい夢を見ているかのようだった。

 僕は彼女を起こさないように静かに服を脱ぎ、そっとベッドにもぐり込んだ。それから彼女を腕に抱き寄せ、熱いキスの雨を降らせながら、やさしく目を覚まさせた。

「やだ、チャーリー!」

 彼女はそう叫びながら僕の首に腕を回し、キスを返してきた。

「あなたの腕の中にいる夢を見てたの。そしたら、本当に夢が叶っちゃった。帰ってきてくれて本当に嬉しい。今夜はもう、帰ってこないんじゃないかって心配だったの」

 すると彼女は、そっと手を伸ばして僕の昂ぶったペニスに触れ、楽しげに笑いながら言った。

「もう、すっかり準備万端ね!」

 そう言うと、彼女は仰向けに寝直し、ナイトガウンを脇へよけて、両脚をゆっくりと開いた。僕は彼女の見事な胸の谷間に顔をうずめ、温かく香り立つ肌にキスをしながら、愛らしい乳首をそっと吸った。同時に両手で、ふっくらと張りのある彼女の美しいお尻を包み込むように揉みしめていた。

 けれども僕は、もはや愛撫に時間をかけられるような余裕はなかった。僕は彼女の脚のあいだに身を収め、長く抑えていた欲望を一気に解き放った。激しく、熱に浮かされたように彼女を貫き続けると、フランシスはあえぎ、ため息をつき、声を漏らした。そして僕の手に包まれた彼女のお尻の肉が、彼女の中に熱い奔流が注がれた瞬間、小さく震えるのをはっきりと感じた。

 息を整えた彼女は、こう言った。

「ねぇチャーリー、今夜のはすごくよかった! いったいどうしちゃった? なんだかすごく激しかったじゃない。こんなに強くされたのって、この間……お尻を叩いてもらったとき以来じゃない?」

 そう言って彼女はくすっと笑いながら、こう付け加えた。

「もしかして……どこかの女の子をペンペンしてきた?」
「いや、そんなことないよ」と僕は笑いながら言い、彼女にキスをした。
「今では、僕のお尻ペンペンは君だけの特権さ」

 彼女は僕にぴったりと身を寄せ、しばらく休んだあと、半ば鎮まっていた僕のペニスにそっと手を伸ばし、巧みに戯れはじめた。その手つきは見事で、すぐにまた準備万端の状態になったので、僕はふたたび彼女の上に身を重ね、もう一度、喜びに満ちたひとときを走り抜けた。そしてそのあと、僕たちは互いの腕の中で、静かに眠りについた。その夜の残りの短い時間は、ふたりとも静かに過ごし、それ以上のことはしなかった。

 けれど朝になると、僕らは元気いっぱいで目を覚まし、さらに2ラウンドほど、たっぷりと愛し合ったのだった。

 一度目は、彼女をベッドの外に出させて、四つん這いの姿勢を取らせた。脚は大きく開かせ、頭は枕の上に静かに置かせた。僕は彼女のナイトドレスを肩までめくり上げ、突き出された白く豊かな尻に見惚れた。そして、彼女が跪いているその体勢のおかげで、金色のうぶ毛に縁取られた小さな秘部の、淡い桃色のふくらみの下部がちらりと見えた。僕は彼女の後ろに跪き、やわらかく温もりのあるお腹の前で、そっと腕をまわして抱きしめた。

 そのまま、彼女の半ば開かれた腿のあいだに身を差し入れ、奥深くまで一体となった。腰が彼女の尻に触れるまで押し込み、後ろから彼女を抱くようなかたちで、激しく動きを重ねた。彼女もこちらに応えるように、腰を前後に素早く揺らしながら、僕の動きに合わせてきたのだった。

 2度目のセックスは、いわゆる「セント・ジョージの体位」だった。僕は仰向けに寝そべり、昂ぶったものが空を向くようにして構えた。フランシスは、僕の上にまたがるようにして膝をつき、両脚を僕の体の左右に置いた。ただし、彼女は背をこちらに向けていたので、やっている最中、僕の視界は彼女のお尻で塞がれていた。

 彼女はすべきことをよくわかっていた。僕が指でそっと彼女の花びらを開くと、彼女はゆっくりと腰を落とし、深く僕を迎え入れた。そのまま膝を使って上下に動きながら、身体の奥で僕を包み込むように、やわらかな内側を擦り合わせる。その感触は、まさに陶然とするほどだった。僕も彼女をさらに高ぶらせようと、その白い丘がほんのり赤く染まるまで、両手で尻たぶを叩き続けた。

 そして僕が果てる瞬間、彼女は全身を快感に震わせながら前方に倒れ込み、うつ伏せの姿勢になった。その拍子に、僕のペニスは彼女の体からすっぽ抜け、白いしずくが彼女の上向いたヒップにとび散った。

 そのあとは、僕はベッドを出てドレッシングルームへ行き、シャワーを済ませて服を着替え、ダイニングルームへ向かった。まもなく、フランシスが姿を見せた。朝の光を浴びてバラのように華やかで、パリッとした新しいモーニングドレスに身を包んだ彼女は、本当に魅力的だった。

 僕たちはふたりとも食欲があり、朝食をとりながら楽しくおしゃべりを交わした。ただ、レズリー夫人のもとを訪ねたことについては、彼女には何も言わなかった。

 午前中はずっと家で過ごし、昼食のあとで僕たちは馬車でリッチモンドへ向かった。そこで夕食をとり、夜の11時ごろ別邸に帰宅したのだった。

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