『“Frank” and I 』1部第5章: 自業自得な“フランク”【英国スパンキング小説】

― モードの大きなお尻。― とある午後の東屋にて。― いかにトムはペンペンされ、いかに“フランク”の手は彷徨ったか。― 母親からの苦情。― 自業自得な“フランク”。― 厳しい鞭。― 縛られ、鞭打たれ。― 1周年。― “フランク”からの感謝。― だが、幕はまだ上がっていない。
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― モードの大きなお尻。
― とある午後の東屋にて。
― いかにトムはペンペンされ、いかに“フランク”の手は彷徨ったか。
― 母親からの苦情。
― 自業自得な“フランク”。
― 厳しい鞭。
― 縛られ、鞭打たれ。
― 1周年。
― “フランク”からの感謝。
― だが、幕はまだ上がっていない。

 時は飛ぶように過ぎ去っていった。6月の半ばだった。“フランク”との暮らしも9か月を超えた。彼女は今15歳で、もうすぐ16歳になると言っていた。背が伸び、体は丸みを帯びてきている。しかしそれでもまだ、男物の服を着ていると見た目は少年のようだった。僕は彼女が常にゆとりのある長いジャケット来て、胸と腰の膨らみが隠れるように気を使ってあげていた。これまで彼女の秘密を知る者は自分の他にいなかった。

 この数か月の間、何度か彼女のズボンを下ろす楽しみを得た。正直に言うと、もう少し頻繁でもよかったが。毎回、彼女の半裸を見る度に、少しずつ成長しているのが感じられた。お尻が大きくふくよかに、太ももは丸く脚の曲線は大きくなっていった。これらの剥き出しにされた魅力を見ていると、彼女自身が称している年齢は全くもって正しく思えた。

 今はもう、彼女が何かをやらかしても鞭打つようなことはしなかった。膝上でのお尻ペンペンには敵わないからだ。彼女が膝の上で体を捩る時に、お腹が僕のあそこに擦りつけられることによりもたらされる性的な興奮。そこまで厳しく叩いてないとはいえ、強い痛みはいつも彼女の身をじたばたと悶えさせる。あの時は意思に反して一気に消耗してしまい、極上の時間を終わらせてしまう結果になったが。

 彼女はいつも勇気を持ってお仕置きを耐え抜いた。泣いたり、身を捩ったりはしたが、叫び声を上げることはなかった。お仕置きの痛みが過ぎ去ると、彼女はとてもおとなしくなった。以前と違って不機嫌になったり、赤くなったり恥ずかしがったりすることもほとんどなかった。

 実際のところ、彼女はたまのお尻ペンペンを当然の結果として考えているようだ。そして余程のことをしない限り鞭を与えないことも承知している様子だった。彼女を膝の上に載せる時はいつでも、僕の方が別の意味で「心が震えて」いた。もちろん彼女の尻が受ける感覚よりも、僕の股間が受ける感覚の方が強いのは間違いなかった。

 僕はどんどん彼女が好きになった。そして彼女も僕に対して優しくなっていった。たまに丸椅子に座りながら僕に寄り添い、何とも女の子らしい仕草で頭を膝に載せてきた。そして愛情のこもった笑顔で、僕を上目遣いで見た。そんな時は、この可愛い生き物を抱き上げて、キスしまくって、それと同時に「ほんとは女の子なんだろ?」と言いたくて仕方がなかった。

 だが僕は常に自制心を持っていた。急ぐことはない。まだ「バラの花を摘む」タイミングじゃない。


 僕は、ロンドンやその他の都市に数日間出かけることも多かった。家に帰るといつでも、“フランク”は目を輝かせ、喜びで頬を紅潮させながら暖かく出迎えてくれた。彼女は僕の手を取って両手で握りしめてくれる。こちらがちょっと仕草を見せるだけで、キスをしてくれることは明らかだ。だが、僕はただ普通に男同士の様に手を握り、いくつか些細な質問をするだけに留めた。

 この国にも美しい夏が訪れた。この時期の天気は素晴らしい。“フランク”と僕は晴れた空の下を、散歩したり馬車で遠乗りしたりして楽しい時を過ごした。彼女に馬の乗り方を教えたかったのだが、いつも断られた。おそらく少年である限り、馬にはまたがって乗らなくてはならず、それが嫌だったのだろう。


 さらに時は過ぎ去っていった。ずっと一緒に過ごしていたので、彼女の性格や好みは完璧にわかっていると思い込んでいた。

 だがしかし、僕は彼女の新たな一面を目撃してしまうことになる。

 7月の終わりに向けて、僕はロンドンへと足を運び、そこで10日ほど楽しく過ごした。たくさんの人と出会ったし、ありとあらゆる類の招待も貰った。さらに、そこにはモードもいた。僕は毎晩モードと寝て、毎朝あの大きく白いお尻を、バラのように真っ赤に染まるまで鞭打つことで精力を回復した。強い痛みで涙を浮かべつつも、彼女はとても強気だった。彼女は顔を枕に埋め、それ以上耐えられなくなるまで鞭打つことを許した。それから寝返りを打って脚を広げ、頬を染め、涙を浮かべた目を輝かせながら、僕が襲いかかってくるのを待っていた。

 オークハーストに後に戻った時、“フランク”はいつも通り僕を見て喜んだ。そしてその日の夕方は、愛情たっぷりの仕草でずっと僕の周りをうろちょろしていた。しかし僕はすぐに、これまでの彼女のキャラでは見たことがなかった、興味深い局面に出くわす。


 帰宅から1週間後の美しい午後、僕は1冊の本を取って庭に出た。屋敷から少し離れた、2本の大きなオークの木の下に東屋がある。そこで読書をしようと思っていたのだ。この東屋は、暑い日の僕のお気に入りのリゾートだった。格子状の壁には、様々な種類のつる植物が絡まっているため、内部は常に日陰になっていて涼しいのだ。
 東屋の中には、コーヒーカップが置きやすい、低くて丸いムーア式テーブルが2つほど置いてあった。また、藤で編まれているクッションが効いた長椅子があり、2、3のペルシャラグが床に敷かれていた。

 東屋に近づくにつれ声が聞こえてきた。1人は“フランク”で、もう1人は別の子供の声だった。今まで“フランク”が他の子供を庭に連れ込んでいたのを知らなかったので、興味が湧いてきた。 僕は見つからないように東屋の中を覗き込んでみることに決めた。

 僕は中には入らず、静かに東屋の裏側に回り込み、つるが絡んだ格子の間から中を覗き見た。“フランク”の相手は、9歳か10歳くらいの小さな男の子だった。よく見ると、僕が尊敬するベイカー夫人の息子の一人だということに気づいた。ベイカーさんは、この屋敷の番小屋の近くに住んでいる庭師の奥さんだが、うちの使用人ではない。

 “フランク”がベイカーさんの子供達と面識があるのは知っていたが、その中の一人と一緒に遊んでいるとは知らなかった。

 その男の子、トムは、黒っぽい目をした茶色い巻き毛のかわいい子供で、裾が括られたズボンを履いていた。そして、“フランク”と彼は、仲良く横並びで長椅子に座っていた。僕は注意深く見守っていたが、“フランク”の最初の質問は僕を驚かせた。

「ねえ、きみ。お尻ペンペンをされたことはあるかい?」
「はいフランシス様」とトム。「お母さんからよく叩かれます」
「じゃあ……どんな感じか知ってるんだね?」
「はい。よく知っています。あなたはどうですか?」とトムは笑った。
「どうでもいいだろ」と“フランク”はそっけなく答え、続けた。
「もし私にお尻を叩かせてくれたら、6ペンスやろう。痛めつけたりはしないよ」

 僕は耳をそばだてていたが、“フランシス様”からの面白いリクエストを聞いて、にやけてしまった。トムは笑って、痛くしないことを条件にすぐに尻叩きを承諾した。僕は興味津々で見ていた。これは面白くなってきた。

 “フランシス様”は早速男の子を膝の上に横たわらせた。そして冷静かつ手際よく、まるで慣れた作業をこなす手つきで、ズボンのボタンを外して膝まで引き下げ、さらにシャツをたくし上げた。僕は、彼女が似付かわしくない作業の準備を真面目にする様子を見て、笑いを堪えるのに必死だった。

 少年のお尻は少しぽっちゃりしていた。彼女は少しの間お尻を見つめた後、右の手で叩いて揉んだ。いつも僕が彼女にしている、全く同じ動きであった。同時に彼女は左手を男の子の腹の下に入れた。間違いない、彼女の指は男の子のあそこを触っているのだ。

 彼女の顔が急に赤くなり、胸が持ち上がり、目が輝くのが見えた。

「お。お嬢ちゃん、君は人生で初めてそれに触ったんだな。だが最後ではないと思うぞ」僕は心の中でニヤニヤした。

 男の子は動かなかった。しばらくして彼女は手を離すと、彼の腰の上に置き直し、体を押さえつけた。それからお尻を叩き始めた。最初は優しかったが徐々に勢いづいてきて、どんどん力強くなっていった。
 男の子のお尻は叩かれるたびに赤くなっていった。そして、ついに大声で泣きながら悶え始め、足を蹴り上げ、手を後ろに回そうとした。
 彼女は一旦手を止めると、腰をつかみながら右足を上げ、その太ももで彼の両足を上から押さえつけた。男の子が泣き暴れているにも関わらず、彼女は尻が真っ赤に染まるまで叩き続けた。

 彼女が叩くのをやめると、少年は膝から転がり落ち、ズボンを上げることもせずに真っ赤な尻を丸出しにしたまま、顔を埋めて泣いていた。明らかに、ここまでのお尻ペンペンは受けたことがないようだった。

 息が上がった“フランク”の顔は紅潮して、 ジャケットの下で胸が上下してるのが見えた。彼女は明らかに心地よく興奮していた。顔に喜びの表情を浮かべ、目はキラキラさせ、口角がほんの少し上がっていた。彼女は椅子から立ち上がり、泣きわめく男の子を立ち上がらせて、ズボンを履かせてボタンを留めた。そして彼をなだめようとした。

 しかし、時既に遅しであった。

 彼は尻の痛みのせいで、恐怖に震えていた。そして泣きながら母親に言いつけると言って、6ペンスをもらうこともなく、全力で逃げていった。

 僕は一連の出来事にこの上なく楽しませてもらったが、“フランク”の行動には全くもって驚きだった。こんな企みを持つとは思ってもいなかった。彼女を東屋に残し、僕はこっそり家に戻った。そして図書室に行き、椅子に腰掛けてこのおかしな出来事について考えを巡らせた。

 一通り思い返した後、僕は一つの結論にたどり着いた。僕から鞭打たれることで、あの子の中に、他の誰かにもお仕置きを与えたいという願望が育っていったのではないか。あり得ることだ。そして、いつのまにか思春期になり性的な衝動も芽生え始めた。そして自然と、女として、男の子を犠牲者に選んだ。尻を叩く喜びだけではなく、男性器というものを知りたくて。

 少年は“フランシス様”に何をされたかを母親にすぐ言いつけるだろうから、事の次第はすぐに明らかになる。ベイカーさんは、間違いなく怒ってやって来るだろう。

 1時間半くらいして“フランク”が少し青ざめながら部屋に戻ってきた。少し神経質そうな様子だった。彼女は椅子を窓際に置くと、何かを考えながら静かに座っていた。そして時々、妙な表情で僕の方を見た。僕は笑いたくてしょうがなかった。君がトムにお尻ペンペンをしたり、小さなあそこを触ったりしていたのを見たぞ。僕はまた、そそり立ったものがどんな感じか触らせてやりたいとも思った。が、自制した。

「どこにいたんだい?」僕は静かに尋ねた。
 彼女は戸惑い赤くなり始めた。「東屋にいたんです」
「そこで何を?」笑いを堪えながら、意地悪く尋ねた。

 彼女は更に赤くなり、戸惑いを見せた。しばらくためらいながらも、あそこはとても涼しいので……と口ごもった。そして彼女は、更なる質問を避けるかのように本を取り上げると読み始めた。僕も本を読み始め、2人の間にはそれ以上何も起こらなかった。

 開かれた窓からは、涼しいそよ風が中に入り込んでいた。木の葉はサワサワと優しく揺れ、鳥たちが歌っている。全ては静かで穏やかだった。不安げにそわそわしている“フランク”を除いて。

 1時間は経っただろうか。ノックの音がしてメイドが現れ、ベイカー夫人が玄関でお待ちです、旦那様とお話したいことがあるようで、と伝えてきた。“フランク”は気が気じゃない様子で、本を置き立ち上がった。間違いない。ベイカーさんは苦情を言いに来たのだ。

 僕が玄関に降りると、そこには憤っているご婦人がいた。フランシスの坊ちゃんが、うちのトムに対して理由もなく酷い行いをした、彼の尻は燃えるように赤くなっている、彼に対して訴訟も辞さない、などそんな感じのことをまくしたてた。僕は差し障りのない言葉で、当然の怒りに震えているベイカーさんをなだめ、金貨を渡した。そして“フランシス坊ちゃん”については、“彼”のしでかした事について、相応の罰を与えると約束した。
 ベイカーさんは良識のある女性で、僕に慰謝料の礼を言い、納得して帰っていった。

 “フランク”に関する悪い噂は起きてほしくなかったので、こんなことになって残念だった。ベイカーさんには内密にとお願いしたが、 誰かに話してしまうのではないかと心配だった。
 一方で僕は、“フランク”に対しては全く怒っていなかった。実際、少し気持ちが分かるところもあったのだ。

 彼女はお尻ペンペンが好きなのだ。僕と同じように。その上、僕の鞭が彼女を鞭好きにしてしまったのではないかと思えてならなかった。

 いずれにしても、約束をした以上罰を与えなくてはならない。図書室に戻ると、“フランク”は悲嘆にくれた様子で僕を待っていた。僕は硬い表情で言った。

「ベイカーさんが僕に何を言いに来たか、わかっているんだろうね?」
「はい」彼女は低い声で答えた。
「よし、いい子だ。一体どうして、かわいそうな男の子のお尻を叩いたんだ?」

 僕は怒っている振りをして言った。彼女は落ち着きなく足を動かしながら、顔を真っ赤にした。両手の指を神経質に絡ませながら、震える声で答えた。

「えっと、どう答えていいかわかりません。あなたはよく私にお尻ペンペンをします。それで、わ、私はなんだか、私も誰かにお尻ペンペンをしてみたくなったんです。なんでか、わかりませんけど」
「で、どうしてそんなにひどく叩いたんだ? 彼のお母さんはお尻が真っ赤に腫れ上がっていたと言っていたぞ」
「そんなに強く叩くつもりはなかったんです。でもなぜか夢中になって、我を忘れてしまったんです。痛くしてしまって申し訳なかったと思っています」

 彼女の顔は更に赤くなった。かつてないほど動揺して気まずそうだった。そして涙を浮かべ、喉を詰まらせながら付け加えた。

「鞭、ですよね」

「もちろんだ。今回については、鞭は免れないな。自分で取ってきなさい」

 僕は仕置き道具が入った引き出しの鍵を渡して言った。女の子にこんなことをするのはかわいそうだとは思ったが、一方で彼女を鞭打てることに喜びを感じた。しばらく前から彼女のお尻を楽しむ機会が持てていなかったし、 実のところジェーンを叩いたことで厳しく罰したあの時から、 鞭を使っていなかったのだ。

 彼女は引き出しのところへ行き鍵を開けて鞭を取り出し、僕に渡した。彼女は懇願するように僕を見て、その目からは大粒の涙が流れ頬を伝っていた。

「どうか、以前のように酷く打たないで下さい」と彼女は懇願した。
 そしてそれ以上何も言うこともなく、ジャケットを脱ぎ、ズボン下ろし、深いため息とともにソファの上で体を伸ばした。僕はハンカチを使って彼女の手首を縛った。これには彼女も恐怖を覚えたようで、震える声で言った。
「ど、どうして縛るのですか? 酷く打たないでくれるなら静かに耐えています。お願いですから、酷く打たないで」
「僕は君に1ダースの罰を与える。両手を縛ったのは、罰の最中に手でお尻を庇ったりしないようにだ」
 そう言って僕は、彼女のシャツを邪魔にならないようにたくし上げた。彼女は咽びながらソファのクッションに顔を埋め、体を小刻みに震わせた。鞭を恐れているのだ。

 僕は目の前で丸出しにされた、彼女の丸く形の良い尻を眺めた。ミルクのように白く、膨らんだ両尻はとてもかわいかったが、鞭の口づけによって赤く染まった尻の方が素敵かもしれないと思った。僕は何度か優しく手のひらを、彼女の滑らかな柔らかい肌の上で走らせた。そして手をしっかりと彼女の腰に当てて押さえつけ、前回ほど厳しくはないものの、力強く鞭を打ち始めた。

 彼女は泣き始め、お尻の上に線ができる度に、喘ぎ、身震いした。鞭は止まることなく振られ、尻肉はひくひくと震えた。それから、彼女は身を捩り暴れて、惨めに泣き叫んだ。そして顔を上げ振り返り、恐怖で目を見開きながら、振り上げられる鞭に目を釘付けにした。引き締められたお尻が引き裂かれる度に、彼女の体はソファの上でビクッと伸び、腰を左右に痙攣させた。そして決して大声ではないものの、叫び声を漏らしながら、12打全てを受け切った。

 彼女は正々堂々と、この厳しかったであろう罰に耐えた。全てが終わった今、彼女の尻は信じられないほど真っ赤だったし、かなりの数の鞭痕ができていた。

 正直に言うべきだろう。当然の如く、僕はこの女の子を鞭打つことを、何から何まで楽しんでしまった。思いっきり勃起もしていた。普段は決して嗜虐的な男ではないが、最近では赤く染まっていく女の子のお尻や、お仕置きで痛みに悶える姿を見ても、かわいそうに思わない。その苦悶の姿を見て得られる感情は、ただ、強い欲望のみになっていた。

 そして今回もいつも通り、自分は性欲の塊と化した。この半裸で泣いている女の子を抱きしめたいと強く思った。育ち盛りのかわいいお尻に、唇を押し付けたい。そして、彼女を仰向けに返して、そのまま彼女の処女膜を破るのだ。
 しかし、なんとか自分の欲望を抑えつけた。衝動を振り払いながら彼女の手首を解き、行ってよいと伝えた。

 彼女はソファから起き上がり、少しの間、顔に苦痛の表情を浮かべて、静かに泣きながら立っていた。ズボンは足元に下げたまま、脚は剥き出しだった。それから彼女は震える指でボタンを留め、ジャケットを着て部屋から出て行った。

 僕は安楽椅子に座り、葉巻に火を着け吸い始めた。なんとも刺激的な午後だった。既に5時だった。出かける気もしなかったので、夕食のために着替える時間になるまで、図書室に残って本を読んでいた。


 ダイニングルームに行くと“フランク”はいなかった。スープが用意されても姿を現さない。僕はメイドの一人に様子を見に行かせた。メイドはすぐに戻ってきてこう言った。

「フランシス様は、下りて来られないそうです。頭痛がするようで」

 それを聞いて僕は、痛いのは頭じゃなくてお尻だろう、とにやけた。その夜、彼女は降りてこなかった。夕食後一人で座っていると、なんだか彼女が恋しかった。


 しかし次の日の朝食の時には、彼女は反抗することなく、明るく元気にいつも通りに挨拶をしてきた。拗ねていたり恥ずかしがったりしている様子は微塵もなかった。当たり障りのないいくつかの質問をすると、彼女は、まだお尻にはたくさんの痕があり痛みもあるが、座るには問題ないと答えた。そして席に着くと、その言葉を証明するかのように僕に笑いかけ、とても美味しそうに朝食を平らげた。
 彼女は疑いようもない、気高く愛すべき女の子だ。僕はキスしたくてたまらなかった。


 何事もなく1週間が過ぎた。僕は彼女をオークハーストに残して海に出かけた。 彼女はとても悲しそうだったが、連れて行ってくれとは頼まなかった。きっと家から出たら彼女の秘密がばれてしまうと考えたのだろう。

 1ヶ月ほど留守にしていたが、その間ずっと、3日に1回“フランク”からの手紙が届いた。彼女は長々とした話題満載の手紙を送ってきて、僕はいつもそれを楽しんだ。それを読んでいると、彼女が元気で楽しんでいることがよくわかった。

 家に帰ったのは9月だった。全くの偶然であるが、ちょうど1年前“フランシス君”を家に連れ帰ったその日だった。彼女はその日付を覚えていたようで、玄関ホールで僕を温かく迎えてくれた後、応接室まで付いて来て、手を握りながら、僕の親切にとても感謝していることを改めて伝えてくれた。それから彼女は、オークハーストに来てからというもの、ずっと幸せだったと付け加えた。そして、これからも僕のところに置いてくれることを望んだ。

 この子は間違いなく幸せそうで、さらに言えば、厳しい折檻を与えているにも関わらず、僕のことをとても好いていてくれていた。いや、それともまさか、折檻のおかげなのか?

 僕は毎日馬に乗ったり、狩りをしたり、近所の夕食会やパーティーに出かけたり、たまにはロンドンに足を伸ばしたりしながら、この時期としては例年通りの生活を送った。


 “フランク”は、未だ自らの性別を隠し続けていた。

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