


― 絹の衣装で。
— 昔の恋と新しい恋。
— 陽気な一日、豪華なディナー。
— 回顧されるバーチの記憶
— 素晴らしき夜の営み。
— もう一回!
僕はロンドンに戻ってきた。ちょうど3週間ぶり、午後の早い時間だった。キングス・クロスからそのまま馬車で別邸へ向かった。フランシスが僕の帰りを待っていてくれると分かっていたからだ。僕たちはずっと手紙のやりとりをしていて、帰る日も前もって知らせてあった。長い道中、フランシスが女性の装いをしたらどんなふうに見えるだろうかと、そればかり考えていた。そしてまるで、これから花嫁に会いに行く若い花婿にでもなったように胸が高鳴っていた。
家に着くと、僕は客間に通された。そこにはひとりの美しい若い女性がいて、僕を見るなり首に腕を回してきた。彼女は僕にキスをし、頬をすり寄せ、甘い言葉をささやきながら愛情を惜しみなく注いできた。それはフランシスだった。でも、もし街で出会っていたら、きっと彼女だとは気づかなかっただろう。たっぷりとした衣装に包まれて、ずっと背が高く見えたし、何より、僕が想像していたよりもずっと美しかった。
彼女は見事に、しかも品よく着飾っていて、そのドレスは彼女の豊かな体つきの丸みを完璧に引き立てていた。ドレスのあちこちにはリボンがあしらわれていて、首元や手首にはクリーム色のレースが飾られていた。
髪は以前より伸びていて、整った頭の形を包むように、細くて絹のような金色の巻き毛がたっぷりとかかっていた。それらのカールは彼女の広く白い額にまで垂れていたけれど、愛らしい貝殻のような耳を隠すことはなかった。彼女の青い瞳は、以前にも増して大きく、澄んで見えた。肌はまるでミルクとバラのように白くなめらかで、興奮のためか、桃のような頬にはほんのりと紅がさしていた。
ひとしきり喜びを爆発させたあと、彼女は優雅に椅子へ腰を下ろした。裾からは、レースの可愛らしいペチコートの下に、引き締まった足首と、小さな足が覗いていた。足には光沢のあるエナメル革のハイヒール。そして彼女の小さく白い手には、かすかな香りをまとった薄いハンカチが握られていた。その美しい瞳で、どこかうっとりとした視線を僕に向けながら、さくらんぼのような唇に微笑みを浮かべて、彼女は言った。
「ねぇ、チャーリー。私、どうかな?」
僕は答えることもできず、しばらく彼女を見つめていた。まるで思いがけない輝きを放つ美しさに目を奪われてしまっていたのだ。そして心の中で、これほど素晴らしい存在が、すべて僕のものなのだと思って、言いようのない喜びに満たされていた。誰の手にも触れられたことのない、この甘くて若くて、愛らしい生き物が。
僕は彼女を腕に抱き上げて、胸にぎゅっと抱きしめながら、うっとりするような気持ちで瞳に、頬に、唇にキスをした。彼女の髪や肌、それに衣服からほのかに立ち上る香りが、僕の心に夢のようで官能的な感覚を呼び起こした。彼女は僕の腕の中で静かに身を委ねていて、衣装がぐちゃぐちゃに乱れていることなんて、まるで気にもしていなかった。
ようやく、僕は彼女の問いに答えた。
「すごく魅力的だよ。男装していたときも、可愛いとは思ってたけど……本来の姿の君を見て、今は美しいって思ってる」
彼女は幸せそうに、低く長く笑った。
「やだ、そんなふうに言ってもらえるなんて嬉しい! またこうして、チャーリーと一緒にいられるなんて、ほんと夢みたい。ずっと恋しかったの。もうね……またチャーリーと一緒にベッド入りたくてたまらなかったの!」
そう言って、彼女は何度も何度も、ためらいなく僕にキスをしてきた。
僕は安楽椅子に腰を下ろし、彼女を膝の上に抱いて、腕で腰を支えていた。それから、彼女のスカートをそっと持ち上げて、淡い水色の絹のストッキングに包まれた美しい脚を眺めた。ストッキングは黒のサテンのガーターでしっかりと留められていた。
そのまま僕は、ペチコートの下に手を差し入れ、ドロワーズのスリットを開き、下腹部に生えた絹のように柔らかな毛を撫でた。そして、ひんやりとして引き締まった彼女のお尻に触れた。
僕はもうどうしようもないほど勃起していて、彼女が膝の上に座っているその場で、すぐにでも彼女を抱きたくてたまらなかった。けれども、ぐっとその衝動を抑えた。ベッドに行ってからのほうが、体力も気持ちも万全で、長い夜をたっぷり楽しめると思ったからだ。
そこで僕は、その魅力的な「スポット」から手を引っ込めた。フランシスは少し驚き、がっかりしたようだった。というのも、彼女はてっきり僕がそのまま腰を落とす形で挿入しようとしていると思ったらしく、僕が太腿の間に入りやすいように、脚を大きく開いていたのだ。
彼女は僕を見つめた。大きな青い瞳は潤んでいて、きらきらと輝きながら、どこか切なそうな眼差しを向けてきた。でも、何も言わなかった。僕はそっと彼女にキスをして、こう言った。
「ベッドに入ってからのお楽しみにしよう。そっちのほうが、きっともっと楽しいからね」
それから僕は訊いた。
「モードとはうまくやってる?」
「ええ、とっても仲良くしてる。すごく親切で、いろんな面でよくしてくれてるの!」
そう言ったあと、少し遠慮がちに続けた。
「とてもいい人だと思うの。でも……あまり教育を受けていないみたいで、たぶん、本当の“レディ”って感じではないけど。でも、服のセンスはすごくいいのよ」
僕は思わず声をあげて笑いながら言った。
「君はなかなか観察眼があるなあ。モードはたしかに本を読むタイプじゃないし、たぶんご両親も、いわゆる上流階級ってわけじゃなかったんだろう。あいつは元々コーラスガール上がりなんだ」
その会話が終わってまもなく、モードが部屋に入ってきた。彼女はにこやかに僕に挨拶をしてから、僕たちの様子をおどけたように見てこう言った。
「あらあら、仲睦まじい小鳩ちゃんたちが、もうラブラブしちゃってるわねぇ」
そして、いたずらっぽく笑いながら続けた。
「お邪魔だったかしら? 出直した方がいい?」
その言葉にフランシスは笑いながら僕の膝から飛び降りて、ほんのり頬を赤らめつつモードの方へ歩み寄った。モードはそんなフランシスの腰に優しく腕を回し、僕に言った。
「ね、私が着せたの。可愛く仕上がってるでしょ?」
僕は2人を並べて見比べながら、両方に向かって力強くうなずいた。かつての恋人と、今の恋人が並んでいるその光景は、なんとも感慨深かった。
フランシスのほうがモードよりも、5センチほど背が高かった。それに、モードもたしかにセンスよく着飾っていたし、可愛らしくて上品な雰囲気もあったけれど、フランシスほどの美しさはなく、あの気品あるたたずまいも持ち合わせてはいなかった。フランシスには、生まれながらの育ちのよさが自然とにじみ出ていて、それが彼女をいっそう引き立てていた。
モードがベルを鳴らすと、召使いがティーセットを載せたトレーを運んできて、フランシスのそばにある小さな竹製のテーブルに並べた。フランシスは、まさに女性らしい所作で、紅茶を入れたり注いだりした、その姿は、とても魅力的に見えた。
僕たちはしばらくおしゃべりを楽しんだ。何よりうれしかったのは、2人の恋人たちがとても仲よくしていたことだった。ぎこちなさなど微塵もなく、まるで昔からの親友同士のように打ち解けていて、どうやらお互いに心を許し合う関係になっているようだった。
やがて僕は2人に「着替えておいで」と声をかけた。今夜はレストランでディナーをとるつもりだったのだ。その言葉に2人は大喜びして、すぐさま部屋を飛び出していった。そして30分ほどたって彼女たちが戻ってきたときには、どちらもとびきり素敵な装いをしていた。
僕はいつも女性の服をうまく言い表せないけれど、2人の恋人はどちらもとても素敵に見えた。ただ、どちらかといえば、フランシスのほうがよりセンスよく着こなしていたと思う。
僕たちは3人はの2人用馬車にぎゅう詰めで乗り込み、カフェ・ロイヤルへ向かった。そこで僕たちはすばらしいディナーを楽しみ、シャンパンを2本空けた。食事の間、ずっと笑いが絶えず、にぎやかなおしゃべりだった。フランシスはひときわ上機嫌で、その陽気なムードに引き込まれて、ふだんあまり口数の多くないモードもいつになくおしゃべりだった。
モードはあと4日で結婚する予定だった。相手については、「ちょっとのんびりした人なのよ」と言いながら、こう続けた。「まあ、そこそこ好きだけど、恋愛ってほどじゃないの」
そして笑いながらこう言った。
「たぶん彼、鞭の楽しみなんてもの、ちっとも知らないと思うわ。でも、たとえ彼がそっちの理解者だとしても、私、あの人にお尻を叩かせる気はまったくないかも」
それから僕のほうを向いて、ちょっとおどけた顔をしてこう付け加えた。
「だってあなたからもうすでに一生分のお仕置きを受けたもの。私のお尻に鞭を当てていいのは、他の誰でもなく、あなた一人だけよ」
僕たちは笑った。するとフランシスが言った。
「チャーリーって、ほんとお尻叩きが好きだもんね。そのせいで私まで影響受けちゃった。でも私、他人にお尻ペンペンしたことはたった一度だけなの。ほら、昔、男の子に。あの話モードには全部話したっけ? それに、そのときすごく楽しんじゃったことも」
モードは笑いながら答えた。
「ええ、全部聞いたわ。その子のお母さんがチャーリーに文句言いに来て、それであなたがしっかりお仕置きされたって話もね。あら? でも、そのお仕置きが嬉しかっって言っていた記憶はないけど?」
「全然嬉しくなかったから。本当にサイアクだったの。きつーい12発だった」
「そうだね。君がバタバタ喚いてたあの様子を見る限りは、少なくとも気に入ってはいなかった気がするな」
そう言って僕は笑った。フランシスは僕にちょっとだけむっとした顔をしてみせてから、また続けた。
「私が叩かれるのはそんなに好きじゃないけど……でも、可愛い男の子とか、大柄で元気な女の子なら、一度思いっきりお仕置きしてみたいなって思っちゃうな」
僕が再び笑うと、モードが言った。
「全く、変な人たちね。私はこれまで、自分が叩きたいと思ったことも、叩かれたいと思ったことも、一度もないわよ」
僕たちはデザートをゆっくり楽しみながら、コーヒーとリキュールを飲みつつ、夜が更けるまで語らっていた。そして、夜遅くに馬車で別邸へ戻った。帰宅後はしばらく居間で過ごし、僕は葉巻をくゆらせていた。やがてモードが「おやすみなさい」と言って部屋を出ていくとき、くすっと笑いながら僕にこう言った。
「今夜はその子を、ちゃんと寝かせてあげるのよ?」
僕はフランシスの手を取って、家の中でいちばん広い部屋、いわゆる「新婚の寝室」へと彼女を連れていった。そこはとても可愛らしく整えられていて、柔らかなシェードのランプが部屋をやさしく照らしていた。ベッドは大きく立派なもので、僕はこのベッドで何度もモードを抱いたことがあったし、何度も彼女のバーチでお尻を叩いたこともあった。
僕は椅子に腰を下ろし、フランシスが服を脱ぐのを見ていた。彼女が繊細で女性らしい衣装を一枚ずつ脱いでいく姿には、以前、男装の彼女が服を脱いでいたときよりも、はるかに大きな喜びを感じていた。彼女はベッドのそばに立って、可愛らしいドレスを脱いだ。それから青いサテンのコルセットの紐をほどき、それも脱ぎ捨てた。
次に椅子に腰かけて、小さな靴を片方ずつ脱ぎ、ガーターのバックルを外すと、ぴったりと脚に沿った絹のストッキングを丁寧に脱いでいった。それから彼女は再び立ち上がり、ドロワーズとペチコートの紐をほどいて、衣服を床へと落とした。最後に、艶やかな肩からシュミーズを滑らせるように脱ぐと、それは豊かな胸元と張った腰をなぞりながら、すとんと足元へ落ちていった。
白く柔らかな衣服の山をまたいで抜けると、彼女はしばらくのあいだ、何も身につけずにそこに立ち尽くしていた。全身をあらわにしながら、僕に向かってとびきり魅惑的な笑みを浮かべていた。
僕のペニスは鉄の棒のように硬くなっていた。もうひと月近く、女に触れていなかったのだ。そんな僕は、心の中でこうつぶやいた——この高まりを発散するために、彼女はちょっとばかし呻いてもらわないとな。
僕はすぐさま服を脱ぎ捨てた。でも、灯りは消さなかった。そして次の瞬間には、すでにベッドに入っていた。するとフランシスはすぐに、僕の体にぴたりと身を寄せてきた。
僕は彼女のナイトドレスを首元までたくし上げ、柔らかく身を委ねてくるその体を両腕で抱きしめた。そして頭の先からつま先まで、全身を愛おしむように撫でながら、感じた。彼女の繊細な肌は以前よりもさらに柔らかく、なめらかで、乳房は丸みを増して張りがあり、尻もふっくらとして、すべてにおいて、前に裸の彼女を抱いたときよりもずっとエッチになっている。
彼女は脚を僕の脚に絡め、やわらかな手で僕の昂ぶったものにそっと触れながら、うっとりとした小さな声でこうささやいた。
「ねぇ、チャーリー。こうしてまた抱き合えるなんて……本当に幸せ」
そして、僕のペニスを軽く握りながら、わざとらしく怖がるふりをして言った。
「今夜は……なんだか、すごく大きいじゃん……おっそろしい」
僕は彼女の唇に口づけをし、そのまま舌を彼女の口の中へそっと差し入れてキスを交わした。これまでにそんなふうにしたことはなかったので、彼女は少し驚いたようだった。
「こんなふうにキスされるの、どうだった?」と僕が尋ねると、フランシスは僕の熱いキスに息を呑んで、しばらく言葉も出ない様子だった。
けれど、ようやく声を出せるようになると、にっこり笑ってこう言った。
「すごくよかった。今度は私が同じふうにキスしてあげる」
すると彼女は、熱くて柔らかな舌をできるかぎり僕の口の奥へと差し入れてきた。欲情に半ば我を忘れた僕は、彼女を仰向けに寝かせ、服を足元まで引き下ろした。すると彼女はすぐに脚を大きく開き、腰をわずかに反らせて、僕が難なく体の中へ入ってこられるようにしてくれた。
僕は両手を彼女の下に回し、やわらかな両尻を抱きかかえながら、その裸の胸元に身を重ねた。張りのある丸い乳房は、弾力のある小さなクッションのように感じられた。唇を重ねて舌を深く差し入れ、香り立つ彼女の口の中を味わいながら、腰を強く打ちつけて、彼女の中へと一気に深く入り込んだ。
そして、僕はゆっくり、しかし力強く、突き始めた。
彼女は両腕を僕の首に回し、脚を僕の腰にしっかりと絡めてきた。温かく柔らかな太ももが僕の脇をぴたりと締めつけ、見事な動きで腰を突き上げてくる。僕の激しい動きに合わせて、彼女の全身が小さく震えていた。
彼女は息を荒げ、時折小さな声を漏らしながら、腰を浮かせて僕の下で快楽に身を震わせた。ときおり途切れがちな声であえぎながら、こう叫んだ。
「あぁ……チャーリー……ああ……愛してるっ…………チャーリー!」
僕は激しく腰を動かし、その動きは次第に速くなっていった。フランシスは激しく身を震わせ、跳ねるたびに僕のペニスが抜けそうになった。だが何とか彼女の尻をしっかりと両手で押さえつけて体勢を保ち、そのまま浅く鋭い往復を繰り返していった。
「あああっ! いくっ! もっと速く、はやくっ! ああああ!」
そして、その瞬間が訪れた。
私は、彼女の中におびただしく放出した。彼女は興奮の絶頂で、喘ぎ、息を吐き、身を捩り、悶えた。力尽きそうなペニスは彼女の性器の唇に固く締め付けられていた。僕の両手は、彼女のヴァギナに精液のジェットが放出される度に、彼女の尻肉が震え、ひくついているのを感じた。
僕をすっかりカラカラに果てさせた彼女は、身をくねらせながらもため息をついた。そして、うっとりとした声で、彼女はこう叫んだ。
「もう……最高!」
僕はそっと彼女の中から抜け出し、その隣に横たわった。すると彼女は裸の体をぴたりと僕に押しつけてきて、しばらくのあいだ、静かに身を寄せ合っていた。やがて彼女は頭を上げ、潤んだ赤い唇に微笑を浮かべながら、まっすぐ僕の顔を見つめた。大きな青い瞳には、どこか艶っぽい光が宿っていた。 そして、ごく平然とした口調で、こう言った。
「さあ、もう一回!」
僕は思わず笑ってしまった。けれど、さっき彼女の中から離れてからまだ10分も経っていなかったので、とてもすぐにもう一度という気分にはなれなかった。
「そんなすぐにもう一回なんて、無理なだって。ほら、しなしなだろ、触ってみなよ」
そう言いながら、僕は彼女のお尻を軽くつまんだ。すると彼女は手を伸ばして僕のペニスに触れ、くすっと笑いながら言った。
「たしかに。これじゃあ私の中には入れないね」
それから僕たちは少しおしゃべりをしていたが、その間ずっと、彼女は僕のペニスに手を添えたままだった。そして、それが少しずつ硬くなってくると、彼女はぎゅっと握り、先端の皮を前後に滑らせはじめた。そんなことをしているうちに、あっという間に僕の武器は再び使用可能となっていた。
「ほら、準備万端。こっちもOK。入れちゃって」
そう言って、彼女は得意げに微笑んだ。
僕は彼女の体を横向きにさせ、背後からぴったりと寄り添って、お腹を彼女の柔らかなお尻に密着させた。そして太もものあいだに僕のものを差し入れ、濡れた入り口へと導いた。僕は彼女を腕の中に抱き寄せ、張りのある胸にそっと手を添えながら、僕らのお気に入りの横向きの体勢で彼女の中に入っていった。
やがて僕たちは眠りに落ちた。でも夜中にふと目を覚ますたび、いつもフランシスは僕のすぐそばで、やわらかな脚を僕の脚に絡めるようにして寄り添っていた。そして僕はそんな彼女に再び挿入し、また眠りについた。
一度か二度、僕が眠っているあいだに、フランシスのほうが先に目を覚ますことがあった。でも彼女はすぐに僕の、僕のペニスを優しく引っ張って目覚めさせた。 そして僕たちはまた、「2つの背を持つ獣」になったのだった。
そんなふうにして、僕たちはほとんど一晩中、さまざまな体位で甘く激しい情事を繰り返して過ごした。
朝になった頃には、僕はすっかり力を使い果たしてぐったりしていたけれど、フランシスはというと、普段とほとんど変わらないくらいピンピンしていた。
午前10時半ごろに僕たちは起きて、それぞれ入浴を済ませ、服を着替えた。フランシスはとても可愛らしい朝用のドレスを身にまとい、その姿は本当に魅力的だった。それから2人で朝食をとりに階下へ降りた。モードはにっこり笑って僕たちを迎えながら言った。
「ふたりとも、ずいぶん濃い長い夜を過ごしたみたいね。フランシス、チャーリーにあんまり寝かせてもらえなかったんじゃないの?」
フランシスは微笑んだものの、何も答えなかった。そこで僕は代わりに言った。
「寝ようと思ったときに寝かせてくれなかったのはフランシスのほうなんだよ。だから、彼女は僕のせいで眠れなかったなんて言えないよな?」
「うーん、全部チャーリーのせいとは言えないか」と彼女は笑いながら言った。「まあ、お互い責任はあるかもね」
僕たちは3人で陽気に笑いながら、とても美味しい朝食に向き合った。フランシスも僕も、綺麗に平らげてしまった。というのも、昨夜の「重労働」のあとで、しっかりと栄養補給が必要だったのだ。
食事が終わると、モードは婚約者に会いに出かけていった。僕はそのあと葉巻を一本嗜むと、フランシスを連れてリージェンツ・パークへ散歩に出かけたのだった。