【生成画像pixiv公開中】生成AIはスパンキングイラストを描けるのか？ 2022年末時の記録【NovelAI】

今回のテーマは、今話題の、人のスキルを凌駕する驚異的なイラスト生成AIです。

この手のものは「特に描きたいものがないけど神絵師になって “いいね” がほしい」的な人にはモチベ危機になるかもですが、「こういう作品を作りたい」みたいな明確なこだわりや目的がある場合、強力な味方になるはず。絶対数が少ないニッチなジャンルでは、まさに福音となるはず。

というわけで、何ができるか、積極的に試していきましょう。

本記事は2022/12現在の内容です。AIの進歩は数か月で全然違うレベルになっていくと思いますが、「登場時の状況記録」ということで、敢えててそのまま残しておきます。

（本企画はpixiv FANBOX で頂いたご支援で、有料AIサービスでの実験を行っています。サポートくださっている方々、ありがとうございます。）

いや、話とか作成の流れとかどうでもよく、画像が見たいだけという方は、とりあえず目次9の「ギャラリー」章へどうぞ。

2022年後半から、AIイラストが大躍進をしているという事実

お絵かきAIをご存じない方に、概要が状況をちょっとだけ説明しますね。

2022年12月、お絵かきソフト筆頭、株セルシスのCLIP STUDIO（以降クリスタ）がとある方向転換を発表しました。予定していたAI画像生成機能の搭載を取りやめるというものです。

クリスタが上げている決断理由を見ますと……

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• 現状の方式の画像生成AIが、著作権を侵害していなくとも、誰かの著作物を利用して画像が生成されており、その由来が不明であるアプリは使いたくない。
• アーティストの為のツールを名乗っているが、画像生成AI機能はむしろアーティストを苦境に追い込み、その活動を阻害する。
• 倫理的に問題がない方法で収集されたデータを利用していないのであれば、使えない。
• CLIP STUDIO PAINTを使っただけで、画像生成AIで作ったと疑われてしまう。
• なぜ要望が多い機能の改善に取り組まずに、問題視されている機能を追加するのか理解できない。
• 信用できない機能が搭載されている道具は、創作のパートナーとして受け入れられない。
• 他者の権利が侵害される可能性のある画像が生成され得る機能を提供しておいて、そうならないよう自身で気をつけてほしい、というセルシスのスタンスは無責任だ。

CLIP STUDIO.NET

高校生などを含めて、世代を問わずに親しまれるクリエーターツールとして、モラル的に問題があったり、高度なリテラシー（＝自己判断）を要求してくるような機能の搭載は、製品方針とマッチしないのは、確かにそうなのかもしれません。

事実、今年後半から、日本のイラスト界隈でAIが大きな勢力拡大を開始しました。

特に「Stable Diffusion」と呼ばれる文字から画像を生成するAI（ディープラーニングモデル）がオープンソース公開されてからの「Novel AI」というAIサービスの躍進がすごい。

日経新聞 2022年12月4日

pixivでも有償リクエストをAIで生成してトラブルになったり、DLsite なども一時的にAI作品の販売をストップしたりなど、色々大変そうです。また、権利とかモラルとも別に、技術的にイラストレーターを圧迫するという危惧もちらほら。

よくある「AIのクオリティじゃ仕事は奪われない」というのは、人と互換性を持たせることを想定した話であって、人よりも安くて速い新技術というのは、新しい職業や新しいスキルセットを生み出して、現状の仕組みをまるっと再構築してしまうので……

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すみません、前置きがながくなりました。

管理人はイラストレーターでもなく、このサイトもイラストサイトではないので、イラストレーターが大変そうだなーという話は別に当サイトのトピックではないです。

が、この実はこのサイトはスパンキング創作サイトです。

よって、もし何か創作に使える新しい技術や、面白い技術があるなら、どんどん取り入れていきたいわけです。2020年にクリスタとペンタブを買って、絵を練習し始めて早2年半。しかし、その間の労力なんてどうでもよく、

AIが思った通りに描いてくれるなら、普通にAIに全部描いて欲しい。なぜかというと、創りたいものは山ほどありますが、その時間が圧倒的に足りないんですよ。

しかしながら、気がかりなことが。

AI、というか機械学習は、データをインプットしてあげることで学習していきます。スパンキングというジャンルとなると、どうしてもインプット量が絶対的に足りないのではないかという懸念が。

というわけでこの機会に、ちょっとAIにスパンキングを描いてもらって、どんな感じになるかを確認してみようと思います。そして、今後色々なことに生かせないかを探っていきます。

Novel AI の紹介

さて、今回試してみるのは Novel AI Diffusion （ノベル エーアイ ディフージョン）という有料のAI画像生成サービスです。

以降は Novel AI と呼びますが、このページでは、小説生成ではなく、画像生成サービスを指します。

Novel AI の使い方等は今回は説明しません。たぶん、検索すれば色々あると思いますので、興味がある人は調べてみてください。ただ、話を進めるにあたり、簡単にNovel AIの概要をまとめますね。

・プロンプト（日本語で俗に呪文とも）というワードの羅列をインプットしてあげることで
　それに応じた画像を生成することができる。
・画像生成は有料サービスで、Anlasという消費ポイントを購入する必要がある。
・最低課金額は１０米ドルで、1000 Anlas手に入る。
・生成する内容によって一度に消費するAnlas数は異なる。デフォルト設定で 5 くらい消費。
　高画質にしたり、要素を増やしたりすると、消費Anlasは大きくなる。

【Step.1】Novel AI に「spanking」を入れてみる

さてさて、とりあえず、NovelAIのサイトにログインして先に課金をします。無事にAnlasを手に入れられました。ではさっそく、こんな感じで、プロンプト（入力ワード）を打ち込んでみましょうか……

さあ…… どのようなものが出てくるのであろうか。ドキドキ……

誰が巨乳を描けと言った！

なぜお尻を叩かれている少女と書いて、胸が出てくる。このAIは喧嘩したいのか。

当サイトに巨乳の侵略を許したのは、管理人の不徳の致すところです。任命責任を取って、このAIを即刻クビにしたいのは山々ですが、先にドルを払ってしまっているので、この魔術師には残りMPが尽きるまで働いていただきます。

まず、最初から余計な指示をし過ぎたのかもしれません。ここはシンプルに、Novel AI に対して「spanking」の絵を描けとだけ言ってみましょう。

えいや

なるほど、やはり最初のはインプット文が良くなかったかもしれません。多分、もっとシンプルに単語をつなぎ合わせた方が、NovelAIが的確に意図をくみ取ってくれる可能性があります。

では、これが「Spanking」だとしたら、これにもうひと要素追加して、「spanked girl」にしてみたらどうなるのでしょうか。

ほーん。

やるじゃないですかNovelAI。一歩ずつですが、着実な進歩です。

ここで、右側に色々な設定ができるパネルがあることに、今更気づきます。

NAI Diffusion Anime の 「Curated（厳選、予測可能）」「Full（全部、制限なし）」そして「Furry（毛皮、ケモノ）」。

ひとまず、これ以降は「Full」に変更して進めていくことにします。試しに再生成してみましょう。

初めて顔が現れました。が、そこまで違いはないように思えます。純粋に「spanked girl」でAIが再生成しただけで、設定の違いは大きく影響していなさそうです。たぶん、もっと際どいワードを入れた時に意味があるのかと思います。

同時生成数も変更できるようなので、最大の４に変更しましょう。

【Step.2】「spanking」に追加情報を与えてみる

他の設定はひとまずは現状維持で。さて、「spanked girl」 に対して、少しずつディテールを追加指示していきましょうか。次は……

長さや、特に青っぽい色合いを見ると、やはり「櫂」の方のパドルを考えた可能性が高い気がしますね。右下の子が持っているのは、ちょっとヘアブラシ/バスブラシ（のなれの果て）っぽい雰囲気です。paddle という単語に対して、NovelAIが十分に学習しきっていないのでしょうね。

「アジア人」に関しては、AIがどう反応しているのか、前回と比較してもよくわかりませんね。こういう時は、アジアを違うものにしてみれば、AIの思考回路が分かりやすいはず。

まじかよ、ヨーロッパの少女ってすごい恰好してるんですね、知らなんだ……

とにかく、AIの思考回路は極めて単純であることが分かりました。アジアだったら髪の毛を黒に、欧州であれば髪の毛をブロンドに。んん、まあ…… もうちょいAIが進化してくれたら、もう少し頭のいい差分を出してくれるかもしれません。

せっかく生成したので、もうちょい詳しく見てみますか。パドルは……

なんかロングソードみたいになっています。

で、問題の右下のイラストです。

なんだそのパドルは。足に装着される理由が全く分かりません。どうしてこうなった。ただ、形は今までで一番パドルっぽいけど。

【Step.3】尻は叩かれたら赤くなることを知らないNovelAI

しかしここまで、実際に叩かれているイメージはなし。複数の人物を出すのは難しいのでしょうか。それであれば、ひとまずお尻を赤くすることはできないか。

お、これは！

お尻を赤くすることはできなかったものの、すこし絵の具体度が上がったように見えますね。そして、初の全裸出現。

念のため、ちょっとだけ表記を揺らして一枚だけ生成してみます。

ディテールが増えた気もしますが、まあ誤差レベルでしょう。顔は赤くなるが、相変わらずお尻は赤くならない。やはり「赤くなった尻」という概念を理解してくれないのか。

しかし、最初の方に比べたら、かなりいい感じになっているように思えます。

ここで管理人、画像を保存する前にマウスのブラウザバックボタンを押してしまうというミスを犯す……

慌てて再生成してみるが……

さ、さっきの方がよかった……（涙）

※上述の失われたおしり少女イラストは、後ほど、上のスクショからPhotoshopでじゃまな部分を修正し、復活させることに成功しました。

さて、お尻が赤くならない問題はどうしましょう。NovelAIの説明をさらに読むと大括弧 {　} で囲った単語は、AIが比重を重くして解釈してくれるらしい。

上の２つは服が赤く、下の２つは髪の毛が赤くなりましたが、尻はあいかわらずお仕置きされません。なんて手ごわい尻だ。このままだと、MPが尽きてしまうので、一旦諦めましょう。

【Step.4】girl ばっかじゃ不公平なので lady を生成する

さて、ここまではちょっとロリに寄り過ぎている気もします。ちょっと不公平なので、もうちょい年齢上げてみましょうか。

左下の画像は、キャラはよさげですが、左手がなぜか拘束されているのと、右手が崩壊しているのが問題です。右下は両腕の状況は謎ですが、整合性はいいでしょう。

うん。（← 満足）

さて、こちら。キャラはかわいいので、なんとかならないか。画像の上に「Variation バリエーション」というボタンがあります。3枚生成されるようです。３枚だと普通は15 Analas ですが、バリエーションだと18 Anlasと、ちょっと高い……。でも、ひとまず試してみましょう。

なるほど、なるほど。確かに、対象の画像からいくつかのパターンを再生成する感じですね。これであれば、崩壊した画像もなんとか修正される可能性があります。修正されないかもしれませんが。

ごめんなさい。

【Step.5】アレンジを加えてみる

さて、ネット上には様々なAI生成の呪文が紹介されています。試しに参考になりそうなものをつなぎ合わせてみましょうか。

そこを描写するのはあかんですよ。NAI Diffusionが「Full」だからでしょうか。生成内容制限ありの「Curated」に戻しておきます。ついでに場所を微変更。cafe から classroom に置き換えます。

なかったことにしよう。

なぜか、ひとつ前のカフェがいい感じだったので、カフェに戻しましょう。さて、どうするか。

じゃあ、さっきのカフェのに、ツインテール追加で。

おお、ベンドオーバーがちゃんとできてる。やはり、やるたびに雰囲気変わるので、なんども試してみる価値はありそうですね。左から2番目のキャラは今までのザ・アニメにくらべて目鼻立ちがくっきりしてますね。

このイラストはこのあたりが限界かな。では、ちょっと嗜好、いや趣向を変えてみましょう。呪文の最後に以下のワードを追加してみます。

glasses, artbook, watercolor （メガネ、アートブック、水彩）

※下段は、上段の左から３番目を元に再生成したもの。

イイ感じに雰囲気がばらけています。さあ、あなたのお気に入りはどれ？

【仕上げ】生成画像を加工して望むイラストにする

なんとかベンドオーバーまで辿り着くことができました。色々実験を行って判明した現状の問題は以下の通り。

• 道具が上手く生成できない
• スパンカーが生成できない
• 尻が赤くならない

さて、この問題がある中で生成イラストをスパンキングイラストとして成り立たせるにはどうしたらいいでしょうか。

…… お尻を後付けで赤く加工しちゃえば、いいんじゃない？

いえ、これはAIと人間の付き合い方の問題なのです。AIが生成した画像は、現状、期待値通りにできるわけではありません。だから、それを人間が手直ししてあげることで、想定に近づくことができる。

ベースの人工知能 × ディテールの人間

まさに、最新技術のコラボレーション！

さっそく、個人的に一番気に入ったイラストを加工してみます。加工と言っても、クリスタで赤く塗るだけです。

いや、思っていたよりそれっぽくなりました。AI すごいな！

いかがでしょうか？

管理人は、悪くない、というより、かなりいいんじゃないかと思っています。自分の作業としては、赤く塗っただけなので……

こりゃあ確かに革命的です。お絵かき界隈がバタついているの理由が、ここにきてようやく府落ちしました。

うん、AIがOTKを理解するその日まで、頑張ってOTKいっぱい描きましょう……

ギャラリー

以下の23枚のイラストは、Novel AI が比較的うまく生成できた画像を、管理人が必要に応じて崩壊部分を微修正して、お尻を赤く塗ったり、痕を描いたりして加工したものです。（割と人体構造崩壊は、わりと多かったです。顔崩壊したやつは、夢に出てきそう……）

pixivに圧縮していないものをそのまま載せておきます。（ただし、今回はNovel AI 初使用だったため、試行回数を増やせるよう、画像サイズはそこまで大きなものを生成していません、ご了承ください）

【延長戦】AI 神山さんを作る

本ページのアイキャッチの神山さんCGも、Novel AIを使用して作成しました。

まず、色々とプロンプトを試すこと十数枚。それっぽい髪型の、使えそうな以下のような画像が生成されました。

その時に使用プロンプトは以下の通り

girl, blender (medium), oil painting (medium), 3d model, polygon, short low twintails
少女、blender(中程度)、油彩（中程度）、3D、モデル、ポリゴン、短い低いツインテール

これに対して、クリスタでレイヤー合成モード「カラー」で、ブレザーとタイをいつもの色で塗りつぶし、色相を変えます（よくわからない方は気にしないで下さい）。変なバッジは塗り潰します。

この画像を使って、Twitter投稿用の予告サムネを作成しました。

が、しかし、なんかしっくりこない。何でしょう、アメリカンなアニメーションに出てきそうです。もうちょっと目鼻立ちのクセを抑えたい。おさげもちょっと、いびつです。

もうしばらくNovelAIで、さらに試行を重ねます（また十数回）。そして、ついに、かわいいのが出てくる。

指が６本あるけど……

当サイトの神山さんは、一応設定では指は５本だし、ツインテールはこんなに長くないのですが、この顔はかわいいのでこれを使いたい。そこで考えた。ひとつ前の画像のおさげをくっつければよくない？ 安直ですが、頑張ればいける気がする。

不要なゆびや、髪の毛を塗りつぶして消します。そして、前のおさげをコピペ。

思ったよりごちゃついたおさげでした……　さて、ここからが人間の頑張るところです。髪の毛を手書きで頑張って調整します。そして、髪とブレザーとタイの色を先ほどと同様に変更。親指が妙に強そうだったので、少し削ってあげます。ほっぺや指のハイライトなどを調整してあげて……

できた。

こんな感じで、作りたい目的やゴールが明確であれば、新しい技術はとても強力なサポートをしてくれます。

画像生成AIのことをただただ嫌悪したり、手描きより格下のものとして捉えるのではなく、うまい感じに利用しながら、色々なものを創作していけたらよいのではないかなと思います。各イラスト系プラットフォームの、AIルール整備がいい感じに進めばよいなと思っています。

【今回の雑談マンガ】ある意味ディープなラーニング