SF短編の神が50年以上前に考案した”おしりペンペン版Uber”のビジネスモデル

SF作家、星新一の短編に出てくる、会員の子供がおいたをした時に、要請に応じて近くにいる人がお仕置きをデリバリーするサービスを提供する「子供しつけ会社」。文庫本たった5ページに詰め込まれた、その先見の明を解き明かします。

和泉
半世紀以上も前に、UberEatsのようなシェアリングエコノミー、しかもお尻叩きをデリバリーするという発想が出てくるのは、さすがですね。

こわいおじさん

「ボッコちゃん」「おーい でてこーい」を始め、1,000以上のショートショートを生み出したショートショートの神様、星新一先生。その分かりやすい文章から、小学校の図書室でもお馴染みです。

しかし、彼のショートショートはそもそも欲望多き人間や社会の風刺が根底に流れていて、人間の本質である「性」をテーマとしている作品も案外あるものです。

管理人は、何人もの男女がひょんなことから、媚薬だか精力増強剤だかを飲んで、全員素っ裸の状態でクローゼットで押し込められる状況に陥るシーンを未だに覚えているのですが、それが何という作品だったかが分かりません。再会したい作品です。

和泉
昔見た思い出の動画を、記憶を頼りにキーワードを打ち込みながら手探りで見つけ出そうとしているのと同じノリで言わないでください

ただし、今回は性とは関係ないお話です。

その作品「こわいおじさん」が発表されたのは1965年です。結構前ですね。現在は新潮文庫『だれかさんの悪夢』に収録されています。たった5ページの短い小説です。

あらすじ

とある母親のもとに、セールスマンが訪れる。4歳の子供を厳しく躾けることができない悩みを持っている母親に対してセールスマンが提案したものが、こわいおじさん派遣サービスであった。もし子供が問題を起こした場合、電話をすれば、近くにいる「こわいおじさんが」子供のもとに直行し、おしおきとしてお尻を叩くというのだ。

子供を躾けることに関するセールスマンの指摘

作中でセールスマンは面白い意見を持ち出してきます。簡単にまとめるとこんな感じです。

セールス
子供には厳しさが必要ですが、現代では誰もそれを与えたがらないのです。特に奥さんのような、心のお優しい方は。昔は悪さをするとおバケが来るなんて言って怖がらせることもできましたが、今どきの子供は、そんなの嘘だって分かっていますしね。

うちの会社は、そんな親御さんにかわって、お仕置きの代行をおこなっているんです。

まあ、若干セールストークも入っています。しかし、子供に厳しくするのに躊躇する親が増えていると繰り返し主張するセールスマンの話に、母親は興味を持ちます。この母親、そして、その後登場する父親も、躾に自信がなかったのです。

セールスマンの指摘ポイントは他にもあります。

セールス
こわいおじさんが親の代わりにお仕置きをするので、親は子供に恨まれません

なんという。金さえ払えば親は何もしなくても子供は立派な大人に育つらしい。

子供しつけ会社のサービス

セールスマンの説明をもとに、このこわいおじさん派遣サービスの利用フローを追っていきましょう。

① 子供が悪さをした時、親はこわいおじさん派遣サービスに連絡をする

ママ
ゆりちゃん、何やってるの!
そうだ、こわいおじさん派遣サービスに連絡だわ!

② 専属の一流心理学者がお仕置きの内容を決定する。

※作中では、心理学者その場で決定するのか、事前にこの悪さはこのお仕置きというフローチャートが存在するのかは読み取れません。

③ 「こわいおじさん」に連絡が行き、その子のもとへ駆けつけて、指示通りのお仕置きを与える。

この「こわいおじさん」は、基本的にはサラリーマンの副業であり、顔がこわければこわいほど、もらえる給料が高いらしい。

ママ
ゆりちゃん、悪いことをしたらまたこわいおじさんがおしりを叩きに来るわよ
こども
わかったよ、ママ。もう悪いことはしないよ

Happy End

めでたし、めでたし。

しかしながら、入会費と会費はかなり高額で、作中の家庭はまさかの毎月の家計が赤字になります。普通に、自分で叱った方が良いのでは……

サービスの発展を見据えた多方面展開を

さて、このサービス、こわいおじさんだけで世間の需要をカバーできるとは思いません。子供も多種多様です。

中には力のある子供もいるでしょう。その場合は、こわいおじさんではなく、マッチョなおじさんが必要になって来ます。

子供が女の子であれば、おじさんに叩かれるのを嫌がる親御さんもいるでしょう。それであれば、こわいおばさんも必要になって来ます。

しかし、世は少子高齢化。対象を子供に限っていると、ビジネスの幅が広がりません。世の中には自らの失敗を反省したい大人もいるはずです。そんな人々のお尻を叩いてあげることも考えましょう。でも、大人相手であれば、体力が衰えるおじさんおばさんでは反省できるほど罰を与えられないかもしれません。ここはこわいお兄さんこわいお姉さんが必要ですね。

ついでに社会人であればお金があるので、お尻叩き役も豪華にして、かっこいいお兄さん美人のお姉さんにしましょう。

和泉
ちゃう! それ別のサービスじゃ!

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