女子寄宿学校小説『ウィロー・ゲイブルズでのトラブル』が教えてくれること

フィリップ・ラーキン Philip Larkin(1922-1985)というイギリスの詩人がいます。まあウィキペディアの日本語版が一画面に入りきるくらいの分量存在するくらいの著名度です。

吉川
それを有名と思うか、そこまで有名じゃないと思うかは人によりけり

そのラーキン先生がオックスフォード大学在学中に「ブルネット・コルマン」という女性名のペンネームでいくつかの詩や小説、批評などを残しています。そして、その中にはお尻叩きのお仕置きを伴う「女子高生モノ」もあります。

今回は、そんな詩人若き頃のラーキン先生の、フェチ丸出しの物語に迫っていきます。

フィリップ・ラーキンと女子校

ラーキンは女子校を舞台とした小説を読み漁り、女子校の事情に精通していました。うん、オックスフォード大学の秀才は、だいぶ好事家ですね。彼が大学に入学したのが1940年。インターネットなんかないどころか、戦前の社会です。

読むだけでは飽き足らないラーキン先生は、女性のペンネームを使って、女子寄宿舎学校とはこうあるべきだ! という持論を展開していきます。例えば、

  • 主人公は複数人いた方がよい
  • 脇役にもスポットライトを当てるべき
  • みんないい娘ではなく性格の悪い娘もいるべき

等々。

吉川
なかなかですね。でも女性キャラ作って「おしりペンペンはこうあるべき」とか持論を展開しているWEBサイトが言えることではないですね

まあ、とりあえず小説を見て行きましょうか。

『ウィロー・ゲイブルズでのトラブル』

public School

女子パブリックスクール(英国の寄宿舎学校)ウィロー・ゲイブルズ校の生徒マリーは、叔母から5ポンドの誕生日プレゼントをもらいます。しかし、その紙幣は校長のホールデン先生に見つかってしまい、学校への寄付金として没収されてしまいます。

ところがその後、校長室からその5ポンドが何者かに盗まれてしまう事態に。無実の罪の疑いをかけられたマリーは、監督生(イギリス風生徒会役員とでも思ってもらえれば)であるパムとアースラの2人に押さえつけられて、身体検査の上、ホールデン校長からケインによる尻叩きの罰を受け、その上「お仕置き部屋punishment room」に閉じ込められてしまいます。

As Pam pulled Marie's tunic down over her black-stockinged legs, Miss Holden, pausing only to snatch a cane from the cupboard in the wall, gripped Marie by the hair and... she began thrashing her unmercifully... caring little where the blows fell as long as they found a mark somewhere on Marie's squirming body.

パムがマリーのチュニックを黒ストッキングを履いた足まで引き下ろすと、ホールデン先生は、壁の戸棚からケインを取るためだけに手を休め、マリーの髪の毛を押さえつける... そして容赦なくマリーを鞭打ち始めた。マリーの震える体に命中していさえすれば、どこにケインが当たるかなんて大して気にしなかった。

Trouble at Willow Gables』Brunette Coleman

吉川
find a mark 、日本語で「当たる」っていう意味。これ豆な

一方で、5ポンド盗みの真犯人のマーガレットは、狡猾な監督生のヒラリーに犯行がばれてしまいます。そしてヒラリーに校長に黙っていることを条件に性的なイイコトを強要されるというレズ展開。

しかしながら、次の日にはヒラリーによって5ポンド盗みの犯行がばらされてしまう始末。マーガレットはヒラリーにされたことを主張しますが、誰も信じてくれません。こうしてマーガレットも「お仕置き部屋」に連行されることになりました。しかし、マリーはすでに部屋から逃げ出していました。

最終的には、マーガレットも逃げ出しますが、マリーとそろってヒラリーによる捜索隊にとらえられてしまいます。しかし学校へ連行中、マーガレットは川でおぼれているクラスメイトを見つけて命がけで助け出し、それに免じて校長から盗みの罪を許されます。結局ヒラリーは退学になり、じつはマーガレットが盗んだ5ポンドが競馬で100ポンドになっていたという、超大団円エンディングです。(なお100ポンドはやはり学校に寄付となるもよう)

もうこれだけでも分かる通り、この女子寄宿学校に漂うのは、レズ要素とお仕置き要素です。寝ている下級生の服を脱がせてキスしたり、もしくは下級生のお尻をベルトで叩いて虐めたりと、てんこ盛り。素敵な作品です。

嗜好とその表現は素敵なこと

さてさて、フィリップ・ラーキンはイギリスでは生前の段階でかなりの名声を得た詩人です。全身の銅像や、本人の伝記的な舞台劇も作られました。写真を見ると、完全に温和かつ紳士な大学の先生。

しかし、そんな人が、女子生徒がお尻をケインでびしびししごかれるレズシーン付き小説を書いていたなんて言われると、ちょっと勇気がでるっていうものです。

スパンキングはもちろん、ありとあらゆるエロティカ創作は、全人類から諸手を上げて賞賛されるようなものではないかもしれません。でも、誰だってそういうものを楽しみたいじゃないですか。そこを後ろめたく思う必要はないのです。

創作活動をされている方は、これからも全力で堂々と日本のスパ界に燃料を注ぎ続けようじゃないですか!

吉川
そういうの、日本語で「自己正当化」っていうの。これ、豆な

ちなみに『ウィロー・ゲイブルズでのトラブル』は日本版はないどころか、残念ながら原書の入手も結構難しい……

Trouble at Willow Gables

なんだよ、このカバーデザイン(笑)

もしよければ拙訳の英国スパ小説も覗いていただけると嬉しいです。

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