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英国お仕置き雑誌の尻叩きに関するアンケート結果を覗いて見よう【The Governess】
イギリスのお仕置き専門誌「The Governess ザ・ガヴァネス」が1990年前半に会員から調査した、お仕置きに関するアンケートをまとめて検証してみましょう。ガヴァネスはBDSM全般誌やポルノ誌ではなく、いわゆるスパンコ色が強い雑誌であり、有用な発見があるかもです。あなたと同じところ違うところ、自分の興味関心を見つめ直す機会にぜひ。
欧州史担当エマです
ガヴァネスというのは、よく上流階級が舞台の小説に出てくるような「住み込みの家庭教師」のことね
『サウンド・オブ・ミュージック』のマリア先生みたいな人ね
BDSM担当、源です
ナニー(乳母)とガヴァネス(家庭教師)は、特にヨーロッパではとても需要があるスパンキー設定のひとつなのです
子供の頃『サウンド・オブ・ミュージック』のブリギッタのお尻叩きシーンを何百回も繰り返し見ていたわけですが、その直後の大佐の「ニュー ガヴァネス、フロイライン・マリーア」というセリフも何百回も聞くことになり、自分の中では意味がわからずも「ガヴァネス=スパンキング」というシナプスが形成されました。
……あながち間違いじゃなかった。
今回のアンケートのデータは総集本『The Governess Compedium VolumeⅡ』(The Alice Kerr-Sutherland Society, 1995)から引用しています。記事初出は The Governess issue 4 です。
調査の概要
この意識調査はガヴァネス誌が発行元であるお仕置きコミュニティのアリス・カー・サザーランド会員に対してアンケートを取ったもので、1993年には女性会員に対して、1994年に男性会員に対して行われています。
質問内容や編集部のコメントを見る限り、女性に対するアンケートはあまりない内容が包括的でなかったり洗練されてなかったりで意図が読み取れないものもあります。ちょっと分かりにくいですね。
しかし、次年の男性に対してのものは「そう、そういいうのが聞きたいんだよ」というものに調整されているように見え、編集部の試行錯誤が少しだけ見える気がします。
たまたまじゃないですか?
いずれにせよアングラ誌である以上、内容がどこまで実態を映したものかはわかりません。しかし、現在の不特定多数が好きに回答できるネットアンケートに比べたら、わざわざこの手の雑誌を有料購読している人間に郵送で調査をした上での結果なので、覗いて見る価値はあるのではないでしょうか。
女性に対するアンケート(1993年)
まずは女性に対するアンケートです。
当たり前だろ、という突っ込みは置いておいて……
まあ、ご挨拶質問ですね
ここでの「興味」は、与える、受ける両方についてですね。あと、ガヴァネスは decipline (しつけ、懲らしめ)に関する専門誌ですが、本誌での decipline は実質スパンキングのことです。
結果を見ると半数以上が男女ともにお仕置きを受けるべきという回答で、なるほど男女平等だ、と思うわけですが…… いや、男性だけ受けるべきというのが4割いるんかい。
Femdom というと男性の願望的なイメージがあったのですが、女性の男性に対する支配欲というのも無視できないですね
スパンカーの嬢様方、ちょっと早漏すぎるのです
時は金なりってね
なんだこの抽象的な回答は。ちょっと「バランスを回復するため」がよくわからないのですが、でもなんとなく言いたいことが分かる気もしないでもない。
たまには自分の意思を放棄して誰かに律されたい、それがせわしない現代人の心の澱なのです
なお、鞭を使うべきとした70%の中のさらに30%は、女性に対して鞭を使う場合は彼女の許可を得るべきとしています。
まあ、許可は実プレイなら当たり前ですが、ここでの調査はもう少し妄想や願望の世界の話を聞いていますね
そう考えると、女性観点でも、M/Fで許可なく鞭を振るって欲しいという層がいるのも、興味深いのです
これ、ちょっと面白いわね
準親(quasi-parental)なロールというのは、例えば学校の先生とか、寄宿舎の寮監とかを指しているわけだけど、それってつまり、自分の支配下の(TOPする)男性がDOMになるってことね
しかもそれが2番目に食い込んでいる
積極的な、お仕置きをされて躾けられたい層も結構いそうね
この業界では、お仕置きしている方が主導権を握っていると思ったら大間違いなのです
これは、女性がお仕置きをする方なのかされる方なのか、ちょっと記事からはわからなかったです。多分する/されるどちらも含んだ一般的なプレイとしてだとは思いますが。
ker/keeでの考えが異なっているかももちょっと知りたいところです
儀式ってちょっと内容がわかりにくいのですが、要するに「ベッドで待ってなさい」とか「膝の上でまずはお説教から」とかそういうお作法やステップをどれだけ重視するかということだと捉えました。
まあ、状況による、が無難な回答な気もしますけどね
これはお仕置き宣言があった方がいいかどうかに関しては圧倒的な結果が出ていますね。
これは普通に同意ですね
「お仕置きです!こっちに来なさい!」とか「家に帰ったらお尻ペンペンだからね!」といった告知は、お仕置きの手続きの中でも特別な価値を見出す人が多いはずです
もちろん、そういうの無いカスタムパターンもたまにはありかもですが、基本形ハッピーセットとしては、くっついてくるべきです
ケインが一位。
さすがイギリス人なのです
ちなみに、この後出てくる男性向けアンケートでもケインがトップのお気に入り道具で、ガヴァネス編集部も「まあ、ケインだろうね」とコメントしてるわ
これは分かれるものでしょうね。RPGでもメイン武器は剣でもサブ武器は個性がわかれるというものです。
ふおっ、なんかフェルールがいますね!
フェルールってこのサイトでどっかで触れたことありますっけ? 触れてなかったら、七峰のアホの怠慢です
あるある! 一瞬この記事で触れてます
バーチに関してもこの記事でどうぞ
べしべし叩く部分付きの棒とかのことですね。
あ、あと挙がっているマルティネについてはこちら
記事古い… メンテしなきゃ
あと、挙がっているスイッチっていうのは枝鞭です。
この口洗浄(washing the mouth)って個人的に何がどうそそられるかが全く分からないですが…
汚い言葉遣いをした時とか石鹸でごしごしされるお仕置きですが……
歴史小説とかで、植民地などで母語を使った子供たちに対する制裁としてよく出てくるので、結構胸糞なイメージが強いわね
これ、ガヴァネス編集部も意外な結果だと注釈しているのですが、アシスタントに脱がさせるというのが24%もいるんですよね。なんででしょうね。
マジでなんででしょうね。
女性特有の結果なのかどうかもちょっと知りたいですね。
少なくとも、OTKのようなシチュは想定してませんよね
やっぱケインなんですかね
わろた
ここでの拘束は緊縛レベルではなく、体のどこか一部でも、ということですね。手首だけとか。
個人的にはこれもちょっと意外かも、そんなに拘束って必要なのかしら
体を押さえつけるだけとかも込みでしょうか?
ちょっと設問、回答がシンプル過ぎてわからんです
書き取りの罰があるの前提なんでしょうか。こういうのもイギリスの寄宿学校のお仕置きっぽいですが。
私は機械的に同じ文を書かせる罰に意義を見出せないのです
もうちょっと「今回のお仕置きを受けてで私は……」的な反省文ならそそられますが……
これもちょっと意見が分かれていそうですが、羞恥を罰の一部としてとらえる人はやはり多いですね。
それと、みんなの前でお仕置きというのは、それを観客として鑑賞する機会があるということでもあります
これは途中で数を減らすのはありかという質問で、「回数追加はありか」ということは観点は入っていません
ルールを守らないことによるお仕置きなのであれば、お仕置きもルールに則って例外を設けないのは当然、ということでしょうか
とはいえ、現実の刑罰は、反省や更生が伺えるなら減刑もできるの。それはそれで一つのルールね
懲罰の目的は、人を抑圧することではないのだから
男性に対するアンケート(1994年)
さて、こちらは男性に対するアンケートです。こちらは面白いことに、ガヴァネス編集部はアンケート結果を元に、一人の典型的なお仕置き好き男性のペルソナを提示しています。
まとめるとこんな感じです。
- 従順な性格
- 幼少期に女性からお仕置きを受けて性癖の扉を開く
- 成人後は、精神的な理由ではなく性的な理由でお仕置きに興味を持っている
- 日常的に自分の性癖をあまり満たせていない
- 自分の性癖を人には隠している
- だが自分の性癖について「悪い手札を配られた」とは感じておらず、フラストレーションを感じつつも、同党の割合で幸せを与えてくれたと思っている
- 空想のシナリオでは、子供として扱われたいと思っている
- それと同時に、矛盾するようだが、お仕置きは日常の延長上にあって欲しいと思っている
- ケインによる罰を望んでおり、罰の宣告時がもっとも印象に残る
- 公開ではなくプライベートルームのお仕置きを望む
- お仕置きは冷静に受け、いかなる抵抗も示さずに歯をくいしばって耐える
- 追加の罰は望まない。ただ、尻は数日痛いかも
- この興味は倒錯的だとか異常だとは思わない
- 心の奥底で尻叩きが社会に戻ってくることを望んでいるが、それが非現実的だということも理解してる
いかがでしょうか。
あくまで編集部が回答を元に典型例をまとめただけであり、これと一部、または全部違う人も多々存在するとしています。
でも、これを見ていると共感できるところも多いのではないでしょうか。
また、「悪い手札を配られたとは思わない」というのはとても素敵な表現に思えます。
人は生まれた時に配られたカードで戦うしかないとはよくいいます。また、”普通の人”と違うのは個性だ、とかも最近良く言います。でも、そんな自他への言い聞かせだったり、説得だったり、開き直りだったり、ポジショントークだったり、そういったことではなく、大事なのは自分が自分でよかったと思っているかですよね。(他人に迷惑をかけない限りは)
いるかわからないですが……
万が一、万が一ですが
ここを読んでいる方で、スパンコであることに、不安だとか罪悪感だとかネガティブな感情を持っている方がいても、大丈夫です
あなたの人生は無色透明無味無臭ではない、他とは違った彩のあるユニークで素敵な人生です
アンケート結果はもう上記で全てではあるのですが、折角なので、順番に質問をみていきましょう。
これは想定通りです
これは…… 数字的には複数回答可の設問なのでしょうが、複数きっかけがあるということでしょう。
実際、上位4つは代表的な「お仕置きへの目覚め」トリガーだと思うのです
あまずっぱいわね
これも想定される結果です
ヘテロでM/m の場合でも、例えば友達の女の子と一緒にお仕置きされた、とかそういうシチュで扉が開くことも。
これが多いのか少ないのかはよくわからんですが、先ほどのペルソナを見る限り、編集部はこの結果を少なくて残念と思っているようですね
なんか、女性と比較して、男はエロしか考えてないのかしら
いや、女性がエロというものを心の中でアーティスティックに置き換えている可能性も。
これは、やはりそうなのですが…… /m(M) の需要が一番大きいのですよね。このサイトは/f(F) がメインなので……恐縮です……
この辺りは、ガヴァネス編集部も気になっているようですが、自分は子供になりたいという結果が1番であるにもかかわらず、妄想中の自分の格好はいつも通り。矛盾している。なぜか。
……まあ、あんまり掘り下げても大して意味はないと思いますが。
年齢退行の作品やプレイを「リグレッション」といいます
子供と間違えられて一緒にお仕置きされてしまうのもリグレッション・エロチカなのですが…… なかなか男性で子供と間違えられて、というのはないかもです
普通は、例えば新人の女性教師が生徒と間違えられて……みたいな感じですね
あら、日本人男性は、海外だと未成年と間違えられることも多いわよ
90年代の回答ですし、30年で色々な人が色々な考えを持つようになったので、いまはこの結果は変わって来るかもですね。
インターネットの発展は、人々を大きく変えたわね
ただ、そんなアングラな性癖であった時代でも、スパンコはそこに幸福を見出していたわけです。
はうあ
女性の時と同様、ケインがナンバーワンです。実際の回答者にも、実ケイン経験者が結構いるのかもですね。
そこには何かしらの英国の誇りがあるのかしら
意外と人に見られたくない、と。いや、まあ見られたくはないでしょうが。
英国紳士は見られて喜ぶなんてはしたない考えはないのよ
ただ、親密にお仕置きのセッションを甘んじて受けるの
管理人も同様に日常の延長がよいです。全くあり得ないエロファンタジーよりも、これくらいだったらあり得るだろうという現実感がよいですね。
もちろん創作であればリミッターなんて不要ですが……
SPA-HAKU エディトリアルは、いわゆる「日常の非日常」ではなく「非日常の日常」が基本ルールなもので
そういう世界の日常がいいのですよ
これどうなんですかね。管理人は言葉が好きなのでなんだかんだで「宣告」は好きですし、こだわりポイントになるような気がしますね。
なんか…… どの選択肢も捨てきれないのです
まあ、泣くことはそもそもないですが
泣かせるのはやってるじゃない
この設問の意図はわからないですが、拘束というのも決してキーにとって悪ではないのです
動きを固められる、自由を奪われるということは、それだけ選択をする必要がない、努力して静止している必要がない、ということですから
自由と責任は表裏一体ですね。
さて、Fromal obeisance が上手く訳せずに儀礼的服従 としたのですが、さらによく分からないですね。単純に服従の意思を示すということだと思います。
羞恥的な服装ってどんなんですか?
具体的に欲しいのです
面白い質問ですね。これも、はしたなくないよう、お仕置きの受け方からジェントルマンであれという英国紳士の矜持でしょうか。
たまには痛みで喚き騒ぐのも、許してあげますわよ
「普通 normal」ではなく「自然 natural」なことかという質問であることに注意
自然とは思っても、普通じゃないと思うかもしれない。でも普通って言うのは共通認識を装っているくせに基準が人によって違う
そういう意味では、普通なことと思うより、自然なことと思う方がわかりやすいわね
当サイトも、あくまでスパンキングは大人のファンタジーとしてのみ存在し得るのであって、この社会に罰として戻ってくることは望まないです。そこだけは明確にしておきます。
スパンコ的な話は、人それぞれでもあるのであまり取り上げてきていなかったのだけれど、たまにはこういうのも面白いですかね
私は面白かったのです
でも、ちひろ、アイキャッチのコスプレはちょっとやりすぎじゃないかしら? いい年して
ふれるなです